動物園の大型肉食獣に、毛皮や骨がついたままのシカを餌として与える企画が30日、豊橋総合動植物公園(愛知県豊橋市)で実現した。自然界での食べ物に近い餌を食べさせることで、飼育動物をより健康にしようという取り組みだ。動物園生まれの猛獣は「野性」に目覚めたのだろうか。 放飼場の扉が開くと、オト(ライオン・雌・20歳)はシカ肉に駆け寄った。4本の脚がついたままの重さ10キロのシカをくわえて運び、じっくりと表面をなめた。ときどき周囲を見渡しながら、骨をかみ砕く音を響かせて食べ始めた。 「屠体(とたい)給餌(きゅうじ)」と呼ばれるこの取り組みは、飼育環境を自然の状態に近づけようとする活動の一環で、国内外の動物園が導入している。有害鳥獣として駆除された動物を適切に処理し、飼育する肉食獣に与える。感染症の危険がある内蔵と頭部は取り除き、一度冷凍してダニや寄生虫を殺す。その後、約60度で湯煎し殺菌する。今回