政府統計などの調査では、すべての調査対象にアンケートを取っているわけではない。ごく一部の対象者にだけ質問をするという、「標本調査」という手法が採用されるのが普通だ。それでは、このような方法で得られたデータはなぜ信頼できるのだろうか? 話題の書籍『ヤバい統計』から一部を抜粋して紹介する。 統計調査の革命的方法を編み出した功労者物事の実態を正確に摑めないときは、推測に頼らなければならない。日常生活のなかで、私たちはいつも推測している。 支出の計画を立てるときは、各項目にどれくらいの金額を確保すべきかの見積もりが基本になる。仕事で家を出る時間を決めるときや、何かの予約を取るときは、目的地まで通常かかる時間を計算し、さらには移動する時間帯の混雑状況なども考慮しているはずだ。 こうしたことを、人はただやみくもに推量しているわけではない。たとえば、「いつもは職場まで30分だが、雨のときはもう少し時間が