純白の綿雲が点在する青空を背景にずっしり居を構える、やや古びた角柱形の駅ビル。その底辺に控え目に穿たれた出入り口から、ぞろぞろと不規則な速さで吐き出されていく大勢の人々を、壱八は何ということもなく眺めていた。気温は平年並みだが、風がないため涼しさも気にならない。壱八のいる広々とした円形公園も、薄着の人がちらほら見受けられ、気紛れな雲の動きに合わせて見え隠れする太陽の長閑な光を浴びて、全体が淡い色彩を滲ませていた。 円に沿って並んだ多数のベンチには、待ち合わせや明らかに暇を持て余しているだけの人々によって疎らに占められ、その脇に巡らされた緑の樹々はどれも時折思い出したように細い枝先を静かに揺らすのみだった。燻んだ木の葉は全体の半分が枝にはなく、青い上下を着た老いた清掃員が、樹の下でせっせと落ち葉を掃き集めていた。 外はどこも眩しすぎる。壱八はそう思い、手にしたスマホの輝度を上げた。樹木の緑で