写経生の1日分の「給食」を再現したもの。左手前が蒸した米、左奥が水戻ししたワカメ・アラメなど。すべてで約8キロもの分量になった=三舟隆之教授提供 奈良時代の役人も、現代人になじみの深い病に悩まされていた――。そんな可能性を、当時の「給食」を再現した古代史研究者らが指摘している。カギになるのは、正倉院に伝わる文書に記されている、朝夕2回支給された食料の内容。平安中期になると権勢を極めた藤原道長も苦しんだと言われるその病とは? 「文献に忠実に」食事再現 奈良時代に書かれた正倉院文書や木簡などには食材や食器、調理具の記録が残るが、調理法や加工法は分からず、どのような料理をどうやって食べていたのかはっきりしない。東京医療保健大の三舟隆之教授(日本古代史)らは、当時の食事を再現する研究に2011年から取り組んでいる。 「現代の調理法などを前提とせず、文献や考古資料の情報にできるだけ忠実に、いかに加工