「ここ2、3年は、“求人詐欺”の問題に取り組んでいます。給料や手当を実際より高く偽った求人で、企業が求職者を騙しても罰せられることはなく、野放し状態なんです……」 『ブラックバイト 学生が危ない』(岩波新書)、『求人詐欺 内定後の落とし穴』(幻冬舎)の両著とも、実践家の今野氏らしく対処法や改善事例が豊富に綴られている 年間2000件超の労働相談を行うNPO法人POSSE代表・今野晴貴はこう話した。 「典型的なケースは、月給30万円の求人を見て就職したら、基本給が15万円で残業代が15万円だったというもの。このように、求人する側の企業は嘘のつき放題ですが、実際、厚労省は一度も取り締まったことがない。特に、介護業界と保育業界は酷くて、求人内容と実際の給料が合っているほうが珍しいくらいです。これらの業界は給料が安いので、高いように偽らないと人が集まらないし、同業他社が“求人詐欺”で高待遇を謳って