発達障害にはどんな特徴があるのか。東京大学名誉教授で精神科医の加藤進昌さんは「症状の特徴だけを見れば、似通っている精神疾患が複数ある。専門医も誤診することがあるので、注意が必要だ」という――。 ※本稿は、加藤進昌『ここは、日本でいちばん患者が訪れる 大人の発達障害診療科』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。 外来の半数以上は「発達障害ではない」患者 医療に携わる者の目から見て、「発達障害」がより多くの人に理解されるようになること自体は、喜ばしいことだといえます。しかし、社会での認知が広がるにつれ、「発達障害」という言葉が独り歩きを始め、どうかすると、脇道に逸れてしまいかねない状況が散見されるようになりました。 実際、「私は発達障害だと思います」と言って専門外来を受診する患者を、発達障害の専門医が診断した結果、「発達障害ではない」とわかる人が続々と現れるといった現象も起きています。