堺化学工業の湯本工場(福島県いわき市)で2021年5月11日、粉じん爆発が発生した。午前7時40分ごろ、従業員が亜鉛粉末の分級工程で分級ファンを起動した直後だった。分級ファンの羽根の表面に付着した堆積物が偶発的に剥離して、回転軸が偏芯。偏芯した回転軸が分級ファンのきょう体と接触して火花が生じ、浮遊する亜鉛粉末に着火した。 亜鉛粉末(以下、亜鉛末)の粉じん爆発が発生したのは、従業員が分級ファン*1を起動してから2分後のことだった。同ファンから異音が生じているのに気付いた従業員がスイッチを切ろうとしたところ、スイッチを切る前に爆風を浴びたという。爆発と火災は他の設備に広がり、工場の建屋も破損(図1)。重傷者1人、軽傷者3人の事故となった。 *1 分級ファン ここでは、亜鉛末の分級設備に気流を送るファンのこと。粒径の異なる亜鉛末をこの気流に乗せて分級機に送り、大きさごとに振り分けていた。