Appleのデザイン史-1 予期せぬ新旧交代 「電卓(電子卓上計算機)」という言葉がまだ輝きを失っていない時代の1972年、価格を一気に3分の1以下の12,800円とした衝撃的な「カシオ・ミニ(6桁)」が発売となった。商品は爆発的に売れ、10ヶ月で百万台を突破、「電卓」の大衆化の流れを決定的なものとした。さらに、雨後の筍のごとく出現していた多くの「電卓メーカー」が、これを機会に撤退せざるをえないという「電卓戦争」に一つのピリオドを打つ事件でもあった。 全世界がこの安価で電池で動作するコンパクトな「夢の電卓」に満足し、その使い勝手に酔いしれていた、その翌年、今度は思いがけない「電卓真打ち」候補が世界で一斉に発売された。タイプライターのメーカーとして名高い、デザインの国、イタリアのオリベッティ社の「Divisumma 18」である。それは同社の社運をかけた意欲的な商品であることは見ただけで、誰