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マンバ通信に関するエントリは158件あります。 漫画マンガcomic などが関連タグです。 人気エントリには 『職を失ったとき、俺はいつも松本零士『聖凡人伝』を読む | マンバ通信』などがあります。
  • 職を失ったとき、俺はいつも松本零士『聖凡人伝』を読む | マンバ通信

    『聖凡人伝』 私事ですが、当方このたび、ここ2年くらいメイン収入にしていた職を辞して概ね無職になりました(2年ぶり7回目。まあ書き物の連載が僅かにあるので厳密には無職じゃないですが)。理由は、たぶん対人関係のストレスが原因と思われるうつ病です(「森久保々々もりくぼボボ」とか「3Pトライアドプリムス」とか文中に出てくる下劣なシンデレラガールズ二次創作を書いてるような人間でもうつ病になるときはなるんすよ、マジで)。いやー人間の3大欲求が完全にバカになってしまいまして、特に食欲がヤバいことに。腹がなんか全然減らないし、何か食べようと駅前に出ても何を食べるか決められなくてそのまま帰ってしまったりするし、何を食べても吐きそうになるので「食べろ! 死ぬんだぞ!(バンバン)」と無理やり飲み込んだりしなきゃいかんしという生活をしてたら、運動もろくにしてないのに半年で体重が10kg以上減って、誰かと闘ってる

      職を失ったとき、俺はいつも松本零士『聖凡人伝』を読む | マンバ通信
    • 漫画史上最悪レベルで褒めるところがない主人公の活躍を見よ—梶原一騎+中野喜雄『人間兇器』 前編 | マンバ通信

      漫画に限らずフィクションというものには、悪玉を主人公にした作品というものが少なからず存在します。そういった作品では、主人公に悲しき過去があったり、悪ならではの美学が存在したりして、悪とはいえ読者が応援したくなったり憧れたりするような何かが存在するのがセオリーでありましょう。ですが、今回紹介する梶原一騎+中野喜雄『人間兇器』の主人公・美影義人は一味違います。この男、本当にいいところが何一つないんです。彼を象徴するコマを一つ引用しましょう。 『人間兇器』合本版1巻767ページより 「おれは勝てそうな相手にゃすぐトサカにくるんだ!」ですよ。こんな情けないことを堂々と言える主人公はそうそういません。そして言葉だけではなく実際に、自分より弱い相手には暴虐の限りを尽くします。では自分より強い相手に対してはどう出るか。 『人間兇器』合本版1巻682ページより ご覧の通り、すぐ土下座し、泣きわめき、命乞い

        漫画史上最悪レベルで褒めるところがない主人公の活躍を見よ—梶原一騎+中野喜雄『人間兇器』 前編 | マンバ通信
      • 『御意見無用』復刊記念・ありま猛氏インタビュー あだち兄弟にギャンブル漬けにされたお陰で『連ちゃんパパ』は生まれた? | マンバ通信

        『御意見無用』復刊記念・ありま猛氏インタビュー あだち兄弟にギャンブル漬けにされたお陰で『連ちゃんパパ』は生まれた!? 『御意見無用』 ——今回は、ありま先生の初期麻雀漫画『御意見無用』がこのたび、KADOKAWAさんのヒューコミックスから40年ぶりに復刊されたということで、インタビューをさせていただきます。これ、最初の掲載誌は『近代麻雀オリジナル』(竹書房)じゃなくて『スポコミ』(一道社※1)ですよね。作品タイトルも「苦労賭けます」で。 ※1 81年6月号創刊。一道社は元『少年画報』編集長・金子一雄氏が経営していた会社で、70年代は編集プロダクションとして活動していたが、この年で会社解散。 『スポコミ』創刊号 ありま そう、出してた会社がすぐ潰れちゃったんですよね。 ——2号くらいで。 ありま 「創刊号」「廃刊号」みたいな。「何だ、せっかく描いたのに」って思ってたら、竹書房の方で「うちで

          『御意見無用』復刊記念・ありま猛氏インタビュー あだち兄弟にギャンブル漬けにされたお陰で『連ちゃんパパ』は生まれた? | マンバ通信
        • 「ラーメン…湯切り…命!!」ラーメン漫画を描かせても超一流のハッタリが炸裂する能條純一『ばりごく麺』 | マンバ通信

          以前に『翔丸』の記事で、能條純一という漫画家は漫画界でも比類ない超一流のハッタリ力を持っている人だと書きました。そのハッタリ力は、『翔丸』のようなスケールの大きい作品だけでなく、料理漫画でも存分に発揮されています。というわけで今回の紹介は能條純一『ばりごく麺』。連載は08〜09年の『ビジネスジャンプ』。単行本は全4巻です。 『ばりごく麺』 本作の主人公は、うだつの上がらない新人サラリーマン・潮崎朗馬。彼がある雨の日、雨宿りのために今まで入ったことのないラーメン屋に入ったところから物語は始まります。あまり流行っていないその店にいた先客は、ラーメンを食べ終わると「まずかった———っ」と一言。そして「まずいが…最後の一滴まで変わらぬまずさが痛快だ 名付けて痛快ラーメン」と勝手な名付けをして去っていきます。 『ばりごく麺』1巻12〜13ページより これですよ、これこそが能條作品のカリスマキャラです

            「ラーメン…湯切り…命!!」ラーメン漫画を描かせても超一流のハッタリが炸裂する能條純一『ばりごく麺』 | マンバ通信
          • 「オレたち何を見せられてるんだ!?」が氷解する頃には、きっと『古代戦士ハニワット』にハマっているに違いなく… | マンバ通信

            「オレたち何を見せられてるんだ!?」が氷解する頃には、きっと『古代戦士ハニワット』にハマっているに違いなく… 先日、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』監督の庵野秀明が『プロフェッショナル仕事の流儀』でこう言っていた。 「謎に包まれたものを喜ぶ人が少なくなってきている」 「謎に包まれた作品=面白い」とは限らないとしても、早い段階で「これは確実に面白さのある作品ですよ」とわかりやすく提示されないと、ついていくことをあきらめる人が増えている……というのは体感的にも納得できる。 その流れでいうと、『古代戦士ハニワット』は時代に逆行したマンガなのかもしれない。なにせ第1話を読んだ時点では「でっかいクエスチョンマーク」が浮かぶだけなのだから。 このタイトルと表紙を見た人はまず、「埴輪をモチーフにしたヒーロー物なんだな」と予想するだろう。その予想は間違いではない。しかし。 『ハニワット』は、土偶のような物

              「オレたち何を見せられてるんだ!?」が氷解する頃には、きっと『古代戦士ハニワット』にハマっているに違いなく… | マンバ通信
            • ままならない人たちの高校生活だって時には何よりも輝く—heisoku『春あかね高校定時制夜間部』 | マンバ通信

              この連載コラム、今まで読んできてくれた方々には言わずもがなですが、紹介する漫画について特定のジャンルとかテーマとかは基本的にないです(ついでに言うと、打ち合わせとかも一切なく、締切日になると「今回これで書きました」と原稿が編集メールアドレスに投げ込まれるという恐怖新聞方式で作られています)。ですがまあ、「他の人が紹介しなさそうなものをなるべくやろう」という鳥なき里の蝙蝠を目指す気持ちはあるものでして、特に新作で「これは他の人と紹介被ったりしそうだな……」と思うとつい避けてしまったりするのですが、それで「あっやっぱ紹介しとけばよかった。タイミング逃したわ」と後悔してしまうこともあるわけですね。というわけで今回の紹介は、単行本が出たばかりのheisoku『春あかね高校定時制夜間部』です。いや、この人の前作『ご飯は私を裏切らない』、バンバン紹介されて続刊もバンバン出るんだろうと思ってたんで紹介し

                ままならない人たちの高校生活だって時には何よりも輝く—heisoku『春あかね高校定時制夜間部』 | マンバ通信
              • 齋藤なずなインタビュー(代表作『ぼっち死の館』『夕暮れへ』)【幼少期編】神様にお願いした夢 | マンバ通信

                「老人の生態漫画を描いている!」「生態というか…かなり死んでいく!」「これは新しい!いや、古い!いや、かえって新しい!」…などなど、とにもかくにも令和の時代の最先端、77歳漫画家、齋藤なずな先生なんであります。謎が多い。なぜ40歳デビューなのか。なぜ77歳で活筆なのか。なぜこんなに面白い漫画を作れるのか。取材班は、甘いケーキときれいなお花を手に、雨降る中をバスで突っ切って停留所を降り、東京の奥深い土地にある団地=ご自宅を急襲。にゃー、にゃー、にゃー、ニャンコが女主人をガードする中をなんとかかいくぐって、生の声をインタビューしたのであった。「顔編」「猫編」「幼少期編」の3回に分けてお送りします。(顔編はこちら)(猫編はこちら) 取材/文/撮影:すけたけしん 着ている服がたまたま似ている。 色々と(命が)流れてくるのですよ ──先生は、空を見る時間と水を見る時間がどちらが多いですか。 それは何

                  齋藤なずなインタビュー(代表作『ぼっち死の館』『夕暮れへ』)【幼少期編】神様にお願いした夢 | マンバ通信
                • “ジャンル:翔丸”としか言えない漫画界の孤立峰—ハッタリ100%で構成された純・能條純一漫画『翔丸』 | マンバ通信

                  『翔丸』 能條純一という漫画家がいます。71年にデビューし、70年代は主に成人向け劇画(当時は「三流劇画誌」などと呼ばれました。この頃は「農場純一」名義も使用)で活動するなど「女性を艶かしく描く漫画家」として認知されていましたが、85年に『別冊近代麻雀』(現・『近代麻雀』)で連載開始された麻雀漫画の金字塔『哭きの竜』で大ブレイク。 以後は『月下の棋士』『ゴッドハンド』『Dr.汞』など、カリスマ性を持った主人公を中心とした、男たちの物語を描くのが主となります。 2010年代以降は、現在連載中の『昭和天皇物語』など原作付き作品が多く、これはこれで普通に漫画力の高さが発揮されまくっている(伊集院静の同名小説をコミカライズした『いねむり先生』なんかは本当に良作です)のですが、やはりこの人の真骨頂はカリスマ性を持った男たちを描いたオリジナル諸作にあり、中でも今回紹介する『翔丸』(『モーニング』87〜

                    “ジャンル:翔丸”としか言えない漫画界の孤立峰—ハッタリ100%で構成された純・能條純一漫画『翔丸』 | マンバ通信
                  • タイトルが「○○な××さん」の漫画、『からかい上手の高木さん』のブレイク以降激増した説 | マンバ通信

                    水曜日のマンバ通信をご覧の皆様、こんにちは。執筆者が持ち寄った様々な説を検証するこのコーナーですが、今回私が持ってきた説はこちらです。 タイトルが「○○な××さん」の漫画、『からかい上手の高木さん』のブレイク以降激増した説 ・条件1:主人公の属性や肩書きではなく「名前か名字に」、敬称としての「さん」が付いているもののみにする。 「お兄さん」「お姉さん」「おっさん」のようなものも、タイトルの意味合いとしては「○○な××さん」に近いのかもしれませんが、今回は除外しました。 ・条件2:基本は「○○な××さん」もしくは「××さんは○○」のように、タイトルの主が××さんにあるものにする。 『小林さんちのメイドラゴン』や『高杉さん家のおべんとう』など、名字でピックアップされているのが個人ではなく家庭単位になっているものは、名字の部分は「○○な」に相当するだろうということで除外しました。 ・条件3:「×

                      タイトルが「○○な××さん」の漫画、『からかい上手の高木さん』のブレイク以降激増した説 | マンバ通信
                    • 鳥山明さんのいなくなった日3【夏目房之介のマンガ与太話 その30】 | マンバ通信

                      鳥山明は、縦の間白(コマとコマの間)より横の間白を広くとり読みやすくする工夫など、先鋭的な作品ではむしろダサく見えてしまう表現上の更新もしている。が、それが典型的に示すように、新しい革新的な表現に注目しがちな批評言説からは注目されにくい作風である。けれど、彼は間違いなくジャンプ最盛期の牽引役で、その後のジャンプ路線のシンボルだった。のちにジャンプを支える『NARUTO』の岸本斉史、『ワンピース』の尾田栄一郎ら、多くのジャンプ作家に影響を与えた。いわば読者を育て、そこから作家を生み出したのである。いいかえると、彼はジャンプの基準、範例のようにも見なされ、結果「明朝体」のように感じられるようになったのかもしれない。 鳥山明はとてつもない作業量をこなし、しかも締め切りを守った。その理由が、会社員を経験したので、〈原稿が遅れるといろんな人に迷惑がかかる〉*1と思ったからだという。ただ、絵を描くのが

                        鳥山明さんのいなくなった日3【夏目房之介のマンガ与太話 その30】 | マンバ通信
                      • 『三国志』を知りたい初心者にうってつけの歴史大河ギャグ—片山まさゆき『SWEET三国志』 | マンバ通信

                        『SWEET三国志』 突然ですが、三大「男が好きなもの」といえばヘリコプター、F-1、そして三国志ですね。『ハトのおよめさん』のハトのダンナがそうだったから間違いない。 『ハトのおよめさん』8巻81ページより しかしこの三国志というもの、一般教養のごとく語る人もいる一方で、「実はあんまりよく知らない……」「興味はあるんだけどハードル高くて……」という人も少なくないだろうと思います。 まず、なんといっても長い。原作たる中国の『三国志演義』(注1:ここらへん本当は色々面倒な話になるんですが、本稿の主題とは直接関係ありませんので、注釈はまとめて一番下に置きます)は、黄巾の乱(184年)から、諸葛亮孔明(注2)の死(234年)、蜀の滅亡(263年)、呉の滅亡(280年)まで100年近い歴史を描く一大サーガであり、全120回という長い構成ですので、それを元にした小説や漫画も大抵の場合長くなります。日

                          『三国志』を知りたい初心者にうってつけの歴史大河ギャグ—片山まさゆき『SWEET三国志』 | マンバ通信
                        • 『ゴリラーマン』解題〜いかに『ゴリラーマン』は斬新なマンガであったか〜 | マンバ通信

                          『ゴリラーマン』の時代 ヤンマガで『ゴリラーマン40』の連載が始まっている。それで久しぶりに『ゴリラーマン』を読み直してみたら、やはり面白かった……と思いつつ、あの時代の感覚を共有していないと、今の読者には伝わりづらいかもな、と思うところもあったので、『ゴリラーマン』を成立させていた時代背景みたいなものを書いてみたい。 『ゴリラーマン』は、とにかく絶妙なさじ加減のマンガだった。 ヤンキーマンガであるけど、ケンカがメインというよりは「かったるい学校生活を過ごす高校生」という感じのマンガで、青春マンガの要素もあるんだけど、「燃えさかる青春」ということでもなく、どことなくドライなところがあった。なおかつ、妙にオタクっぽいところもある。間口が狭いんだか広いんだか、よくわからないけど面白いという、他にないタイプのマンガだった。 (以下、カッコ書きしてあるのが作品としての『ゴリラーマン』、カッコ書きが

                            『ゴリラーマン』解題〜いかに『ゴリラーマン』は斬新なマンガであったか〜 | マンバ通信
                          • 漫画史上最悪レベルで褒めるところがない主人公の活躍を見よ—梶原一騎+中野喜雄『人間兇器』 後編 | マンバ通信

                            『人間兇器』の紹介、後編です(前編はこちら)。 アメリカに続きメキシコにもいられなくなった美影、腐敗した独裁国家ならなんとかなるやろ……と思って今度はバティスタ政権下のキューバに密入国するも、折悪しくカストロ&ゲバラによる革命闘争が始まり、さくっと革命軍に捕まります。共産思想とかにはこれっぽっちも興味がないが我が身は可愛い美影、同じ檻に入れられていた奴らが看守を買収して脱走を図っていることを密告し、速攻で革命軍のイヌに。 『人間兇器』合本版3巻27ページより 密告が原因で処刑された人々を見ながら「これで間接的にもおれは大量の人間を殺した! おれって人間兇器に青春革命が起こるって予感がますますしてくるぜ!」などと謎の寝言(青春革命?)をのたまいつつ、革命軍のカラテ教師の座に収まりますが、女相手にいつもの残虐行為やってたのがゲバラの逆鱗に触れ50ページもしないうちにワアーッ。 『人間兇器』合本

                              漫画史上最悪レベルで褒めるところがない主人公の活躍を見よ—梶原一騎+中野喜雄『人間兇器』 後編 | マンバ通信
                            • 「出来らあっ!」しか知らないという人にも読んでもらいたい、『スーパーくいしん坊』という作品 | マンバ通信

                              『スーパーくいしん坊』全9巻。3巻表紙、収録の話を店頭メニュー表にして見せてるところが好きなんですよね 特にマクラもなく始めますが、インターネット上には、セリフだけ、ひとコマだけ、あるページだけといった一部分のみがミーム化して広く流通している漫画というものがあります。今回紹介する牛次郎+ビッグ錠『スーパーくいしん坊』(なお、牛次郎が原作なのはコミックスの3巻までで、4巻以降は「原案」となっており、ビッグ錠の単著となっています)もそんな漫画の一つ。タイトルを聞いてピンとこないという人でも、次に引用する見開き2ページを見れば、「あ、どこかで見た!(そのものか、コラか、パロディーかなんかを)」となる人は多いのではないかと思います。 『スーパーくいしん坊』7巻20〜21ページより しかし、この2ページの知名度に比べて、作品としての本作の影は薄い。同コンビによる料理漫画『包丁人味平』の影に完全に隠れ

                                「出来らあっ!」しか知らないという人にも読んでもらいたい、『スーパーくいしん坊』という作品 | マンバ通信
                              • 初代JOJO担当編集 椛島良介インタビュー #1【週刊少年ジャンプ編】『リンかけ』に学び、諸星大二郎作品に救われた | マンバ通信

                                初代JOJO担当編集 椛島良介インタビュー #1【週刊少年ジャンプ編】『リンかけ』に学び、諸星大二郎作品に救われた 「週刊少年ジャンプ」(以下「ジャンプ」)のいわゆる「黄金期」と呼ばれる時代の一翼を担った名編集者であり、今年2023年に連載開始100周年を迎えたマンガ『正チャンの冒険』※1の作者・樺島勝一氏の孫にあたる椛島良介氏。今回、椛島氏の生い立ちから当時のジャンプ編集部の様子、また『ジョジョの奇妙な冒険』の作者である荒木飛呂彦さんとの思い出や、おすすめのマンガまでさまざまなお話をうかがってきました。「週刊少年ジャンプ編」・「荒木飛呂彦編」・「おすすめマンガ編」の全3回に分けてお届けします。 ※1^ 1923年1月25日の「アサヒグラフ」創刊号から連載された4コママンガ。日本初のフキダシ型マンガともいわれる(諸説あり)。主人公の「正チャン」と相棒のリスによる冒険の物語が幻想的に描かれ、

                                • 青山広美インタビュー 後編 麻雀漫画史に残る大傑作『バード』、驚きの創作秘話! | マンバ通信

                                  前編はこちら 【『バード』創作秘話と『格闘太陽伝ガチ』】 ——『ダイヤモンド』が終わってから、麻雀漫画史に残る大傑作『バード-砂漠の勝負師-』ですが、企画が始まったのはどのようなきっかけだったのでしょうか。 『バード-砂漠の勝負師-』 青山 『ダイヤモンド』の終わりぐらいに「こういうの描きたい」と思って、簡単な企画書みたいなの書いたら、割とすぐに「やりましょう」と。 ——本作最大のネタである「全自動卓天和」をやろうとなったきっかけなどはあるんでしょうか。 青山 これは流れですね。『バード』始まった時は、別に全自動卓天和ってのは考えてなかったんです。 ——ええーーーーっ!! そうなんですか!? 青山 考えてなかったです。描いてるうちに途中のセリフでポロっと「全自動卓で天和どうのこうの」みたいなのが出てきちゃったんで、これはもう天和やらなきゃいけないなと。6話目ぐらいになってから天和のネタ考え

                                    青山広美インタビュー 後編 麻雀漫画史に残る大傑作『バード』、驚きの創作秘話! | マンバ通信
                                  • 齋藤なずなインタビュー(代表作『ぼっち死の館』『夕暮れへ』)【猫編】その名はランボー | マンバ通信

                                    「老人の生態漫画を描いている!」「生態というか…かなり死んでいく!」「これは新しい!いや、古い!いや、かえって新しい!」…などなど、とにもかくにも令和の時代を衝撃で揺さぶる77歳漫画家、齋藤なずな先生なんであります。謎が多い。なぜ40歳デビューなのか。なぜ77歳で活筆なのか。なぜこんなに面白い漫画を作れるのか。取材班は、甘いケーキときれいなお花を手に、雨降る中をバスで突っ切って停留所を降り、東京の奥深い土地にある団地=ご自宅を急襲。にゃー、にゃー、にゃー、ニャンコが女主人をガードする中をなんとかかいくぐって、生の声をインタビューしたのであった。「顔編」「猫編」「幼少期編」の3回に分けてお送りします。(顔編はこちら) 取材/文/撮影:すけたけしん 愛猫のひとり、ポンちゃんとあいさつする齋藤さん。 猫は7階から落ちても大丈夫 ──77歳のなずな先生とお話ししているうちに、歳なんて、何歳でもいい

                                      齋藤なずなインタビュー(代表作『ぼっち死の館』『夕暮れへ』)【猫編】その名はランボー | マンバ通信
                                    • 『イブニング』の面白い2世漫画は『K2』だけじゃない——寺沢大介『ミスター味っ子II』 | マンバ通信

                                      『ミスター味っ子II』 本コラムを読んでいるような漫画好きならご存知の人も多いと思いますが、先日、『イブニング』休刊により『コミックDAYS』へと移籍する連載作が無料公開される出来事がありました。これにより、高レベルで安定した面白さを持つことが知られて大きくハネたのが、90年代『少年マガジン』で長期連載された『スーパードクターK』の「2世もの」な続編である、真船一雄『K2』であることも言わずもがなでしょう(ギュッ)。ですが、『イブニング』で連載された2世もので面白い作品というのは『K2』のみではありません。というわけで今回の紹介は、やはり往年の『マガジン』連載作の2世もの、寺沢大介『ミスター味っ子II』です。 連載期間は03〜12年なのですが、作者がこの時期に同じ『イブニング』で食ミステリの傑作『喰いタン』を同時連載していた関係で、06年から09年には不定期掲載・一時中断の期間があり、10

                                        『イブニング』の面白い2世漫画は『K2』だけじゃない——寺沢大介『ミスター味っ子II』 | マンバ通信
                                      • 『水は海に向かって流れる』 田島列島インタビュー | マンバ通信

                                        水泳部の女の子と書道部の男の子が絶妙な体温でやりとりする青春ストーリーでありながら、父親探しに新興宗教や超能力まで絡むという、荒唐無稽かつ甘酸っぱいという見事なバランスを持った作品。初の単行本にして、いきなり「このマンガがすごい! 2015」のオトコ編第3位になるなど様々なマンガ賞にずらーっとランクイン! も納得の素晴らしい作品でした。

                                          『水は海に向かって流れる』 田島列島インタビュー | マンバ通信
                                        • 齋藤なずなインタビュー(代表作『ぼっち死の館』『夕暮れへ』)【顔編】色んな顔の人がいる | マンバ通信

                                          「老人の生態漫画を描いている!」「生態というか…かなり死んでいく!」「これは新しい!いや、古い!いや、かえって新しい!」…などなど、ともかく令和の時代に話題騒然の77歳漫画家、齋藤なずな先生なんであります。謎が多い。なぜ40歳デビューなのか。なぜ77歳で活筆なのか。なぜこんなに面白い漫画を作れるのか。取材班は、甘いケーキときれいなお花を手に、雨降る中をバスで突っ切って停留所を降り、東京の奥深い土地にある団地=ご自宅を急襲。にゃー、にゃー、にゃー。ニャンコが女主人をガードする中をなんとかかいくぐって、生の声をインタビューしたのであった。「顔編」「猫編」「幼少期編」の3回に分けてお送りします。 取材/文/撮影:すけたけしん 齋藤なずなさんのご自宅にて。 カメラで撮っちゃうと目が休んじゃうというかね 「いらっしゃい」とドアを開けてくれたのは、美しいご婦人。誰か来たの?と足元にはニャンコ1号(4号

                                            齋藤なずなインタビュー(代表作『ぼっち死の館』『夕暮れへ』)【顔編】色んな顔の人がいる | マンバ通信
                                          • kashmir『てるみな』—素晴らしき悪夢のような幻想鉄道漫画の魅力 | マンバ通信

                                            『てるみな』 先日、kashmir氏の漫画『てるみな』の最新4巻が出ました。記事の右上にあるプロフィールを見ていただければ分かりますように、筆者はこの『てるみな』単行本で幕間コラムを執筆しております。というわけで今回は、「まだ読んでいない」という人のためにその魅力の紹介を、「もちろんもう読んでいる」という人のために筆者がどんなふうにコラムを書いているかを紹介しようと思います。 まずは掲載誌等の情報から。本作は2011年に白泉社の『楽園』で連載開始され、単行本で2巻までが本誌、3巻以降はWeb増刊に掲載されたものです。10年で4巻とペースが遅めなのは、『楽園』自体が年3回刊という刊行ペースの遅い雑誌だからですね。あと、間違えられやすいんですが、作者名「kashmir」の頭のkは小文字です(「Kashmir」じゃない)。読みは素直に「カシミール」です。「ナオコサンが菓子見入る」と覚えましょう(

                                              kashmir『てるみな』—素晴らしき悪夢のような幻想鉄道漫画の魅力 | マンバ通信
                                            • となりのマンガ編集部 第5回:月刊少年マガジン編集部 『チート付与魔術師』は早期終了するかもしれなかった | マンバ通信

                                              マンガの編集部に赴き、編集者が今おすすめしたいマンガやマンガ制作・業界の裏側などを取材する連載企画「となりのマンガ編集部」。第5回は講談社の『月刊少年マガジン』編集部を訪ねました。非常に長い歴史のある『月刊少年マガジン』ですが、筆者は現在の『月刊少年マガジン』でも最も古い作品である『鉄拳チンミ』が大好きで、子供のころに通背拳という必殺技を会得するために修行を行っていたのが思い出深いです。令和に熱く復活した『め組の大吾 救国のオレンジ』は、人気が高じてアニメ化が決定するなどホットな話題も。『DEAR BOYS ACT4』や『龍狼伝 王覇立国編』などベテランの長期連載から『サンダー3』や『宇宙の音楽』など才気あふれる新鋭まで幅広く注目を集める『月刊少年マガジン』の編集部にて、『少年マガジンR』のチーフを務める冨士川さんにお話を伺ってきました。 取材:マンガソムリエ・兎来栄寿 編集者になったきっ

                                                となりのマンガ編集部 第5回:月刊少年マガジン編集部 『チート付与魔術師』は早期終了するかもしれなかった | マンバ通信
                                              • 倉科遼+みね武『艶恋師』で「きぬた」が生み出すグルーヴ感 | マンバ通信

                                                今回紹介するのは、前回の『新やる気まんまん 警視庁SEX捜査官』の記事でも名前を少し出した、倉科遼+みね武『艶恋師(いろこいし)』です。連載は00年代後半の『漫画サンデー』。原作の倉科は『夜王』などの作品で知られる「ネオン漫画の帝王」、作画のみねは70年代から青年漫画で活躍しており、金と女が大好きで「糞蝿」と自認する(世の中の糞野郎どもにタカって生きているので)私立探偵を主人公としたバイオレンス・アクション『野獣警察』などで知られます(基本的に作画専門の人なのであまり作家性とかが語られませんが)。 【極!合本シリーズ】艶恋師シリーズ 本作の主人公・神楽坂菊之介は、ポニーテールに着流し姿で花街・神楽坂を闊歩する男。芸者の私生児として産み落とされた後に母親が死亡し、この街の芸者たちの手で育てられたという生い立ちを持っています。 『艶恋師』シリーズ合本版1巻16ページより で、この菊之介の表の顔

                                                  倉科遼+みね武『艶恋師』で「きぬた」が生み出すグルーヴ感 | マンバ通信
                                                • 矢口高雄『9で割れ!!』—昭和銀行員の奮闘記+矢口版『まんが道』と一粒で二度おいしい一作 | マンバ通信

                                                  『9で割れ!!』 有名漫画家の過去をたぐると——やはり、まずアシスタント出身者が多い! 大学漫研出身者も多い! そして、なんと、われらの「世紀のハンサムボーイ」矢口高雄は? 銀行員出身である!!(GYAAAN) ……と、いきなり『プロレススーパースター列伝』(梶原一騎+原田久仁信)のセリフ改変で話を始めましたが、昨年に亡くなられた釣り漫画の巨匠・矢口高雄は、高校を卒業した昭和33年(1958年)4月から10年以上羽後銀行(秋田あけぼの銀行と合併して現在は北都銀行)で銀行員をした後に、30歳という当時としてはかなり遅咲きのデビューをして漫画家になったという、けっこう異色の経歴の持ち主として知られています。ちなみに、「世紀のハンサムボーイ」というのは、賢明なる『釣りキチ三平』の読者ならおわかりでしょうが、作中に作者本人が登場して解説をするシーンでそう自称するのがお約束だったことによります。 『

                                                    矢口高雄『9で割れ!!』—昭和銀行員の奮闘記+矢口版『まんが道』と一粒で二度おいしい一作 | マンバ通信
                                                  • 青山広美インタビュー前編 ギャグに始まり少女漫画、SF麻雀漫画まで多様な漫画家生活初期 | マンバ通信

                                                    青山広美。麻雀漫画をある程度以上読んでいる人であれば、ほとんどがこの名前を知っていることでしょう……という青山氏についての説明は、インタビューに併せて書いた特集記事をお読みください。デビューしてから40年、数多の傑作もものしてきたというのに、インタビューは『ダイヤモンド』連載当初に小学館のウェブサイト上で小さいものがあったのみというわけで行ってきた次第。 現在お住まいである仙台の喫茶店にて、現在連載中の『ストラグリング・ガールズ~一発逆転の頭脳決戦~』担当である秋田書店の小林氏を交え、デビューから最新作までじっくりお話を伺いました。 【デビューと「青山パセリ」時代】 ——まずは漫画家になられたきっかけというところからお聞きしたいんですけれども。お好きな漫画家さんとかいらっしゃったんでしょうか。 青山 子供の頃から漫画は読んでいましたが、小学生の頃はジャンプとかマガジンとか普通の少年誌でした

                                                      青山広美インタビュー前編 ギャグに始まり少女漫画、SF麻雀漫画まで多様な漫画家生活初期 | マンバ通信
                                                    • 藤子・F・不二雄「四畳半SL旅行」の背景あれやこれや | マンバ通信

                                                      『藤子・F・不二雄大全集 少年SF短編 2巻』 このたび、小学館から『藤子・F・不二雄SF短編コンプリート・ワークス』が刊行されはじめましたね。おらが地元の川崎市 藤子・F・不二雄ミュージアムでは「藤子・F・不二雄のSF短編原画展 -Sukoshi Fushigiへの招待-」を開催中ですし、NHK BSプレミアムで「定年退食」「流血鬼」など10作品の実写ドラマも放映(や、この原稿書いてるうちはまだ放映されてないんですが)。で、4月25日発売の『SFマガジン』2023年6月号も、これらに合わせて「藤子・F・不二雄のSF短編」特集です。プロフィール文にも書いていますが、当方はたまに(2〜3年に1回くらい)『SFマガジン』に原稿を書くことがある身でして(一応SF界隈の人間なんすよ)、この特集における作品総解説でも2本書いています。今回はそのうちの一本「四畳半SL旅行」(書いたもう一本は「休日のガ

                                                        藤子・F・不二雄「四畳半SL旅行」の背景あれやこれや | マンバ通信
                                                      • 「その問題 バイブドアのヤリエモンさまも挑戦するぞ!」―玄太郎『男!日本海』のくだらな素晴らしさ | マンバ通信

                                                        「男!日本海〜謎街道をゆく〜」第8話より 突然ですが、もしあなたが今、「どうしようもないほどにしょうもなくて下らないものを読んでアハハと笑いたい」という気持ちで、そして「下ネタがどうしてもダメ」という人なのでなければ、玄太郎先生の『新 男!日本海』を読みましょう。読むべきです。 「いきなり『新』とかついてるのを読めと言われても……」と思われるかもしれませんが、本作を読むに当たっては、以下の三点さえ分かっていれば問題ないです。 ・本作は、ある出来事で地元にいられなくなった高校生・魁日本海(さきがけ・にほんかい)が、全国を旅して回る1話完結のコメディです。 ・彼の陰茎は、八寸(約24センチ)の長さがあって胴につかんばかりに反り返ることから「八寸胴返し」の異名をとっている名刀です。 ・本作品に登場する人間は、男も女もほぼ全員セックスが好き。とにかくセックスが大好き。名前からして星井音子(ほしいお

                                                          「その問題 バイブドアのヤリエモンさまも挑戦するぞ!」―玄太郎『男!日本海』のくだらな素晴らしさ | マンバ通信
                                                        • 「ブザマに負けんかい!」と「ほんまに負けてどないすんねん」の間で—ヒロインピンチと小野中彰大『魔法少女にあこがれて』 | マンバ通信

                                                          「ブザマに負けんかい!」と「ほんまに負けてどないすんねん」の間で—ヒロインピンチと小野中彰大『魔法少女にあこがれて』 『魔法少女にあこがれて』 「ヒロインピンチ」というジャンルがあります。略して「ヒロピン」とも呼ばれます。「強い戦闘ヒロイン(魔法少女的な変身ヒロインであったり、特撮変身ヒロインであったりします)が、敵によってピンチに陥る」というシチュエーションに興奮する、そういう性的嗜好のことです。この辺、いわゆる「リョナ」(「猟奇オナニー」の略。暴力や拷問などで苦しむ様子に興奮する性的嗜好のジャンル)や「DID」(”Damsel in distress”の略。囚われて緊縛されたり猿轡されたりしてる女性を好む性的嗜好のジャンル。英語圏では根強い人気がある概念らしいですが前回のコラムで書いたとおり筆者は英語がぜんぜん駄目なのであまり詳しくなく)などとベン図的に重なりつつも完全にイコールではな

                                                            「ブザマに負けんかい!」と「ほんまに負けてどないすんねん」の間で—ヒロインピンチと小野中彰大『魔法少女にあこがれて』 | マンバ通信
                                                          • 若気の至りのペンネーム。山止たつひこ改め秋本治 『こちら葛飾区亀有公園前派出所』 | マンバ通信

                                                            『こちら葛飾区亀有公園前派出所』 『こちら葛飾区亀有公園前派出所』は、1976年の連載開始です。そして今年の秋で2016年の連載終了から5年が経とうとしてます。 早いものですね。連載終了時の世間が一体となった盛り上がりが昨日の事の様です。 連載開始の頃。私は中学3年の秋でした。高校受験を控え大事な時期。 この時どれくらい漫画を読み続けていたかは記憶にありません。 受験勉強で読むのを控えていた。毎日通っていた貸本屋さんも行かない。 と思うのですが、初期こち亀の記憶があるという事は読んでたんでしょう。 まあまだ秋ですから。 受験に切羽詰まるのは年が明けてから。 ギリギリにならないと目の前の事に打ち込まない性分は今も変わってません。 当時は山上たつひこさんの『がきデカ』が『週刊少年チャンピオン』誌上で猛威を振るっていたと言っていい頃です。 『がきデカ』は連載から2年が経過してましたが、その人気た

                                                              若気の至りのペンネーム。山止たつひこ改め秋本治 『こちら葛飾区亀有公園前派出所』 | マンバ通信
                                                            • 第1回 VRでドラゴンは食べられるようになるか?『ダンジョン飯』 | マンバ通信

                                                              鳴海拓志と申します.普段は大学でVR(バーチャルリアリティ)の研究をしています.VRを使えば,現実とは違うどんな世界でも体験できます.マンガの世界にVRで飛び込んでみたくないですか? 昨今ではマンガのアニメ化や映画化が当たり前になっている中,このままVRブームが続いてくれれば,マンガのVRコンテンツ化も続々と登場してくるかもしれません. でも,マンガをVRにするってどういうことでしょう? それが分からないから,マンガ家さんも編集さんもマンガをVRコンテンツにできていないのかも? そんなままではVRブームも盛り上がらない.そこで,マンガをVR化するならどんなものを作ると楽しそうか,学生さんたちと一緒に,勝手に考えていくことにしました. さて,まずはどのマンガからVRにしてやろうかな,と考えていて目に飛び込んできたのが九井諒子さんの『ダンジョン飯』.ダンジョンの奥深くでドラゴンに襲われて妹を失

                                                                第1回 VRでドラゴンは食べられるようになるか?『ダンジョン飯』 | マンバ通信
                                                              • 引っ越ししなきゃいけないので部屋の片付けしたら出てきた—『漫画ゴラク』創刊号を読む | マンバ通信

                                                                皆さん、『漫画ゴラク』好きですか。好きですよね。筆者は好きです。筆者のこのコラム、初回では『男!日本海』を紹介しましたし、前回は『優駿劇場』を紹介しました。今後紹介しようかなーと何となく思ってる作品の中にもいくつかゴラク作品があります。ゴラク編集部の方には足を向けて寝れる気がしません。 さて、それとは別に、筆者はいま家の片付けに追われています。しばらく前に借りてる家の大家から「老朽化ひどいんでそこ取り壊すから」と通達を受けまして、こっちとしてもそろそろ引っ越そうかと思ってたんでOKはしたんですが、本やら同人誌やらで床が見えないゴミ屋敷のようになってる家をなんとかしないといけない。そうして家を片付けていると、「あーそういや俺こんなの買ってたなー」というものが出てくる出てくる。そうやって出土したものの中に、『漫画ゴラク』の創刊号(1964年1月1日号)というものもありました。 というわけで、今

                                                                  引っ越ししなきゃいけないので部屋の片付けしたら出てきた—『漫画ゴラク』創刊号を読む | マンバ通信
                                                                • 木村政彦はなぜ水戸黄門を殺さなかったのか—みのもけんじ「嵐山スターウォーズ 最強タッグ伝説 助&格」は俺達が見た幻覚じゃない | マンバ通信

                                                                  木村政彦はなぜ水戸黄門を殺さなかったのか—みのもけんじ「嵐山スターウォーズ 最強タッグ伝説 助&格」は俺達が見た幻覚じゃない 『水戸黄門REVOLUTION』 プロレスという格闘技があります。近年では一時期の人気低迷を脱していることは知られておりますが、昭和の昔、その人気は今よりもはるかに国民的なものでした(いや筆者も、力道山の頃とか猪木の異種格闘戦の頃とかはまだ生まれてないので、リアルタイムでは知らないところが多いんですが)。そんな昭和プロレスの実在スターたちを主人公にした漫画というのもありまして、中でも筆者が二大巨頭と思っているのが、『少年サンデー』で80〜83年まで連載されていた梶原一騎+原田久仁信『プロレススーパースター列伝』と、『フレッシュジャンプ』で84〜87年まで連載されていた、原康史+みのもけんじ『プロレス・スターウォーズ』です。 『列伝』は、言うなれば史書です。各章ごとに

                                                                    木村政彦はなぜ水戸黄門を殺さなかったのか—みのもけんじ「嵐山スターウォーズ 最強タッグ伝説 助&格」は俺達が見た幻覚じゃない | マンバ通信
                                                                  • 『1日外出録ハンチョウ』で大槻達が外出した日数や使ったペリカを数えてみた | マンバ通信

                                                                    『1日外出録ハンチョウ』、面白いですよね! 私はスピンオフ元の『賭博破戒録カイジ』もリアルタイムで読んでいた世代なのですが、あんなにも敵として憎たらしく、そしてカイジの美しいまでに計算され尽くした策略で完全敗北した大槻班長達のことを、まさかスピンオフで最新話が待ち遠しいほどの存在になろうとは思いませんでしたね。『中間管理録トネガワ』が始まって、かつめちゃくちゃ面白かった時も驚いたものですが、まさかさらなるスピンオフ第2弾がまた別路線の面白さを発揮して長期連載になろうとは……。私なんてハンチョウが面白過ぎるあまりに、第10話[蛤門]の京都聖地巡礼回や、第19話[混沌]の名古屋、第46-47話の長野旅行で訪れていた善光寺の山門、第92話[主役]の新宿タカノパフェリオ本店など、各所の舞台探訪をしたこともあるくらいです。 【関連記事】 『1日外出録ハンチョウ』京都聖地巡礼回の聖地巡礼 『1日外出録

                                                                      『1日外出録ハンチョウ』で大槻達が外出した日数や使ったペリカを数えてみた | マンバ通信
                                                                    • 今のきらら読者にも知ってほしい。萌え4コママンガの始祖、海藍先生の『トリコロ』 | マンバ通信

                                                                      2002年5月、4コママンガ史における大きな出来事が起きました。 『まんがタイムきらら』の創刊です。 この雑誌は「萌え4コママンガ」と言うジャンルを定着させました。 その立役者と言っても過言ではない作品を今回、取り上げます。 その作品は、海藍(はいらん)先生の『トリコロ』です。 主人公は架空の都市、長織県長織市に住む高校2年生の七瀬八重。 母親の七瀬幸江と2人暮らしだったがある日突然、幸江の友人達の娘である青野真紀子(あおのまきし)と由崎多汰美(ゆざきたたみ)と同居することに。 さらに、クラスメイトの潦景子(にわたずみけいこ)を加えた日常を描いた作品です。 海藍先生は当時、『まんがタイムジャンボ』で行われていた「新人鑑定団」と言う企画出身です。 この企画は新人発掘が目的で、掲載された方は新鋭と呼ばれていました。 そこから数多くの作家さんが育って行きました。 重野なおき先生の『ひまじん』。師

                                                                        今のきらら読者にも知ってほしい。萌え4コママンガの始祖、海藍先生の『トリコロ』 | マンバ通信
                                                                      • 2020年もっとも読者をグラつかせるマンガ『こづかい万歳』 | マンバ通信

                                                                        今年7月にコミックス1巻が発売され、すでにあちこちで話題になっている吉本浩二『定額制夫の「こづかい万歳」 ~月額2万千円の金欠ライフ~』。 僕も好きな作品なのですが、いまだにこのマンガをどう紹介したらいいのか、ちょっとわからないところがあるんですよ。描いてある内容は単純明快でサクサク読める。しかし読んでいるこちらの「心の置きどころ」がわからない。 今回はその「わからなさ」について書いてみようと思います。 主人公は埼玉県の郊外に暮らすマンガ家、吉本浩二(45歳)。このマンガの作者本人です。つまりこの作品、実録マンガだと言っていい。 彼の月々のおこづかいは2万千円。40代男性サラリーマンの平均的なおこづかいは3万7千円(新生銀行調べ)らしいので、なかなかに少ない。この少ないおこづかいをいかにやりくりして、快適な生活を送っていくか…という創意工夫が描かれていきます。 タバコも酒もやらない吉本の唯

                                                                          2020年もっとも読者をグラつかせるマンガ『こづかい万歳』 | マンバ通信
                                                                        • 未完の完—石川賢とダイナミックプロ『マンガ神州纐纈城』にみるKEND | マンバ通信

                                                                          ガン! ガン! ガン! ガン! 若い命が真っ赤に燃えて……のアニメOP曲も印象的な、「変形合体ロボットもの」の元祖であり、後に『天元突破グレンラガン』などの作品にも大きく影響を与えた偉大な作品『ゲッターロボ』。作者の一人である石川賢が急逝してはや15年近い月日が流れましたが、近年でも『ゲッターロボ牌』という麻雀漫画のスピンオフまで登場しているなど、その存在感は未だに衰えることがありません。 さて、そんなゲッターの生みの親である賢先生のファンの間で使われる言葉として、”KEND”(KEN+END)という概念があります。「あります」というか筆者がむかし昔考えた言葉なんですが。なんとはなしに思いついて使ったら知り合いのブログとかでも使われるようになり、そこからの影響か2ch(当時)の石川賢スレとかでも使われてるのを見るなど、微妙に膾炙しました。いやもちろん、「自分も賢先生のファンだけど、KEND

                                                                            未完の完—石川賢とダイナミックプロ『マンガ神州纐纈城』にみるKEND | マンバ通信
                                                                          • 鷲尾が鷲尾であるために─「柔道部物語」再読のすすめ | マンバ通信

                                                                            今日は小林まこと「柔道部物語」の話をします。 マンガの紹介というよりは、ほぼ「知ってる前提」みたいな話になると思いますが。 「柔道部物語」が今もどれだけ読み継がれているのかは分からないけれど、少なくともある世代の男子にとっては、ほとんど共通言語のようなマンガだったんですよ。だから以前、「アメトーーク!」のマンガ大好き芸人の回で、有吉弘行がこの作品を挙げて「小林まことに絶大な信頼を置いている」と語っていたのは、まったく特別なことではなく、あの世代の男子の典型だと言ってもいいくらいで。 で、今でもときどき「柔道部物語」のことを思い出すのですが、その思い出す対象って、主役の三五十五ではないのです。思い出すのはなぜか決まって先輩・鷲尾のこと。もっと具体的に言うと、7巻のある場面なんですけど。 時間というフィルターを経て、三五よりも鷲尾のほうが強く印象に残っているということは、たぶん自分にとって「柔

                                                                              鷲尾が鷲尾であるために─「柔道部物語」再読のすすめ | マンバ通信
                                                                            • 独特な細い線の絵柄が怖さを増す。恐怖漫画の傑作「わたしの人形は良い人形」山岸凉子 | マンバ通信

                                                                              『わたしの人形は良い人形』 数年前、人形を恐怖の道具として使わないで欲しいという意見がある団体から出ているというニュースを見ました。 真っ先にこの作品が頭に浮かび、まさか封印されるなんて事は無いよなと懸念したのをはっきり憶えてます。 怖い系の漫画も映像作品も苦手な私ですが、個人的に恐怖漫画の最高傑作だと思っております。 これまでにとにかく怖いから読め、と色んな人に勧めてきました。 度重なる蔵書整理で何度か手元からは消えてますが、昨年末に入手。 またじっくり読み返してこの記事を書く次第です。 私の中の殿堂入り作品。あえて探して入手せずとも、必ずこの本は私の手元に戻ってきます。 初めて読んだのは20代後半です。30年以上前になりますが帰省して実家に帰った際に妹が購入しておりました。 なんか凄い物を読んでしまったと少し呆然としたのを憶えてます。 「汐の声」や「ゆうれい談」も読んで、山岸凉子さんて

                                                                                独特な細い線の絵柄が怖さを増す。恐怖漫画の傑作「わたしの人形は良い人形」山岸凉子 | マンバ通信
                                                                              • 嶺岸信明インタビュー(前編):麻雀漫画単行本冊数日本一になる漫画家の麻雀原体験 | マンバ通信

                                                                                デビューしてから約40年。麻雀漫画史上空前の大河連載作品『天牌』を筆頭とした、麻雀漫画単行本冊数日本一(当然世界一でもあります)の漫画家であり、麻雀以外でも、カンヌ国際映画祭グランプリ受賞映画の原作にしてアイズナー賞も受賞した『オールド・ボーイ ルーズ戦記』(原作:土屋ガロン(狩撫麻礼))など数多くの作品を発表してきた嶺岸信明氏。青柳裕介氏のアシスタント時代から 『週刊漫画ゴラク』で現在連載中の『オーラス-裏道の柳-』まで、ゴラクの担当編集A氏を交え、じっくりとお話を伺いました。 漫画家デビューのころ ——まずは漫画家を目指されるまでのことからお伺いしたく思います。宮城県のご出身と以前仰っていましたが。 嶺岸 そうです。加美町っていうところです。『ぼのぼの』のいがらしみきおさんが同じ加美町出身ですね。 ——昔の、「日本漫画学院」のリレーインタビューに「矢口高雄さんや石井いさみさんの作品を模

                                                                                  嶺岸信明インタビュー(前編):麻雀漫画単行本冊数日本一になる漫画家の麻雀原体験 | マンバ通信
                                                                                • 壊れやすい卵のための21世紀マンガレビュー 村上かつら『淀川ベルトコンベア・ガール』 | マンバ通信

                                                                                  1 はじめに 2009年2月、村上春樹はエルサレム賞の受賞挨拶で「もしここに硬い大きな壁があり、そこにぶつかって割れる卵があったとしたら、私は常に卵の側に立ちます」*1と宣言しました。「壁」と「卵」のメタファーに関して、彼はつぎのように説明しています。 こう考えてみてください。我々はみんな多かれ少なかれ、それぞれにひとつの卵なのだと。かけがえのないひとつの魂と、それをくるむ脆い殻を持った卵なのだと。(略)そして我々はみんな多かれ少なかれ、それぞれにとっての硬い大きな壁に直面しているのです。その壁は名前を持っています。それは「システム」と呼ばれています。*2 このように述べたうえで、彼は自分が小説を書く理由は「個人の魂の尊厳を浮かび上がらせ、そこに光を当てるため」であり、「我々の魂がシステムに絡め取られ、貶められることのないように、常にそこに光を当て、警鐘を鳴らす」ことこそが物語の役目だと聴

                                                                                    壊れやすい卵のための21世紀マンガレビュー 村上かつら『淀川ベルトコンベア・ガール』 | マンバ通信

                                                                                  新着記事