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  • 沖縄の翁⻑前知事が菅新政権の喉元に残した「楔」 - 阿部 藹|論座アーカイブ

    沖縄の翁⻑前知事が菅新政権の喉元に残した「楔」 菅⽒と翁⻑⽒の間にあった決定的な歴史認識の齟齬 阿部 藹 琉球大学客員研究員 5年前の2015年9月21日(現地時間)、翁長雄志沖縄県知事(当時)はスイス・ジュネーブでの国連人権理事会で歴史とも言える口頭声明を発表した。翁長知事は「沖縄の人々は自己決定権や人権をないがしろにされています」と主張し、日本政府に対し沖縄の人々の人権を尊重するよう求め、その民主主義の在り方を問うたのだ。 国際法上「自己決定権」は重い言葉だ。特に人権理事会において自国の政府によってその権利がないがしろにされていると主張することは、国家としての統合性に楔を打ち込むようなものである。 2年前に志半ばで病に斃れた翁長知事はその重い楔をどうして手に持ち、打ち込んだのか。いや、「打ち込まざるを得なかった」のか。 その背景には、当時官房長官だった菅義偉新総理大臣との間で明らかにな

      沖縄の翁⻑前知事が菅新政権の喉元に残した「楔」 - 阿部 藹|論座アーカイブ
    • 「オフレコ懇談会」を問い直す~菅首相と官邸記者の「パンケーキ朝食会」を機に - 高田昌幸|論座アーカイブ

      「オフレコ懇談会」を問い直す~菅首相と官邸記者の「パンケーキ朝食会」を機に 高田昌幸 東京都市大学メディア情報学部教授、ジャーナリスト 依然として「権力とメディア」の関係が問われ続けている。菅義偉政権の誕生後も、それは変わっていない。首相と番記者による「オフレコ懇談」は、その象徴だ。すでにあちこちで論評されているが、実際にはどんなことが生じているのか。過去の事例とも比較しながら考えたい。 16社が参加、3社が欠席した「パンケーキ懇談会」 菅政権発足後に限って言えば、政権取材の在り方が最初に問われたのは、10月3日(土曜日)の朝に東京・渋谷の飲食店で行われた「内閣記者会に所属する記者との飲食を伴う懇談会」である。 その飲食店がパンケーキで有名だったことから、ネット上では「パンケーキ懇談会」などと称されている。もともと菅首相はパンケーキ好きとされており、あえてパンケーキで有名な店を開催場所に指

        「オフレコ懇談会」を問い直す~菅首相と官邸記者の「パンケーキ朝食会」を機に - 高田昌幸|論座アーカイブ
      • 玉川徹バッシングの真の危機とは何か──政治問題化した背景 - 柴山哲也|論座アーカイブ

        テレビ朝日系「羽鳥慎一モーニングショー」の玉川徹コメンテーターが、安倍元首相の国葬で菅前首相が述べた弔辞には「(演出に)電通が入っていた」と発言した「事件」の波紋が広がっている。 9月28日の発言翌日、玉川氏が番組で事実誤認と謝罪した後もネットやテレビ、自民党政治家らが玉川氏の番組降板を要求するバッシングが続いた。 玉川氏は10日間の出勤停止処分を受けたあと、10月19日に同番組に出演し、電通と菅前首相に対して改めて謝罪した。そして、事実確認の取材の基本にもう一度立ち返る、自分に慢心や驕りがあった等と反省を語り、深々と頭を下げた。 電通の関与があったとする玉川発言に事実誤認があったとしても、いやしくもジャーナリズムの現場に身を置くベテランが全く根も葉もないことを口走るものだろうか。玉川氏の発言が問題になったとき、私はまずそれを考えた。事実確認を怠ったのはプロとして弁解の余地はないが、まだ語

          玉川徹バッシングの真の危機とは何か──政治問題化した背景 - 柴山哲也|論座アーカイブ
        • アフガニスタンの「女性の人権」をどう考えるか - 清末愛砂|論座アーカイブ

          アフガニスタンの「女性の人権」をどう考えるか タリバンだけが「悪」なのか、複雑な歴史を総合的に考える必要性 清末愛砂 室蘭工業大学大学院教授(憲法学、家族法、アフガニスタンのジェンダーに基づく暴力) イスラム主義勢力タリバンが暫定政権を発足させたアフガニスタン。旧政権時代、女性に対して就労や就学の制限など差別的な施策を行ってきたタリバンが、再び女性の人権を抑圧するのではないかという懸念が広がっている。この問題について、長年アフガニスタンの女性や子供の状況を調査・研究し、現地のフェミニズム団体との交流も深い清末愛砂さんに寄稿してもらった。 【編集部より】 清末さんの原稿は「ターリバーン」「イスラーム」「カーブル」と表記されていますが、検索などの際の利便性を考慮して、筆者にご了解をいただき、現在の朝日新聞の用語表記「タリバン」「イスラム」「カブール」で掲載します。 国際社会の「懸念」への違和感

            アフガニスタンの「女性の人権」をどう考えるか - 清末愛砂|論座アーカイブ
          • クマを森から出さないためにやるべきこと - 小池伸介|論座アーカイブ

            クマを森から出さないためにやるべきこと 人とクマとの共存には、魅力的な食べ物をなくし、棲み分けを考えていく必要がある 小池伸介 東京農工大学大学院准教授、日本クマネットワーク副代表 今秋も各地でツキノワグマ(以下、クマ)の人里への出没が相次いだ。中には、温泉街や商業施設の中にまで入り込むクマも出現し、おおいにメディアを賑わせた。しかし、残念ながら、クマとの接触により数名が亡くなられるとともに、多くの方がけがを負ってしまった。ここでは、なぜクマは人里に出没し、どうしたら人との遭遇をなくすことが出来るのか、そしてクマとの共存をどう進めるのかについて考えたい。 なぜ、秋にクマは人里に出没するのか クマは雑食動物であるが、食べ物のほとんどを植物が占める。秋の主食はブナ科の果実、いわゆるドングリである。クマの秋は専門的には食欲亢進期とも呼ばれ、食べたいという欲求が高まる時期である。それは、冬になると

              クマを森から出さないためにやるべきこと - 小池伸介|論座アーカイブ
            • 「地方紙と首長と議会のなれ合いは、徳島だけじゃなく全国的な地方政治の劣化の問題です」 - 木下ちがや|論座アーカイブ

              「地方紙と首長と議会のなれ合いは、徳島だけじゃなく全国的な地方政治の劣化の問題です」 後藤田正純インタビュー/上 木下ちがや 政治学者 第2次安倍政権末期から、各地で保守分裂選挙が勃発している。とりわけ野党勢力が比較的弱い西日本地域では、島根、福岡、福井そして徳島の知事選で保守系が分裂した。他方で東北地方や沖縄のように、保守層の一部が野党側にまわり野党共闘を進化させているケースもある。茨城県の保守系代議士中村喜四郎氏の立憲民主党への入党は、旧来型の保革対立から、新たな日本社会の状況にあわせた政治的対立軸が生まれつつあることを示している。いまたたかわれている名古屋市長選もまた、従来の保革対立の枠組みでははかれない展開を見せている。 徳島はこの保守分裂の流れを象徴する県である。知事選、各市町長選では知事派の保守系と、反知事派の保守系に同伴した国政野党や市民運動との争いがここ数年続いている。この

                「地方紙と首長と議会のなれ合いは、徳島だけじゃなく全国的な地方政治の劣化の問題です」 - 木下ちがや|論座アーカイブ
              • 官邸記者クラブで20年前に起きた「指南書事件」が問いかけるもの - 高田昌幸|論座アーカイブ

                官邸記者クラブで20年前に起きた「指南書事件」が問いかけるもの 森喜朗首相の「神の国発言」釈明会見の水面下で何があったのか 高田昌幸 東京都市大学メディア情報学部教授、ジャーナリスト メディアが時の政権を忖度し、妥協し、すり寄り、そして敗れる。ずっと昔からあったメディアの歪みを、多くの市民は詳らかに知らないかもしれない。当のメディアが自らのマイナス課題を避け、記事や番組としてほとんど伝えてこなかったからだ。 今からちょうど20年前、2000年の森政権下で起きた「指南書事件」はその象徴であり、首相官邸と政治記者の関係を示す空前の“事件”だった。 森首相の「神の国発言」 延期になった2020東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗氏は2000年当時、日本の首相だった。指南書事件の発端はその5月15日である。 森首相は神道政治連盟国会議員懇談会の創立30周年記念祝賀会に出席。その場での

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                • 安易な憲法改正がいかに危ういか、ロシアを見れば明らかだ - 国分高史|論座アーカイブ

                  安易な憲法改正がいかに危ういか、ロシアを見れば明らかだ 2020年改憲に透けて見えるウクライナ侵攻への布石 国分高史 ジャーナリスト・元朝日新聞編集委員兼論説委員 75年前、私たちも共有した「民主主義」や「自由」が攻撃されている ロシアのプーチン大統領によるウクライナへの軍事侵攻は、世界中を驚かせた。ただ、プーチン氏はそれに先立つ2020年にも、現代のリベラルな民主主義国からすれば考えられない行動に踏み切っている。大統領権限を強化するとともに、自らの任期の2036年までの延長を可能にする大規模な憲法改正である。 改憲が成立した当時、日本では大統領任期と、北方領土交渉にかかわる「領土割譲禁止」条項のふたつが大きく注目された。ただ、この時の改憲内容を改めて検討してみると、これ以外にも近代憲法のありようとかけ離れた保守的、国家主義的思想や、ウクライナ侵攻への布石とも受け取れる条項がいくつも見受け

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                  • デジタル庁初代長官は竹中平蔵氏!? - 佐藤章|論座アーカイブ

                    デジタル庁初代長官は竹中平蔵氏!? 菅政権「デジタル改革」の罠(3) 佐藤章 ジャーナリスト 元朝日新聞記者 五月書房新社編集委員会委員長 東京・永田町の衆議院第2議員会館2階の議員事務所から地下の車寄せまで、その議員は、事務所職員に守られながら私の質問に対して、「知りません」という答えを繰り返した。 民主党政権が下り坂に差し掛かった2012年春から初秋にかけて、私はこの自民党議員、二階俊博氏に関係するIT調達問題の取材にかかり切りになっていた。当時在籍していた『週刊朝日』の同年10月19日号に記事を掲載したが、驚くべきその事実を簡単に紹介しよう。 二階幹事長とIT利権 経済産業省の外局である特許庁は2006年7月以来、「業務・システム最適化計画」に基づいた基幹系システムの全面刷新を進めてきたが、いまだに完成していない。その原因は、最初に発注した東芝の100%子会社「東芝ソリューション」(

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                    • 山本太郎×原真人 テレビ討論・場外編 - 原真人|論座アーカイブ

                      山本太郎×原真人 テレビ討論・場外編 山本太郎と直接討論して感じたこと「トンデモ理論は封印し、正攻法で闘え!」 原真人 朝日新聞 編集委員 「れいわ旋風」衰えず 7月の参院選ではブレーク前夜かと思わせるほどの躍進を遂げた「れいわ新選組」。代表の山本太郎氏は現在、全国遊説ツアーを始めたばかりである。 つい数日前まで、スタート地域に選んだ北海道を回っていたが、消費税率が10%に引き上げられた10月1日夜、久しぶりに東京・新宿駅前で演説会を開き、「消費税廃止」を訴えた。 演説を聴きに行った。 開始予定である午後7時。演説場所となった新宿駅西口・小田急百貨店前にはすでに千人を超えると思われる支持者が集まっていた。7時を回ってどんどんと人の輪が広がっていく。指定されたスペースだけでは収まりきらず、駅建物の中や道路の向こう側にまで聴衆がはみだして山本氏を待っていた。 れいわ新選組の支持層の中心は参院選

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                      • 初音ミク、解放区への道筋〜奇跡の3カ月(13) - 丹治吉順|論座アーカイブ

                        初音ミク、解放区への道筋〜奇跡の3カ月(13) ネット文化と知的財産権、その相剋の時代 丹治吉順 朝日新聞記者 初音ミク、混沌の中で〜奇跡の3カ月(12)から続く 【読者のみなさまへ】今回は筆者が十分な知識を持っていないジャンルについても扱います。お読みいただければわかる通り、「ニコマス」「アイマス」にかかわるものです。筆者としては必要なチェックをしているつもりではありますが、内容に誤りや勘違いなどがある可能性を否定できません。 また、記事中で触れている「解放区」のあり方としては、「東方Project」も近いものがあるように思います。とはいえ、「東方」に関してはほとんどチェックしていなかったため、断定的な物言いが全くできません。 そのような場合を含めまして、この記事全体の内容に関しましても、お気づきの点がありましたら、コメント欄に指摘をしていただけるとありがたく存じます。 「フタエノキワミ

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                        • ワクチン接種、「この注射器では困ります」~現場を悩ます「1日100万回」の裏側 - 木代泰之|論座アーカイブ

                          ワクチン接種、「この注射器では困ります」~現場を悩ます「1日100万回」の裏側 「0.3ミリリットルが測りにくい!」 太くて短い注射器を配布 木代泰之 経済・科学ジャーナリスト 菅首相の号令で、政府は「1日100万回接種」の実現にしゃかりきになっている。元々、ワクチン確保と接種の準備が遅れていたうえ、7月末の五輪開会に間に合わせようと、政府も自治体もスケジュールに無理を重ねている。 医師らを啞然とさせた太くて短い注射器 そんな中、政府が支給したあるタイプの注射器をめぐり、SNS上で医師や看護師から「使いづらい」「ワクチン液を正確に測れない」と疑問や不満の声が出ている。 5月末、個別接種を行う千葉県の医院や病院に、ワクチンと共に思いがけないタイプの注射器(下の写真の上側)が大量に送られてきた。 一見して分かるように、通常ワクチン接種に用いられる細身で長い注射器(写真の下側)に比べ、上側の注射

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                          • 学者たちの沈黙~エンターテイナーが解説する「旧統一教会」「国葬」問題に思う - 三田地真実|論座アーカイブ

                            学者たちの沈黙~エンターテイナーが解説する「旧統一教会」「国葬」問題に思う 価値判断の前に、市民が考え・行動するためのニュートラルな情報を 三田地真実 行動評論家/言語聴覚士 社会的に大きく取り上げられる時事問題について、その是非を問うために歴史的背景やそこに至る経緯をもう少し詳しく知りたい、そう思って様々な問題をいつも眺めている。まずは、賛成・反対といった価値判断をなるべく入れない形での情報という意味だ(真に価値判断がない情報というのは多分あり得ないだろうが、なるべくニュートラルという意味においてである)。 今はもちろん「旧統一教会」と「国葬」がホットなテーマで、大メディアでも連日これらの問題を取り上げて報じている。そこから聞こえてくるのは、「~~はけしからん」といったトーンのすでに価値づけされた内容が主に見受けられる。しかし、本当に今、一般市民(私もこのテーマに関しては全くの素人だ)が

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                            • 戸籍制度の不備を暴いた柏木(妻)・想田(夫)の「夫婦別姓確認訴訟」判決 - 想田和弘|論座アーカイブ

                              戸籍制度の不備を暴いた柏木(妻)・想田(夫)の「夫婦別姓確認訴訟」判決 社会やメディアに根付く「夫が主で妻が従」意識が、選択的夫婦別姓実現を阻んでいる 想田和弘 僕と妻の柏木規与子は、1997年、米国のニューヨーク市で正式に結婚した。 アメリカを含む日本以外の国では、結婚の際に「夫婦別姓」か「夫婦同姓」を選択することができる。結婚によって同化・融合するというより、お互いの違いやルーツを尊重しながら仲良くやっていこうと思っていた僕らは、迷わず「別姓」を選んだ。 僕も柏木も自分の名前で仕事をしてきたことも、別姓を選んだ大きな理由の一つだった。映画作家として活動してきた僕にとっても、映画プロデューサー・舞踊家・太極拳師範として活動してきた柏木にとっても、名前はすなわち「ブランド」であり、それを変更することにはデメリットしかない。 日本の国内法同士が矛盾している 少なくとも僕は自分の名前を変えたく

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                              • 「元・学者」が日本学術会議騒動に抱いた大いなる違和感 - 與那覇潤|論座アーカイブ

                                日本学術会議という、平素は話題に上ることすら乏しい組織が珍しく注目されている。同会議が新たな会員(規定にのっとり全体の半数を改選)として推薦したメンバーのうち、6名が任命されなかったからだ。 法律上、任命権者は内閣総理大臣と定められているので、菅義偉首相が「任命することを拒んだ」形である。6名のうちに加藤陽子氏(歴史学)・宇野重規氏(政治思想)という、幅広い媒体でオピニオン欄・書評欄の常連を務める「著名研究者」が入っていたことも、問題を激化させているようだ。 官邸は任命拒否の理由を明らかにしていないが、6名全員が安全保障法制ないし共謀罪に反対し、「学者の会」を組織して活動していたため、それが理由だと目されている(違うというのであれば、官邸側が反論すべきだ)。これが火をつけたのか、平素は眼前の政治には我関せずという姿勢の研究者や大学教員たちまで声を上げ、ネット上ではかなりの規模の騒動となった

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                                • 福島原発処理水の海洋放出を決断する時だ - 細野豪志|論座アーカイブ

                                  福島原発処理水の海洋放出を決断する時だ 福島に寄り添い、差別とは断固として戦う 細野豪志 衆議院議員 東京電力福島第一原発に保管されている処理水を巡って議論が活発になっている。きっかけの一つは、各種の国際会議において韓国が処理水の危険性を喧伝したことにある。 処理水に関する責任の一端は、原発事故直後の責任者である私にもある。過去にも処理水については国内でも様々なデマが流布してきたが、疑いを持たせた責任は原発事故を防げなかった政府にもあると考えて、批判はしてこなかった。 しかし、国内のデマを放置してきたことが、韓国の政治的かつ理不尽な主張につながっている面があり、もはや放置することはできない。 結論から言うと、私はトリチウムを含む処理水を海洋放出する以外の選択肢はないと考えている。 処理水については、事故直後より様々な方法が検討されてきたが、トリチウムを除去するには膨大な電力を要し、全ての処

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                                  • 「文化守らぬ文化庁」今も昔も - 石川智也|論座アーカイブ

                                    「文化守らぬ文化庁」今も昔も トリエンナーレへの補助金不交付に、映画『靖国 YASUKUNI』李監督は何を思う 石川智也 朝日新聞記者 イチャモンとしか言いようがない補助金不交付 相変わらずだな。まずそう思った。文化庁のことだ。 「表現の不自由展・その後」はおよそ2カ月ぶりの再開に向けて新たな局面を迎えたが、問題はなんら解決していない。大村秀章・愛知県知事が展示再開の意思表明をした翌日、文化庁は不自由展を含む「あいちトリエンナーレ2019」全体に対する補助金7800万円全額の交付を取り消した。 言うまでもなく、今回のトリエンナーレ実行委は被害者だ。 事前に警察と相談し、警備を手厚くしたり撮影を禁じたりすることで不自由展の開催は可能と判断していた。明らかに犯罪である脅迫や想定外のテロ予告に対して前もって予測し申告しなかったなどという理由をいまさら持ち出すのは、イチャモンとしか言いようがない。

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                                    • 「あいち」補助金不交付は、なぜ危険なのか - 高山明|論座アーカイブ

                                      愛知県で開催中の国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」に対する文化庁からの補助金の全額(約7800万円)を交付しないと、萩生田光一文部科学相が9月26日発表した。いったん採択が決まった補助金を「不交付」とする異例の事態だ。 芸術祭の一部である「表現の不自由展・その後」が、電話による激しい攻撃にさらされて展示中止となったことを受けての対応で、文化庁は次のような内容の文書を発表した。 ● 愛知県は会場の安全や事業の円滑な運営を脅かすような重大な事実を認識していたのに、それを申告せずに、採択され、補助金交付を申請した。 ● その後の審査段階でも、文化庁から問合せを受けるまでそれらの事実を申告しなかった。 ● よって、文化庁は、①実現可能な内容になっているか、②事業の継続が見込まれるか、の2点を適正に審査できなかった。これは補助事業の申請手続において不適当な行為だと評価した。 ● 全事業は一体

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                                      • 黒川検事長と賭け麻雀をした記者は今からでも記事を書け - 高田昌幸|論座アーカイブ

                                        黒川検事長と賭け麻雀をした記者は今からでも記事を書け ジャーナリズムは「権力監視」のため 記者は結果で示すしかない 高田昌幸 東京都市大学メディア情報学部教授、ジャーナリスト 産経新聞の検察担当記者2人と朝日新聞社員(元検察担当記者)の計3人が黒川弘務・東京高検検事長=辞職=と「賭けマージャン」を繰り返していたことが明らかになり、それをきっかけに「権力と記者の関係」があちこちで議論されている。記者クラブを拠点とする記者が日常的に権力側の要人と酒を飲んだり、夜に自宅を訪ねたりするのは、取材ではなく癒着ではないか。そういった批判である。 この出来事を通して見える問題には、いくつものポイントが含まれている。「取材とは何か」「取材プロセスの可視化」「権力監視の可能性と限界」……。そういった現代のジャーナリズムの論点がてんこ盛りで、メディアの教科書にもなりそうだ。 ただ、インターネットの記事やSNS

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                                        • 8月6日の「原爆の日」に、五輪選手に黙とうを呼びかけることへの私の違和感 - 乗松聡子|論座アーカイブ

                                          8月6日の「原爆の日」に、五輪選手に黙とうを呼びかけることへの私の違和感 被爆者の体験を伝えてきた一人の人間として 乗松聡子 国際平和博物館ネットワーク共同コーディネーター 8月6日、広島の「原爆の日」が、東京オリンピック開催期間中であることから、「8月6日午前8時15分に黙とうを」という呼び声がある。 東京オリンピック・パラリンピック組織委員会によると、広島市から国際オリンピック委員会(IOC)に対して、8月6日に選手らに黙とうを呼びかけて欲しいなどという要請があった。黙とうを求める電子署名も集まっており、SNSなどでも「日本全国が黙とうするのに、なぜオリンピックだけしないのか」といった声があがる。これに対し、組織委は黙とうを呼びかける対応はしない方針を明らかにした。 私は、1995年から続いている日米大学生の広島・長崎の旅に2006年以来通訳として参加するようになり、通訳や翻訳を通して

                                            8月6日の「原爆の日」に、五輪選手に黙とうを呼びかけることへの私の違和感 - 乗松聡子|論座アーカイブ
                                          • 「リーク」とは何か~当局はジャーナリズムを使って情報操作する - 高田昌幸|論座アーカイブ

                                            「リーク」とは何か~当局はジャーナリズムを使って情報操作する 黒川検事長と記者の賭け麻雀問題から「権力と報道の関係」を考える 高田昌幸 東京都市大学メディア情報学部教授、ジャーナリスト 黒川弘務・東京高検検事長=辞職=と新聞記者らが賭けマージャンを繰り返していたことに関連し、引き続き「権力と報道」の関係を整理したい。 前回の拙稿『黒川検事長と賭け麻雀をした記者は今からでも記事を書け』では、権力監視こそがジャーナリズムの本務であるから、大意、それを抜きにして「密着の是非」のみを問うてもあまり意味がないと記した。同時に、権力監視は「成果=報道記事」で示すしかないのであり、結果を出せていない以上、国民から種々の批判を浴びても仕方ないとも記した。 今回は「リーク」を軸にして、権力と報道の関係を考えたい。 「当局のリークは怖い」 「リーク」という言葉自体は、すっかり社会に浸透している。各国の機密文書

                                              「リーク」とは何か~当局はジャーナリズムを使って情報操作する - 高田昌幸|論座アーカイブ
                                            • コロナ禍で岐路に立つアニメーション(上) リモートとアフレコの課題 - 叶精二|論座アーカイブ

                                              コロナ禍で岐路に立つアニメーション(上) リモートとアフレコの課題 制作スタッフへの緊急アンケートの結果から 叶精二 映像研究家、亜細亜大学・大正大学・女子美術大学・東京造形大学・東京工学院講師 新型コロナウイルスの感染拡大長期化により、あらゆる産業が未曾有の経済危機に直面しているが、日本のアニメーションとて例外ではない。6月1日現在、少なくとも45作品のテレビシリーズの制作が中断し、放送・配信が延期となっている。一時放送が再開された番組も再延期となっており、多くの放送枠が過去作品の再放送や、別作品の放送に切り替えられている。映画館・シネマコンプレックスの営業自粛により劇場用長編も邦画・洋画を合わせて30作品以上が公開延期となっている(表1、表2参照)。年間の制作本数の3分の1ほどが宙に浮いたまま待機となっている。 5月25日には全国の緊急事態宣言が解除されたが、このまま順調に感染の鎮静化

                                                コロナ禍で岐路に立つアニメーション(上) リモートとアフレコの課題 - 叶精二|論座アーカイブ
                                              • 影を負わされた光 - 大木毅|論座アーカイブ

                                                太平洋戦争において、少なからぬ数の日本軍高級将校が、エゴイズム、怯懦、無責任等、武人にあるまじき醜態をさらし、戦闘組織としての頽廃を暴露した。彼らと同じ日本人の一人としては、残念きわまりないことであるが、それはけっして否定できない。その一方で、不利な戦況にあっても、将兵の生命を尊重し、一身に責任を負って死んでいった指揮官があったこともまた事実だ。 昭和19(1944)年、ビルマ(現ミャンマー)の戦場において、この両タイプの典型ともいうべき軍人たち、部下将兵から「義人」と慕われた水上源蔵将軍と、恣意専横の悪名で知られ、その作戦によって多数の将兵を死に追いやった参謀辻政信大佐が行き会い、数奇なドラマをつむぎだした。本稿では、その、戦神(マルス)、もしくは歴史の女神(クリオ)が残酷な筆で描いた物語を叙述していくことにしたい。それはおそらく、昭和陸軍の光と影を知る手がかりとなるはずである。 死地に

                                                  影を負わされた光 - 大木毅|論座アーカイブ
                                                • 「国葬」閉会中審査 野党は「モリカケ」的追及の愚を繰り返すな - 郷原信郎|論座アーカイブ

                                                  「国葬」閉会中審査 野党は「モリカケ」的追及の愚を繰り返すな 岸田内閣は、すでに倒壊へのカウントダウンが始まっている 郷原信郎 郷原総合コンプライアンス法律事務所 代表弁護士 国葬を取りやめ総辞職するしか収拾の道はない 【岸田首相の理由説明なき「統一教会との訣別」は、更なる大混乱を招く】でも述べたように、岸田政権は、それまで「聞く力」を強調し、「検討」ばかり重ねてきた岸田文雄首相が、安倍元首相殺害事件後に行った、前のめりの国葬の決定と「統一教会問題」払拭のための内閣改造前倒し、という2つの“決断と実行”によって重大な危機に直面することになった。 そして、内閣改造直後の「家族と一緒に楽しんだ休暇」と、その間と思われる「コロナ感染」により、久々となった、8月31日の官邸での記者会見でさらに墓穴を掘った。「統一教会」の何がどう問題なのかを全く示すことなく、「理由もない統一教会との訣別宣言」を行っ

                                                    「国葬」閉会中審査 野党は「モリカケ」的追及の愚を繰り返すな - 郷原信郎|論座アーカイブ
                                                  • PCR検査はなぜ制限されたのか~緊急対談「中島岳志×保坂展人」(前編) - 中島岳志|論座アーカイブ

                                                    PCR検査はなぜ制限されたのか~緊急対談「中島岳志×保坂展人」(前編) PCR検査を拡大する──世田谷区の取り組み 中島岳志 東京工業大学リベラルアーツ研究教育院教授 全国各地の保健所はなぜPCR検査を制限してきたのか。安倍内閣や専門家会議の記者会見を聞いてもほとんど理解できない。いったい保健所で何が起きているのか――。現場に精通している人のまっとうな説明を聞きたい。 ジャーナリストでもある東京都世田谷区の保坂展人区長はこの間、保健所が多忙を極める状況を整理し、PCR検査拡大の試みを続けてきた。中島岳志・東工大教授が保坂区長に聞く。なぜ、PCR検査は拡がらないのか?(論座編集部) 自宅でPCR検査の結果を待つ間に… 中島 4月26日、世田谷区に住む50代男性が、新型コロナウイルスへの感染を調べるPCR検査を受けた後、自宅で結果を待つ間に病状が悪化して亡くなっていたというニュースが報じられま

                                                      PCR検査はなぜ制限されたのか~緊急対談「中島岳志×保坂展人」(前編) - 中島岳志|論座アーカイブ
                                                    • 日本でコロナによる死者が少ない理由を解明したNスペ - 川本裕司|論座アーカイブ

                                                      日本でコロナによる死者が少ない理由を解明したNスペ 厚労省クラスター対策班にカメラ、押谷東北大教授と西浦北大教授に密着取材 川本裕司 朝日新聞記者 前例のない新型コロナウイルスに右往左往しているのは、国民だけでなくメディアも同じだ。専門家と称する人々の主張も錯綜し、事態がどこへ向かっているのかわからない。その中で、4月11日夜に放送されたNHKスペシャル「新型コロナウイルス 瀬戸際の攻防」は、検査が不十分という批判を受けながら死者が少ない日本の感染の実情を解き明かしてみせた。 「感染拡大阻止最前線からの報告」という副題どおり、東京・霞が関の厚生労働省クラスター対策班にカメラを入れた。他の新聞やテレビニュース番組に先駆けた現場からの報告だった。政府の専門家会議メンバーの押谷仁・東北大教授とクラスター対策班に加わる西浦博・北海道大教授のつぶやきや刻々と変わる表情を伝えた。 「クラスターつぶし」

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                                                      • 徴用工問題では、日本政府こそ「国際法違反」を犯している - 杉田聡|論座アーカイブ

                                                        徴用工問題では、日本政府こそ「国際法違反」を犯している 杉田聡 帯広畜産大学名誉教授(哲学・思想史) 日々情報に接しつつ、いま日韓間に大きな懸案はないかのように感じられる。だが、事態はきわめて深刻である。刻々と迫りくる両国間の破局を恐れなければならない。 焦眉の問題は、韓国大法院の判決(2018年10月30日)後に韓国で進む、日本企業の資産売却へ向けた動きである。今後いつそれが現実化するか分からない。 日本政府の姿勢 菅首相は10月26日の所信表明演説で、「〔韓国には〕わが国の一貫した立場に基づいて、適切な対応を強く求めていきます」と述べたが(2020年10月27日付、朝日新聞)、「一貫した立場」とは、賠償請求問題は1965年の日韓請求権協定によって解決済みであり、元徴用工に請求権行使を保障せんとする韓国の動きは「国際法違反」だという、日本政府の認識のことである。 この杓子定規な立場は、大

                                                          徴用工問題では、日本政府こそ「国際法違反」を犯している - 杉田聡|論座アーカイブ
                                                        • 図書館は利用者の秘密を守れるのか――コロナ感染予防ガイドラインの矛盾 - 長岡義幸|論座アーカイブ

                                                          新型コロナウイルスの感染拡大に伴って発令された緊急事態宣言が5月14日、39県で解除されたのを皮切りに、25日には首都圏を含めて全面解除となった。 先行して政府の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議は5月1日、緊急事態の解除後を見越して、徹底した行動の変容とコロナ押さえ込みの見通しが付くまでの長丁場に備える「感染拡大を予防する新しい生活様式」を提言した。これに加え、専門家会議は5月4日、「新しい生活様式」にもとづく対策の具体例も示した。「人との間隔は、できるだけ2m(最低1m)空ける」「遊びに行くなら屋内より屋外」「症状がなくてもマスクを着用」「買い物:通販も利用/電子決済の利用」「娯楽、スポーツ等:狭い部屋での長居は無用/歌や応援は、十分な距離かオンライン」「食事:料理に集中、おしゃべりは控えめに」などというものだ。これがコロナ禍を経た「新しい日常」なのだという。 政治家らが勇ましく「

                                                            図書館は利用者の秘密を守れるのか――コロナ感染予防ガイドラインの矛盾 - 長岡義幸|論座アーカイブ
                                                          • 新型コロナが浮き彫りにした埼玉県の「医療過疎」の厄介な実態 - 松浦新|論座アーカイブ

                                                            新型コロナが浮き彫りにした埼玉県の「医療過疎」の厄介な実態 ことは埼玉だけの問題ではない。カギを握る「在宅+オンライン」診療 松浦新 朝日新聞経済部記者 新型コロナウイルスのまん延で、埼玉県の「医療過疎」の実態が浮き彫りになっている。発熱で救急車を呼ぶ人の急増に、医療機関が対応しきれず、「たらい回し」が急増しているのだ。同県では入院を自宅で待っていた感染者が2人続けて亡くなるなど、診療態勢が問われているが、医療資源を依存してきた東京都の感染が深刻なだけに、孤立無援の状況になっている。 同県消防課によると、4月1日から26日までに、救急車が1人の患者で受け入れを5回以上要請した件数は、前年同期の7割増の512回だった。病院などが受け入れを4回以上断ったケースが206人も増えたのだが、そのうち発熱か肺炎の患者が131人と、前年より115人も増えている。 もともと医師も医療機関も少ない埼玉県 新

                                                              新型コロナが浮き彫りにした埼玉県の「医療過疎」の厄介な実態 - 松浦新|論座アーカイブ
                                                            • 南洋戦という壮絶な戦争と沖縄人の報われない人生 - 山本章子|論座アーカイブ

                                                              南洋戦という壮絶な戦争と沖縄人の報われない人生 肉親を失った被害者が国に補償と謝罪を求めた「南洋戦訴訟」の最高裁判決を前に考える 山本章子 琉球大学准教授 太平洋戦争の中でも、住民を巻き込んだ壮絶な地上戦として広く知られている沖縄戦。その一方で、同じく沖縄県民が多数亡くなりながら、あまり知られていない戦いがある。「南洋戦」である。終戦の1年前、1944年にグアムやサイパンなどの南洋諸島で展開された戦いで、日本の軍人だけではなく、沖縄出身の民間人が数多く死亡した。 沖縄でもあまり注目されてこなかったこの戦いに巻き込まれ、親兄弟を奪われた被害者たちが2013年、国に補償と謝罪を求めて「南洋戦訴訟」を起こした。その最高裁判決がこの10月にもある予定だ。原告の多くはもう80歳以上。東京空襲などの一連の戦後補償裁判の、文字どおり「最後の訴訟」となるだろう。 本稿では、最高裁判決を前に、南洋戦とは何か

                                                                南洋戦という壮絶な戦争と沖縄人の報われない人生 - 山本章子|論座アーカイブ
                                                              • 新型コロナ急拡大で小池都知事の言う「首都封鎖」は本当に必要か - 米山隆一|論座アーカイブ

                                                                新型コロナ急拡大で小池都知事の言う「首都封鎖」は本当に必要か シミュレーションから浮かぶ二つの可能性。究極の戦術をとる前にするべきことは 米山隆一 衆議院議員・弁護士・医学博士 安倍晋三総理が「これから1、2週間が、急速な拡大に進むか、終息できるかの瀬戸際」として全国一斉休校を要請した記者会見(首相官邸HP)から3週間近くたった3月19日、厚生労働省の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議は「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言」(参考)を発表し、現在の日本の新型コロナ対策の3本柱(基本戦略)は、 クラスター(患者集団)の早期発見 患者の早期診断・重症者への集中治療の充実と医療提供体制の確保 市民の行動変容 である旨を表明、これによって北海道の感染は概ね抑えられ、日本全体でも感染は制御できており、感染が認められないか終息に向かっている地域では、学校の再開を含めてリスクに応じた活動の

                                                                  新型コロナ急拡大で小池都知事の言う「首都封鎖」は本当に必要か - 米山隆一|論座アーカイブ
                                                                • 「国民政党か、安倍私党か」 LGBT理解増進法をめぐる自民党内の攻防 - 木下ちがや|論座アーカイブ

                                                                  「国民政党か、安倍私党か」 LGBT理解増進法をめぐる自民党内の攻防 左右の固定観念を攪乱する、つながりと切断の無数の連鎖反応 木下ちがや 政治学者 ある出来事に直面したときに戸惑いを覚え、判断留保に陥るのは、われわれが普段所与のものとしている価値観からは推し量れない事態に直面した時だ。 例えば政治においては「右翼」「左翼」「保守」「リベラル」といった記号は政治を分割し、分割されているがゆえに競合が生じ、競合するがゆえにそれぞれの記号に観念が固定される。「あれは右翼だ」「あれは左翼だ」という固定観念は、政治が大きく再編されていく過程においては攪乱され、敵が味方に、味方が敵に転じ、つながりと切断の無数の連鎖反応が新たな支配と被支配を構成していく。 2021年5月から6月にかけての日本政治においてはこの連鎖反応が生じており、それは昨年まで続いた長期政権の支配ブロックからの脱却の力学に裏付けられ

                                                                    「国民政党か、安倍私党か」 LGBT理解増進法をめぐる自民党内の攻防 - 木下ちがや|論座アーカイブ
                                                                  • イタリアが「医療崩壊」を招いた三つの遠因が見えてきた - 石垣千秋|論座アーカイブ

                                                                    イタリアが「医療崩壊」を招いた三つの遠因が見えてきた イタリア、スペイン、イギリス、ドイツの新型コロナとの闘いを医療制度から読み解く 石垣千秋 山梨県立大学准教授 イタリアで起きている新型コロナウイルスによる「医療崩壊」は、その遠因に大幅な病床削減、不足する看護師、少ないCT(コンピュータ断層撮影)の3要素が影響している可能性が浮かび上がりました。医療政策を研究する山梨県立大学の石垣千秋准教授が、多くの死者を出しているイタリアやスペイン、EUを離脱したばかりのイギリスを中心に比較検討しました。 1回目はイタリアの医療崩壊に与えた医療制度について分析しました。約7800人の医療従事者が感染し、うち約4000人が看護師です。「緊急事態宣言」が取りざたされている日本ですが、日本人はロックダウン(都市封鎖)に目が向きすぎているかもしれません。(「論座」編集部) 医療制度が影響したクライシス 202

                                                                      イタリアが「医療崩壊」を招いた三つの遠因が見えてきた - 石垣千秋|論座アーカイブ
                                                                    • 緊急事態条項の実態は「内閣独裁権条項」である - 木村草太|論座アーカイブ

                                                                      参院選の投開票日が近づいています。今回の選挙戦で争点となっているテーマについて、過去記事の中から選んであらためて掲載します。(編集部) (オリジナル記事は2016年03月14日公開) 1 自民党草案の緊急事態条項とは 今年に入り、安倍首相や一部の自民党議員は、憲法改正に強い意欲を示しており、参院選の争点にしようとする動きもある。特に注目を集めているのが、緊急事態条項だ。 自民党は2012年に発表した憲法改正草案で、戦争・内乱・大災害などの場合に、国会の関与なしに内閣が法律と同じ効力を持つ政令を出す仕組みを提案している。具体的な条文は次の通りである。 第98条(緊急事態の宣言) 1 内閣総理大臣は、我が国に対する外部からの武力攻撃、内乱等による社会秩序の混乱、地震等による大規模な自然災害その他の法律で定める緊急事態において、特に必要があると認めるときは、法律の定めるところにより、閣議にかけて

                                                                        緊急事態条項の実態は「内閣独裁権条項」である - 木村草太|論座アーカイブ
                                                                      • 35歳でFC岐阜社長を務めた私がALSを発症し、8年を経て思うこと - 恩田聖敬|論座アーカイブ

                                                                        35歳でFC岐阜社長を務めた私がALSを発症し、8年を経て思うこと 必要なのは「家族という名の介護者」ではなく「家族という名の理解者」 恩田聖敬 株式会社まんまる笑店 代表取締役社長 ALS(筋萎縮性側索硬化症)患者である恩田聖敬さんの連載「健常者+ALS患者の視座から社会を見たら」が始まります。35歳でJリーグFC岐阜の社長を務めるなど、恵まれた人生を送ってきた恩田さんは、ALSを発症したことによって視野や価値観や人生観が途方もなくひろがったといいます。 発症前には見えなかった何が見えるようになったのか。どう価値観や人生観が変わったのか。その体験に触れることで、私たちの視野もひろがるのではないでしょうか。 さまざまな体験を共有する場となることが、論座のシンカ(進化や深化)のひとつの方向性ではないかと考えています。読者のみなさまも、お互いの体験を共有しながら、ともに論じあいませんか。inf

                                                                          35歳でFC岐阜社長を務めた私がALSを発症し、8年を経て思うこと - 恩田聖敬|論座アーカイブ
                                                                        • [7] 基幹化する非正規図書館員 - 上林陽治|論座アーカイブ

                                                                          彼女は、関東のある公立図書館に30年以上勤務する正規公務員のベテラン司書である。 その自治体で誰よりも図書館を知っている彼女は、昨年、ある決断をした。人事課に対し「正規職員を減らしても良い」と告げ、その代わりに、有期雇用だがフルタイム勤務の臨時職員を採用することにしたのである。 正規を非正規に置き換えるという奇策は当たった。図書館の業務がスムーズに回り始めたのである。なぜなら4人採用された臨時職員は、皆、司書資格を有し、他の自治体の図書館での勤務経験が豊富で、図書館員としての「当たり前」(注1)を身に着けていたからである。確かに無資格の正規公務員でも、図書館について勉強し、図書館員としての「当たり前」を身につける職員もいる。ところが、役所内の人事ローテーションで図書館に異動してくる一般行政職の正規公務員の多くは、司書資格を有さず、異動だからと仕方なく図書館に勤務し、図書館員としての「当たり

                                                                            [7] 基幹化する非正規図書館員 - 上林陽治|論座アーカイブ
                                                                          • 冷戦終結で共産主義が崩壊し古い資本主義が蘇った - 大野博人|論座アーカイブ

                                                                            冷戦終結で共産主義が崩壊し古い資本主義が蘇った 冷戦終結30年、エマニュエル・トッド氏に聞く 大野博人 元新聞記者 30年前の1989年11月9日、ベルリンの壁が開放された。壁が象徴していたソ連・東欧の共産主義独裁体制も、その年崩壊へと向かい、戦後の世界を東西に二分してきた冷戦体制が終わった。世界はこれから民主主義と市場経済によって平和で豊かな時代に入る。多くの人はそう楽観していた。 しかし今、民主主義も市場経済も疑問符を突きつけられている。結局、それらはエリートや特権階級を利するだけで不平等を拡大するばかりの仕組みでしかなかったのではないかと。人々が抱く不満に左右のポピュリストがつけいる。30年前の期待はすっかり色あせてしまった。 フランスの人類学者・歴史学者、エマニュエル・トッド氏は、早くからソ連という体制の限界を指摘し、その解体を予測していた。慧眼の知識人は、20世紀の大きな節目から

                                                                              冷戦終結で共産主義が崩壊し古い資本主義が蘇った - 大野博人|論座アーカイブ
                                                                            • 国民の自画像としての安倍/菅政権(上) - 白井聡|論座アーカイブ

                                                                              安倍政権の突然の崩壊にともない「安倍政権を総括する」と題したシリーズを3回にわたって連載した。「続く」としたままで未完になっていたが、安倍政権を継承するとして始まった菅義偉内閣の現状と合わせて改めて稿を起こしたい。 日本の統治システムは崩壊した 新型コロナ・パンデミックの第三波が広がるなかで、菅義偉政権の支持率がガタ落ちしてきた。医療従事者たちの悲鳴にも似た訴えは遅々として聞き入れられず、政治家たちは不要不急の会食をやめることすらできない。 筆者が最も驚かされたのは、イギリスで発生した新型コロナウイルス変異種への対応であった。昨年末、12月21日にTBSの番組に出演した菅首相は、感染力70%増しと言われるこの変異種への対応、具体的にはイギリスからの入国者への水際対応について問われて、現在のイギリスからの入国者は「一日に一人か二人」であると答えた。観ていた筆者は、「そうなのか。その規模ならば

                                                                                国民の自画像としての安倍/菅政権(上) - 白井聡|論座アーカイブ
                                                                              • 危機を迎えているレッドデーターブック改訂 - 長野剛|論座アーカイブ

                                                                                危機を迎えているレッドデーターブック改訂 国や自治体の絶滅危惧種の調査を支えたアマチュア愛好家がなぜ消えていったのか…… 長野剛 朝日新聞社員 種の絶滅をゼロにする目標の年が、来年に迫っています。2010年に名古屋で開かれた生物多様性条約締約国会議(COP10)で決まった「愛知目標」の一つですが、国内では今、生物保護の基礎データとなるレッドデータブックの作成すら危うくなり始めています。 その一因は昆虫愛好家など、自然好きアマチュアの減少です。 かつて昆虫採集が世界で最も盛んな国の一つと言われた日本ですが、その衰退と共に、手弁当で行政の生物調査に協力する人手が足りなくなってきています。 レッドデーターブック改訂で調査空白地帯が増えていく 「私たち自身がもう、絶滅危惧ですから」 取材中の梅雨空の下、こういう自虐的な笑いを、自らを「虫屋」と称する熱心な愛好家の方々から何度も伺いました。 私は7月

                                                                                  危機を迎えているレッドデーターブック改訂 - 長野剛|論座アーカイブ
                                                                                • ゴーン氏の「日本の司法制度は不正義」は本当か? - 米山隆一|論座アーカイブ

                                                                                  ゴーン氏の「日本の司法制度は不正義」は本当か? ゴーン氏の逃亡、“伊藤詩織さん事件”から浮かぶ日本の刑事司法・行政制度の問題 米山隆一 衆議院議員・弁護士・医学博士 逮捕され保釈中だったカルロス・ゴーン元日産会長が、保釈条件を破ってレバノンに逃亡し、衝撃的な声明を発表して1週間以上がたちます(朝日新聞デジタル2019年12月31日) I am now in Lebanon and will no longer be held by a rigged Japanese justice system where guilt is presumed, discrimination is rampant, and basic human rights are denied, in flagrant disregard of Japan’s legal obligations under inter

                                                                                    ゴーン氏の「日本の司法制度は不正義」は本当か? - 米山隆一|論座アーカイブ