村井理子さん作。 読み終えました。 決して読んで楽しい話じゃない。 家族の思い出って、楽しいことよりも嫌なことの方が、より記憶に残っているものかもしれない。 お互いに傷つけあって、あの時ああすればよかった、あんなことしなければよかったと思い悩むことばかりだ。 あの時の時間はもう戻ってこないし、亡くなってしまった父母には今となってはもう謝ることもできない。 村井さん親子も、気持ちを理解し合えないまま、罵り合って傷つけあって、助け合うこともできず、家族がこわれていった。 嫌なことがあると酒に逃げてしまう父、家のことを何もしてくれず母親らしくない母、落ち着きなく問題ばかり起こして父親に嫌われる兄。 3人がそれぞれに亡くなってしまうまで、楽しかったことやいい思い出はほとんど出てこない。 なのに、最後の章でこう書かれている。 父が亡くなって三十一年、母が亡くなって七年、兄が亡くなって二年の月日が過ぎ