急速に拡大する変異株の脅威を前に、今や日本のコロナ対策は出口が見通せない状況に突入している。厚生労働省のある官僚が表情を曇らせる。 【グラフ】AIが予測した英国型変異株の感染爆発 「欧米諸国ではワクチン接種が進んだうえで変異株対策の議論をしている。ところが、日本ではワクチン接種がほとんど進んでいないのに変異株が拡大している。これでは社会不安が増大するばかりです。致死率が高いとか、子どもも感染しやすいとか、いろいろと不安材料が出てきているのに、変異株専用のPCR検査さえ全然進んでいません。対策は後手後手に回っています」 日本の感染症対策を指揮するのは厚労省の結核感染症課と、同省の直轄組織である国立感染症研究所(感染研)。その下に、各都道府県や政令指定都市などに設置された地方衛生研究所(地衛研)や保健所が連なる。こうした“感染症ムラ”によるコロナ対策は質、スピードともに世界の潮流から取り残され