トーマス・エジソンといえば,「本当は自分の手柄でもない発明で有名なヤツね」とあしざまに言われることも多い.だが,エジソンは,それよりもさらにむずかしいことをやってのけた.それは,そういう発明を市場に送り出すのに必要なシステムを構築することだ. トーマス・エジソンの評判は,ややこしく入り組んでる.まちがいなく,当時あまたいた発明家たちの誰よりも有名な人物ではある――もしかすると,今後もずっといちばん有名な発明家のままかもしれない.だが,会話のなかでなにかの拍子にエジソンの名が出ると,「ああ,インチキのエジソンね」などと誰かが言い出すことも多い.エジソンの名前が出てきたとたんに,「あいつは電球の発明すらやってないじゃないか」と言われることもよくある.それは事実だ.エジソンは電球の発明者ではない.そのかわり,彼は普及の下地をつくる人だった.既存のアイディアを選び取ってきて,それを市場に送り出す人
![エリック・ギリアム「トーマス・エジソン――システム構築と改善の人」(2023年5月23日)|経済学101](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/74709aee16d25a81690909a1a9a27c9b015ce4e7/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fassets.st-note.com%2Fproduction%2Fuploads%2Fimages%2F112428700%2Frectangle_large_type_2_54bbfc0eedcaae526f6f7a35a4efb6d9.jpeg%3Ffit%3Dbounds%26quality%3D85%26width%3D1280)