いまやアジアの共通言語になりつつある「異世界転生」ジャンル。その多くが「復讐劇」の形態をとる点はよく似ていますが、日本ではいじめられっ子が個人的動機から強者を見返すパターンが多い一方、中国・韓国ではそれぞれの社会の特質を反映し、復讐にまつわるモチベーションのあり方が大きく異なるようです。 今回はゲーム研究者の井上明人さんに、韓国・中国での「異世界転生」ものの方向性の違いを考察していただきました。 「ピッコマ」から見える韓国・中国での転生ものの隆盛 最初に異世界転生ものについて書いたのは、2017年だった。2017年時点では、ウェブ小説をベースとした異世界作品の消費はピークなのではないかと思っていた。しかし、異世界ものの快進撃は、2021年現在になっても、とどまることなくウェブ小説のコミカライズやアニメ化の波は多くの読者諸氏が知るところだろう。 そして、この波は、国内のみの状況にとどまらず、