七瀬 幸 棺 母の棺が、土の穴の中に消えていく… 私は、小さかったのでどういう意味なのか、解らないままに父にてをとられた。 「お前も、母ちゃんにかけてやれ!」 父は、私の小さな手に土を握らせて、母の棺にかけるようにと言った。 それからずっと、母は帰って来なかった。 甘えたい盛りの3歳の私は、母を失った… どれくらいの月日が経っただろうか? 私は、夜になって裸電球がゆらゆらと揺れるのが怖くて、泣き叫んでいた。 父にすがりついて、泣いた… ゆらゆらと揺れる、人影が怖かったと今も良く覚えてる。 アパート 母が亡くなったので、父は1人では農業は出来ない!と、都会に引っ越して来た。 その頃は、母子家庭支援の制度はあったが、父子家庭支援については整備されていなかったため、私は保育園に入れず、暗いアパートに一人留守番をする事が多かった。 怖かった。 継母と出会ったのは、暗いアパート暮しが始まってからの事