大学入試問題は,基本的に昨年の傾向・形式が維持されると予期される。大学入試は選抜であるともに,その大学の講義についていけるだけの学力があるかどうかを測ることが目的であるから,大学の特色に沿った入試問題が課されるのである。結果として蓄積された過去問は「欲しい学生像」を伝えるメッセージとなっている。 ところが,受験世界史において意外と不安定なものがある。国公立大学の論述字数である。一回の試験で課される論述字数の多寡は,試験の傾向を決める大きな要素である。試験時間あたりの総論述字数が多ければ,制限時間の中で急いで知識を整理して文章をまとめる処理能力を測っているということになる。この場合,問題の要求自体は易しいことが多い。逆に,試験時間あたりの総論述字数が少なければ,比較的ゆとりのある試験時間の中で熟考する能力があるかを測る設定になっている。たとえば,字数が安定している大学を選んで言及すれば,筑波