「話題の国立競技場を設計した、現代を代表する建築家の展覧会」。 そんなイメージで会場を訪れると、意表を突かれるかもしれない。東京国立近代美術館で開催中の『隈研吾展 新しい公共性をつくるためのネコの5原則』は、そのタイトル通り、コロナ後の公共空間のあり方を、街をうろつく半ノラのネコの生態に尋ねる、一風変わった視点を持つ建築展だ。 会場は大きく二つに分かれ、ネコのリサーチに基づく都市への提案があると同時に、「孔」「粒子」「斜め」「やわらかい」「時間」という5つのキーワードを切り口に、隈研吾のこれまでの仕事が紹介されている。全体に感じられるのは、環境から自立した「普遍的なハコ」を作るという近代の建築観を更新しようとする、隈の挑戦の軌跡だ。 今回はそんな展覧会を、バンド「ペトロールズ」のメンバーであり、椎名林檎や星野源のサポートでも知られるギタリストの長岡亮介さんと回った。じつは大学で建築を学んで