2011年の東日本大震災後の岩手県釜石市の津波被害現場。防潮堤によって津波エネルギーは低減されたが、海岸近くの家屋の被害は免れなかった 写真提供:沼田宗純先生 災害大国日本において、事前対策や備えの重要性を疑う人はいないにも関わらず、実際に行動をしない人が多いのはなぜでしょうか。他人事だと考えがちな災害を自分ごとにするためには、何が必要なのでしょうか? 2020年11月15日、科学コミュニケーションイベント「サイエンスアゴラ2020」内のウェビナーに出展した東京大学の研究者らはそれぞれ、地震、水害、感染症という異なる災害について取り上げ、議論を交わしました。90分のウェビナーには約30名が参加し、セッションはYouTubeでも動画配信されました。 モデレーターを務めた生産技術研究所の沼田宗純准教授はまず、災害には大きく分けて、地震や津波など、短時間で予測や準備が難しい「突発型災害」と、台風