『ジョーカー』が暴いた「アンチヒーロービジネス」―― 誰もが“都合の良い悪夢”に溺れる訳:自己啓発やオンラインサロンと同じ商法(1/3 ページ) 言わずと知れたDCコミックス『バットマン』の仇敵を主人公にした映画『ジョーカー』が大ヒットしています。日本では4週連続No.1となり、観客動員数は240万人に達し、興行収入は35億円を超えています(興行通信社調べ)。 『ジョーカー』のストーリーはとてもシンプルです。社会から疎外された主人公アーサー・フレック(ホアキン・フェニックス)が、「人並みの幸せ」を手に入れようと悪戦苦闘した末に絶望し、血なまぐさい暴力とアジテーションの虜(とりこ)になっていくさまを描いています。 「嫌われ者」が不満抱える大衆を取り込む 格差や貧困がはびこり、愛や希望が見いだし難い、閉塞感に満ちた世界に風穴を空ける「アンチヒーロー」というわけです。これが現代を覆っているグロー