まずは著者の紹介からはじめよう。 管賀江留郎氏は在野の研究者にして著述家である。長年、ウェブで「少年犯罪データベース」を主宰し、また2007年には、そこに集積された資料に基づいて『戦前の少年犯罪』(築地書館)を上梓した。 この本に盛り込まれた内容は、少年犯罪の“増加”や“凶悪化”に心を痛め、その元凶として、現代の薄情な潮勢から時代の風俗の病理、果ては戦後日本人の堕落までを論おうとする人々にとって、さだめし衝撃的であったに違いない。 「戦前」には、子の親殺し、小学生による殺人、未成年者の「動機のみえない」異常犯罪や幼女レイプが多発し、キレ易い子供の暴力も日常茶飯事だった……。 『戦前の少年犯罪』はひたぶるにありのままの事実を突き付けた。私達が忘却していただけなのである。忘れ易い私達は、例えば「戦前」の新聞を「何紙か読むだけで年に30件や40件の親殺し記事を見つけることができ」るのに、記録を共