言葉の種がいっぱいの古事記を声に出して読んでみて――。稗田阿礼(ひえだのあれ)ゆかりの地をアピールする奈良県大和郡山市はこのほど、古事記を読み下し文にした書籍「ゆずりは 古事記」を発行した。郷土の歴史を知ってもらおうと、市内外の学校や図書館に1千冊を寄贈する。 著者は古事記など口承文芸を独特の節回しで読み上げる「やまとかたり」で知られる大小田(おおこだ)さくら子さん(63)。古事記の上巻(かみつまき)神代編の全原文と現代語訳からなり、声に出して読みやすいよう「あめつちの はじめのとき」というように、ひらがなを区切って表記した。 「古事記には日本人が大切にしてきた自然観や、言葉に対する思いが込められている」と話す大小田さん。言葉の魅力が途絶えることなく伝えられることを願い、次々と若い葉が生まれる樹木ユズリハを題名に採り入れたという。藍型染めの挿絵は次女で、型染め作家の万侑子(まゆこ)さん(3