最近、自殺的な要素を含む事件をめぐり、「拡大自殺」という概念が語られるようになった。どのようなものを指すのか。 拡大自殺と間接自殺 関西国際大学心理学部の中山誠教授(犯罪心理学)によれば「他者を同意なく巻き添えにして殺害し、自分も死のうとする行為」。一般的には子育てに悩んだ母親や介護に疲れた人が家族を道連れに自殺するような、いわゆる「無理心中」を指すことが多いという。 これを「狭義の拡大自殺」とすると、「広義の拡大自殺」とすべきものもある。 例えば無差別殺傷事件において、「死刑」になったり刑務所に入ろうとしたりするだけでなく、他者を巻き込みながら自ら現場で命を絶つようなケースだ。 2021年12月、大阪・北新地の雑居ビルに入る心療内科クリニックが放火され、現場に居合わせた院長やスタッフ、患者ら計26人が死亡した事件では、容疑者の男性(当時61歳)もやけどを負い、後日、搬送先の病院で死亡した