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Courrierの検索結果441 - 480 件 / 602件

  • ブルーノ・ラトゥール「人間のあり方が根本的に変わらなければ、現在の危機は解決できない」 | 「近代」を相対化し続けてきた思想家の「遺言」

    ブルーノ・ラトゥールの知識人としての人生には3つの面があった。まず、「科学」というものの新たな理解を展開した経験論的社会学者であった。そして、人類の根源的な問いを考え続けた哲学者でもあった。さらに近年は、「新気候体制」という概念を打ち出して気候変動を哲学的に理解しようと試み、知性で世界を救わんとしていた。 ワイン生産者の家に生まれたラトゥールは、大学で哲学と人類学を学んだ。そしてアフリカで、民族学的な研究を始めた。その経験から、彼のなかで革命的な発想が生まれる。この民族学的手法を、西洋社会の最も近代的な環境に適用できないだろうか? と考えたのだ。ラトゥールはカリフォルニアに渡り、科学的知識が生まれる過程について研究した『ラボラトリー・ライフ 科学的事実の構築』を、社会学者のスティーヴ・ウールガーと著した。 彼の提唱した「アクターネットワーク理論」の中心となるテーゼは、以下のようなものだ。

      ブルーノ・ラトゥール「人間のあり方が根本的に変わらなければ、現在の危機は解決できない」 | 「近代」を相対化し続けてきた思想家の「遺言」
    • 娘は矯正施設へ…「子供が美術の授業で描いた絵」によって父親が逮捕された理由 | 「ロシア軍の信頼を失墜させた罪」で懲役刑に

      ウクライナへの侵攻を続けるロシアは、軍の信用をおとしめるとされる発言を法律で禁じている。そんななか、ロシアの6年生の少女が美術の授業で「反戦的な絵」を描き、シングルファーザーである父親が逮捕される事態に発展した。この事件には、ロシア国内でも同情の声が少なくないという。 「反戦の絵」を描いて父を失った少女 2022年4月にロシアのエフレイモフという小さな町で、6年生の少女、マーシャが美術の時間に一枚の絵を描いた。教師が生徒たちに与えた課題は「ロシア軍を支持する絵」。しかしマーシャは、ウクライナ国旗とともに反戦を思わせる絵を描いた。 驚いた美術教師はすぐに校長に報告した。校長は警察に通報し、マーシャの父親であるアレクセイ・モスカリョフが逮捕されるという「事件」に発展した(きっかけは娘の絵だったが、罪状ではモスカリョフ自身がそれ以前にSNSに投稿した内容が法に触れたとされている。本人はこれを否認

        娘は矯正施設へ…「子供が美術の授業で描いた絵」によって父親が逮捕された理由 | 「ロシア軍の信頼を失墜させた罪」で懲役刑に
      • 住宅の庭に「凍った男」が墜落─彼らが海を渡るために選んだ「死亡率75%以上の方法」 | 半冷凍の状態から垂直落下

        空から人が降ってきた 2019年6月30日の日曜日、穏やかな夏の午後のことだ。31歳のソフトウェアエンジニアであるウィルは、ロンドン南西部クラパムにある自宅の外で、エアベッドに寝転んでくつろいでいた。 日光を浴びながら同居人と喋っていると、ヒースロー空港へと向かう飛行機が、頭上で着陸態勢に入ろうとしていた。細目で空を見ていると、飛行機から何かが落ちてきた。 「最初はカバンかと思いました」とウィルは言う。「でも、数秒後にはずっと大きな物体に変わり、しかも高速で落ちてきたんです」 着陸装置から器具が落ちてきたのか、それとも貨物室からスーツケースが落ちたのか。だがその時、何年も前に読んだ、飛行機に乗り込んで密航する人々の記事が、うっすらと頭に浮かんできた。 信じたくはなかったが、落ちてくる物体が近づくにつれ、それを否定できなくなった。「落下する1〜2秒前になって、人の手足が目に入りました」とウィ

          住宅の庭に「凍った男」が墜落─彼らが海を渡るために選んだ「死亡率75%以上の方法」 | 半冷凍の状態から垂直落下
        • ハーバードの人気教授が教える「年を重ねても幸せになる方法」 | 「年をとったらなりたい自分」を常にイメージしよう

          人は誰しも年をとる。一般に、年をとることや老いることはマイナスだと思われがちだ。 たしかに、認知能力や体力の低下は避けられないが、悲観する必要はないと、社会科学者で『人生後半の戦略書』の著者、アーサー・C・ブルックスは言う。年を重ねても幸せになるために心がけるべきこととは何だろうか。 2009年の米国で「老いとは何か?」と尋ねたところ、85歳になることだ、という回答が最も多かった。しかし、2022年の米国人の平均寿命は76歳である。どうやら、平均的な米国人は「老いる」よりも9年早く死んでいくらしい。 我々の文化は若さ(による美しさ、活力、チャレンジ精神)を崇拝しており、老化を止めたり遅らせたりするために時間やお金を使う選択肢がいくらでも用意されている。それを考えれば、老齢を「いまよりも年をとった状態」と定義したくなる衝動は理解に難くない。 さらに、若者への過度の礼賛に飽き足らず、あからさま

            ハーバードの人気教授が教える「年を重ねても幸せになる方法」 | 「年をとったらなりたい自分」を常にイメージしよう
          • 「子供のいない女性」と「子供のいる女性」が、友達であり続けるために必要なこと | 「女性たちの新しい生き方」を考える

            子供をもたないという選択をする女性も増えてきたいま、彼女たちは母親になった友人たちとの友情をどのように育み、将来に向けて何を準備しておくべきなのだろうか? 子供のいない女性たちに関する著書を持つルビー・ウォリントンに、米紙「ニューヨーク・タイムズ」がインタビューした。 ルビー・ウォリントンは子供を欲しいと思ったことが一度もない。その信念は、予期せぬ稀な妊娠によって試されることとなった。子宮内避妊具を装着していたにもかかわらず、妊娠してしまったのだ。 当時、彼女は23歳で、ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションを卒業したばかりだった。彼女は中絶した。 ウォリントンはファッションについて学んだ後、雑誌の仕事に就いた。ロンドンで「サンデー・タイムズ」紙の編集者として働くうちに、彼女の関心は本の執筆へと移っていった(処女作は『飲まない生き方 ソバーキュリアス』)。現在は、20年来の夫とマイアミで暮

              「子供のいない女性」と「子供のいる女性」が、友達であり続けるために必要なこと | 「女性たちの新しい生き方」を考える
            • 異星人崇拝カルト創始者「ラエル」のいまを追ったら、日本に辿り着いた | 疑惑だらけの「クローン人間」に「フリーセックス」…

              宇宙人を信仰し、性の解放を訴える「ラエリアン・ムーブメント」。日本でも「UFO教」、「フリーセックス教団」などと表現されてきた、フランス発祥の新興宗教団体の今昔を、仏紙「フィガロ」が追った。どうやら預言者ラエルはいま、日本で暮らしているという。 2024年、クロード・ボリロンが神話を発案してから50年になる。「1973年と1975年にエロヒムに遭遇した男、ラエル」の物語である。エロヒムとはいわゆる人類の創造者たちで、彼らは空飛ぶ円盤に乗ってやって来て、元ジャーナリストでミュージシャンのボリロンを、地球でのメッセンジャーに任命し、彼を「ラエル」と命名したという。 エロヒムたちが地球に戻って来るまでの間、ボリロンはいくつかのミッションを託された。あらゆる大宗教を否定し、彼らを迎え入れる大使館を建設すること、瞑想によって人類を目覚めさせること、性の解放を実現すること、「人類は2万5000年前に研

                異星人崇拝カルト創始者「ラエル」のいまを追ったら、日本に辿り着いた | 疑惑だらけの「クローン人間」に「フリーセックス」…
              • アジア初のLGBTQのオリンピック「香港ゲイゲームズ」が開催の危機に | 権威主義的な中国政府の影響か

                LGBTQのオリンピックである「ゲイゲームズ」について聞いたことはあるだろうか? 2022年には、アジアで初めて香港で開催が予定されているが、近年の政情変化によって、現在さまざまな問題に晒されているという。 アジア初のゲイゲームズ ゲイゲームズは、4年に1度開催される、LGBTQによる世界最大のスポーツと文化の祭典だ。1982年にカリフォルニアで初めて開催されてから、オリンピックの合間の年に開催されている。

                  アジア初のLGBTQのオリンピック「香港ゲイゲームズ」が開催の危機に | 権威主義的な中国政府の影響か
                • 子供を超名門イートン校に通わせる価値はどれだけあるのか? | 英国と米国ではどちらの名門校がコスパがいいのか

                  英国の超名門イートン校に通う意味 英国の名門パブリックスクールであるイートン校は、その583年の歴史において、英国の歴代首相57人のうち、3分の1以上を輩出したことを誇っている。一方で、2014年から2021年までに、オックスフォード大学やケンブリッジ大学に進学する生徒の数が半分以上も減るという、輝かしいとは言い難い事実もある。 パブリックスクールを選択する親のなかは、自分の子供が手厚いサポートや、いじめが少ないといったメリットを得ることを望んでいる人もいれば、より優れた教育や、成績の向上、そして一流大学への進学につながると信じている人もいるだろう。 だが学費が高騰し、大学入試政策が変化するなかで、はたして紋章や尖塔にそれだけの価値があるのか、議論の的になっている。

                    子供を超名門イートン校に通わせる価値はどれだけあるのか? | 英国と米国ではどちらの名門校がコスパがいいのか
                  • 東南アジアの出稼ぎ労働者にとって日本はいまも「日出ずる国」 | 日本の移民政策には問題があるが…

                    過酷労働や賃金の低迷、円安の影響で、外国人労働者の「日本離れ」が懸念されるなか、インドネシア政府は今後5年間で10万人を日本へ送りだす計画だ。インドネシアの若者にとって日本はいまも夢と希望にあふれる魅力的な国だという。香港紙「サウス・チャイナ・モーニング・ポスト」が取材した。 「人口ボーナス」期のインドネシア 日本がインドネシアから受け入れる移民労働者の数は、今後数年間で4倍に増加するとみられている。 インドネシア労働省のアンワル・サヌシ事務総長は、2023年10月にジャカルタで開かれた就職説明会で、今後5年間で10万人の労働者を日本に送り込む見通しを示した。また、求職者が自分のスキルに合った仕事を日本で見つけられるよう「アプリでの申請システム」を整備する方針を明らかにした。 2019年4月、日本は国内で深刻化する人手不足に対処するため、「特定技能」労働者に分類される外国人を受け入れる制度

                      東南アジアの出稼ぎ労働者にとって日本はいまも「日出ずる国」 | 日本の移民政策には問題があるが…
                    • 経済学者トマ・ピケティ「欧米の左派政党は、イデオロギーにとらわれ、庶民階級をかえりみていない」 | 欧米はアイデンティティ政治から抜け出さなくてはいけない

                      庶民階級を重視しない左派政党 ──中道左派の政党が大規模な富の再分配に力を入れようとしないのは、EUの解体を避けたいという配慮があるからなのでしょうか。 いつでも選択肢はあるのです。むしろ何の選択もしないほうがEUが崩壊する可能性を高めます。英国のEU離脱を、英国人の気まぐれのせいにしてはいけません。あれはEUの失敗です。EUの意義を英国の庶民階級に説得できなかったから、英国の庶民階級の圧倒的多数がEU離脱に投票したのです。現在のEUのモデルは、経済的に恵まれ、自由に移動できる層に有利なものになっているのは間違いないのです。 ──教育の拡充は庶民階級に有利な政策ですが、左派政党はそのような構想を持っていないのですか。

                        経済学者トマ・ピケティ「欧米の左派政党は、イデオロギーにとらわれ、庶民階級をかえりみていない」 | 欧米はアイデンティティ政治から抜け出さなくてはいけない
                      • 屋台だけじゃない─「福岡」で訪れるべき8ヵ所を米紙記者がチョイス | もつ鍋、バー、音楽… 語りつくせぬその魅力

                        九州最大の都市にして、和やかな空気が流れる街、福岡。ぷらぷらと街を歩いてみると、見えてくるのは広々とした明治通り、博多座、福岡アジア美術館、ゆったりと流れる那珂川……川辺には、屋台が立ち並ぶ。那珂川はグルメとアートの街、福岡を象徴するものの一つだ。 貿易港として、中国・韓国をはじめとするアジアの国々と日本をつないできた福岡は、長きにわたって日本における「アジアの玄関口」と呼ばれてきた。日本人旅行客にも人気の街だが、2022年10月、ビザなしでの日本入国が解禁になって以来、海外からの観光客も多く訪れている。 彼らのお目当ては、評判のグルメ、カジュアルな雰囲気、生き生きとしたアートやナイトライフ、温暖な気候などさまざまだ。美しく保存された東長寺をはじめとする歴史深い名所もあれば、緑ゆたかな大濠公園や複合施設「アクロス福岡」の素晴らしい屋上庭園など、自然の美しさを体感できる場所も多い。

                          屋台だけじゃない─「福岡」で訪れるべき8ヵ所を米紙記者がチョイス | もつ鍋、バー、音楽… 語りつくせぬその魅力
                        • サントリー食品の女性CEO就任が示す、日本企業が変わるために必要なこと | 日本は女性が昇進、活躍できる社会になれるのか

                          2022年12月1日、サントリー食品インターナショナルは、初の女性代表取締役となる小野真紀子の就任を発表した。新卒でサントリーに入社して昇進した小野の経歴は、女性役員育成のために日本企業がすべきことを明確に示していると、英紙は見る。 日本に珍しい女性CEOの誕生 ジムビームや山崎ウイスキーなどのブランドを抱える日本の飲料グループであるサントリーに、小野真紀子が就職を希望したのは1980年代初頭のことだった。そこで彼女は女性社員が面接をしているのを目にして感銘を受けた。それは当時まだ珍しかったことから、「この会社は女性が活躍できる会社だ」と感じた。 それから40年後の2022年12月、彼女はその直感の正しさを証明した。小野は同社の飲料・食品部門である上場企業「サントリー食品インターナショナル」の最高経営責任者(CEO)に、女性として初めて抜擢されたのだ。 サントリー食品インターナショナル初の

                            サントリー食品の女性CEO就任が示す、日本企業が変わるために必要なこと | 日本は女性が昇進、活躍できる社会になれるのか
                          • 高齢者のATM利用を制限する日本の「オレオレ詐欺対策」は“危険な領域”に踏み込んでいる | 英紙「年齢差別的な対応だ」

                            コロナ禍の収束にともない、いっとき鳴りを潜めていた「オレオレ詐欺」が再び急増している。英紙がこの日本特有の犯罪に注目し、当局の矛盾した対策に警鐘を鳴らしている。 オレオレ詐欺が露呈した悲しい現実 新型コロナのパンデミックは世界を煩わせたが、その一方でさまざまな問題を一時的に改善した。日本の高齢者を狙った「オレオレ詐欺」がコロナ禍に著しく減少したことも、その一つと言えるだろう。 だが、新型コロナの収束にともない、オレオレ詐欺は再び急増している。この状況に危機感を覚えた日本の当局は、年齢差別的で、非現実的な解決策を採用しようとしている。一歩間違えば、高齢化が進むこの国で老人が「無能者扱い」されるだろう。 オレオレ詐欺は、日本人を感情的にする犯罪だ。詐欺師たちは電話口で、緊急事態(交通事故や医療費の請求など)のせいで、ATMに現金を振り込んでもらう必要に迫られた若い親族を装い、高齢者から金を巻き

                              高齢者のATM利用を制限する日本の「オレオレ詐欺対策」は“危険な領域”に踏み込んでいる | 英紙「年齢差別的な対応だ」
                            • 5社の生成AIを競わせてみた結果、最も役に立ったのは? | 現時点の最先端はチャットGPTではなかった

                              家族計画を立てる際に人工知能(AI)搭載のチャットボット(自動会話プログラム)を頼りにできるだろうか。100万ドル(約1億5700万円)の投資や結婚式の誓いの言葉を作成する場合はどうだろうか。 人間のように会話するボットは2年前にはほとんど存在していなかったが、今や至る所にある。生成AIブームの火付け役となった「ChatGPT(チャットGPT)」やグーグルとマイクロソフトの製品に加え、無数の中小プレーヤーが自然な会話が可能な独自のアシスタントを開発している。 われわれは主要ボット5つを使用して一連のブラインドテストを実施し、どのくらい役に立つかを判定した。能力が抜きんでたチャットボットが見つかることを期待していたが、そうはならなかった。それぞれ得意・不得意な分野があった。その上、進化のペースも速い。われわれのテスト中に、オープンAIはスピードと時事知識が向上したチャットGPTのアップグレー

                                5社の生成AIを競わせてみた結果、最も役に立ったのは? | 現時点の最先端はチャットGPTではなかった
                              • 19世紀ヨーロッパの娯楽だった人間動物園──いま明かされる「黒人村」の舞台裏 | 「野蛮」で「未開」で「動物的」な黒人の姿を観客に見せた理由

                                19世紀初期に英国で生まれた「人間の展示」は、娯楽としてヨーロッパや北アメリカを中心に広まっていった。そして、それはスイスも例外ではなかった。いまでは「人権都市」の代表格とも言えるジュネーブにあった「黒人村」の全貌が明らかになりつつある。 スイスのロイカーバート村に滞在した小説家のジェームズ・ボールドウィンは、次のように記している。 「このスイスの小さな村に私より前に黒人が足を踏み入れたという形跡はどこにもなかった。ここへ来る前ある人からきみは村の『注目の的』になるぞと言われたとき、私は、それを、スイスでは私と同じ肌の色の人がめったに見られず、都会人は田舎へ行くとなにかしら『注目の的』になるという意味だと思った。この世界にニグロを見たことのない者がまさかいようなどとは思ってもみなかったのである。たぶんそれは、私がアメリカ人だからだろう」(『アメリカの息子のノート』せりか書房) しかし、ボー

                                  19世紀ヨーロッパの娯楽だった人間動物園──いま明かされる「黒人村」の舞台裏 | 「野蛮」で「未開」で「動物的」な黒人の姿を観客に見せた理由
                                • 韓国は世界が注目する「生ごみリサイクル大国」だ! 食品廃棄物の90%が飼料や燃料に | これが食品ロス問題の最適解か

                                  世界の政府関係者が視察に 世界では毎年、約14億トンの食品が廃棄されており、そのほとんどが埋立地に送られている。廃棄された食品は、腐敗が進む過程で水や土壌を汚染し、最も強力な温室効果ガスのひとつであるメタンを大量に発生する。 だが韓国には、このような問題は存在しない。韓国は約20年前に食品廃棄物を埋立地に捨てることを禁じ、その大半が、飼料、肥料、家庭用暖房の燃料にリサイクルされているのだ。 食品の廃棄は、地球温暖化の最大要因のひとつである。メタンだけのせいではない。食品の生産や輸送のために使われたエネルギーや資源も無駄になるからだ。 韓国のシステムでは、食品廃棄物の約90%が、埋立地や焼却炉行きになるのを免れている。そんな同国のシステムは世界中の政府の研究対象となっており、中国やデンマークなどの政府関係者も韓国のごみ処理施設の視察に訪れている。 2024 年秋までに生ごみと他のごみの分別を

                                    韓国は世界が注目する「生ごみリサイクル大国」だ! 食品廃棄物の90%が飼料や燃料に | これが食品ロス問題の最適解か
                                  • 「習近平はトランプの再選を恐れていない」超タカ派のジョン・ボルトン、米中対立を語る | ネオコンが中国の脅威に警鐘を鳴らす

                                    タカが新しい獲物を発見したようだ──。 ジョン・ボルトンといえば、近年の米国の戦争(アフガニスタン、イラク、シリア、リビア、イランとの交渉決裂)を推進し、しばしばその当事者でもあったタカ派である。そのボルトンの射程に中国が入ったのだ。 知名度抜群のこのネオコンは2019年9月、トランプ政権の優柔不断な外交政策を批判して、政権を離れた。2020年6月には回顧録を出版し、トランプ大統領に意趣返しを果たした。トランプへの主な批判は、中国政府を第一の敵とするまでに時間をかけ過ぎたことだ。トランプがお人好しだったせいで、習近平がやりたい放題できたというわけだ。 香港では民主主義の運動が鎮圧され、南シナ海では中国の拡張政策が継続され、貿易戦争やテクノロジー戦争も勃発した。新興のライバル国に毅然と立ち向かえない米国の姿を見るたびにボルトンは臍(ほぞ)を噛む思いをしてきたという。 トレードマークの白い口ひ

                                      「習近平はトランプの再選を恐れていない」超タカ派のジョン・ボルトン、米中対立を語る | ネオコンが中国の脅威に警鐘を鳴らす
                                    • ドイツの新たな首相オラフ・ショルツは“メルケル後のドイツ”をどう導くのか | アメリカ政治を徹底研究して掴んだ勝利

                                      2021年12月8日、ドイツで社会民主党(SPD)のオラフ・ショルツ新首相が誕生した。緑の党、自由民主党との三者連立政権とはいえ、16年ぶりに中道左派である社民党が与党に復活した形だ。 ショルツは、米国でトランプ大統領が勝利した際に「民主党がなぜ負けたのか」を徹底的に分析し、労働者階級を研究していた。欧州でもポピュリストが台頭するようになっていたからだ。彼がいまのドイツで成し遂げたいこととは──。 約1年前、オラフ・ショルツは米ハーバード大学のマイケル・サンデル教授とビデオ通話をしていた。当時、ショルツはドイツの次期首相になることは絶望的だと言われていた。そんななか、選挙準備を中断して臨んだ1時間だった。次のテーマについて、政治哲学者であるサンデルと議論を交わしたかったからだ。 「なぜ労働者階級は、中道左派政党ではなくポピュリストの支持に流れているのか」

                                        ドイツの新たな首相オラフ・ショルツは“メルケル後のドイツ”をどう導くのか | アメリカ政治を徹底研究して掴んだ勝利
                                      • “みんな憂鬱な会議”を今すぐやめるための「5つのアイデア」 | 会議のだるさを解消するためのテクノロジーと遊び心

                                        クーリエ・ジャポンのプレミアム会員になると、「ウォール・ストリート・ジャーナル」のサイトの記事(日・英・中 3言語)もご覧いただけます。詳しくはこちら。 誰もが会議を嫌っている。数が多すぎる、長引く、メールで済ませられる、といった理由からだ。しかし、会議は協力してアイデアを前進させる重要な手段だ。では、どうすれば企業は会議をより効果的なものにできるのか。有望なテクノロジーや新たなアイデアが、数年のうちに企業の会議の形を変えそうだ。 ここでは将来的に考えられる新たな5つの会議形態を紹介する。 ハイテク会議

                                          “みんな憂鬱な会議”を今すぐやめるための「5つのアイデア」 | 会議のだるさを解消するためのテクノロジーと遊び心
                                        • 本気で「18歳の身体」を取り戻したい─45歳富豪の若返り大作戦 | 「老化は食い止められる」と証明したい

                                          本気の若返りプロジェクト 35歳のノバク・ジョコビッチは、血液中の酸素濃度を高めるために低温殺菌した卵を食べ、水を飲む前にグラスにたわいない話をするという。水をポジティブな思考で清めるためだそうだ。 45歳のトム・ブレイディは、水分補給パウダーや筋肉をほぐして柔軟に保つストレッチポールなど、アンチエイジングに効果的とされるグッズの数々を愛用している。 38歳のレブロン・ジェームズは、選手生命を維持すべく、アンチエイジングに年約2億円も費やしている。 同年代の多くの選手が引退していくなか、この3人のトップアスリートは健康で強靭な肉体を維持している。だが、最先端の科学という点から見れば、彼らもブライアン・ジョンソンには敵わない。 45歳、超がつくほどの大富豪ソフトウェア起業家のジョンソンには、自身のあらゆる身体機能をチェックする30人もの医師とアドバイザーがついている。再生医学の専門医オリヴァ

                                            本気で「18歳の身体」を取り戻したい─45歳富豪の若返り大作戦 | 「老化は食い止められる」と証明したい
                                          • ティエリー・マルクスが語る「インクルーシブ経営」のための心得4ヵ条 | 「復帰する人のための人事部門が必要」

                                            刑務所に出向いて服役中の囚人たちに料理を教えているかと思えば、無職の人々を対象にした無料の料理学校を設立──ティエリー・マルクスは「2つ星シェフ」としての料理の腕前だけでなく、その「社会派」な活躍でも知られる。そんなマルクスの「インクルーシブ」な経営哲学を、エグゼクティブ向け仏隔月誌「クーリエ・カードル」が掲載した。 パリの高級レストラン「シュール・ムジュール」を率いる2つ星シェフ、ティエリー・マルクスは、およそ10年前に「キュイジーヌ・モード・ダンプロワ(料理への手引)」という学校を共同設立した。その学校は、生徒たちに短期間で調理や食にかかわる技術を教えることで、飲食業界への参入と、業界内での転職を容易にしている。 マルクスがパリに作った新しいレストラン「オノール」でも、誰も排除しない「インクルージョン」の考えに則ってスタッフの10%を採用しており、そのなかにはマルクスの学校を出た者もい

                                              ティエリー・マルクスが語る「インクルーシブ経営」のための心得4ヵ条 | 「復帰する人のための人事部門が必要」
                                            • 「母親になるとキャリアに打撃」は本当か 最新研究で意外な結果が明らかに | 長期的に見れば有利な点も

                                              子供を持つことで、女性のキャリアに支障が出るということはよく言われてきた。だが、長期的に見たとしても、女性たちが失われたキャリアを回復することはできないのだろうか? 私は前週までの育児休暇から復帰して、書く気満々だ。「子持ちになった途端、築いてきたキャリアが損なわれる恐れがある」とする研究も枚挙にいとまがないではないか。次は我が身、という恐れは早急に振り払うに越したことはない。しかし、ここで思い出す──自分は父親だった。それで、ほっとしてコーヒーを飲みに行く。 子供を持つことで被るキャリアの打撃、経済学者がいう「チャイルド・ペナルティ」で割りを食うと考えられているのは、母親だけだ(マザーフッド・ペナルティと呼ばれる)。 実は、子供の出産後に職場復帰する母親も、ひと息入れることはできるかもしれない。母となった自分の当面の手取りは減りそうで、父となった男の収入は変わりがないと知れば腹も立つだろ

                                                「母親になるとキャリアに打撃」は本当か 最新研究で意外な結果が明らかに | 長期的に見れば有利な点も
                                              • 中国反体制派アーティスト、アイ・ウェイウェイの作品を香港で展示できるのか | 文化・芸術への締め付けも強まる香港

                                                2020年の国家安全維持法の制定以降、香港では文化機関や美術館にも言論規制が敷かれようとしている。10年の歳月をかけて設立準備が進み、今年開業予定の現代美術館でも、もともと展示が予定されていたアイ・ウェイウェイの作品を展示できるのか、波紋を呼んでいる。 香港の近現代アート美術館に忍びよる影 英紙「ガーディアン」によると、自由な現代アートが花開いていた香港は、統制の強い中国では展示できない作品も呼び込み、世界的な文化の中心地になろうという野望を長年持っていた。 ニューヨークのMoMAやロンドンのテート・モダンに匹敵するような現代美術館を香港にも作ろうと、「M+」という巨大な近現代アート美術館の設立を進めていた。そして今年3月、ヴィクトリア・ハーバーに建設された6万平方メートルの同美術館の建物が竣工し、今年末についに開館予定だ。

                                                  中国反体制派アーティスト、アイ・ウェイウェイの作品を香港で展示できるのか | 文化・芸術への締め付けも強まる香港
                                                • #158 EUの小国リトアニアが「中国との断交」へと舵を切る本当の意味 | 台湾、リトアニア、中国ニュース拾い読み

                                                  欧州の小国・リトアニアが脱中国路線を明確にし、台湾との友好関係を強化している。激怒した中国はリトアニアに圧力をかけているが、もはや中国の顔色をうかがわず、台湾への接近をやめようとしない。リトアニアの大胆さに、国際社会の関心が集まっている。 リトアニアに事実上の「台湾大使館」開設 欧州連合(EU)の一員であるバルト海に面した人口280万人の小国・リトアニアが2021年6月、事実上の台湾大使館の設置を認めると表明したことは、台湾を独立国として認めていない中国を激昂させた。 11月18日、台湾政府はリトアニアの首都ヴィリニュスに「中華民国駐立陶宛台湾代表処(中華民国駐リトアニア台湾代表事務所)」を開設した。 台湾が外交関係のない国・地域に設けている実質的な大使館はいずれも「台北経済文化代表処」「台北代表処」「台北連絡処」などの名称で、1949年の中華人民共和国建国以来、「台湾」「Taiwan」を

                                                    #158 EUの小国リトアニアが「中国との断交」へと舵を切る本当の意味 | 台湾、リトアニア、中国ニュース拾い読み
                                                  • インパクト投資の父ロナルド・コーエン「テスラの急成長の理由を考えれば、資本主義が変わるのは必然だ」 | 社会と環境に優しい資本主義を再考する

                                                    グローバル規模のインパクト革命を主導する先駆的な社会イノベーターであり、ベンチャー・キャピタリスト、プライベート・エクイティ投資家でもあるロナルド・コーエン。現在、彼は社会・環境に優しい資本主義を再考案するという大仕事に専念している。 このいわゆる「インパクト投資」は、収益だけを見るのではなく、社会に対してプラスとなる効果を生む企業に資金を振り向けようとするものだ。マドリードを訪れていたコーエンにスペイン紙がインタビューした。 「テスラ」が良い成功例 ──(スペイン訪問の目的だった)実業家向けの講演会では、どんなお話をしたのですか? 多くの人は、私たちが直面している環境的・社会的難問を認識していると思います。富裕層と貧困層との格差が、いかに地球も社会も脅かし、民主主義と資本主義との衝突に繋がっているか、という問題です。私たちは今、民主主義と資本主義の両方に対する反発を目にしているわけです。

                                                      インパクト投資の父ロナルド・コーエン「テスラの急成長の理由を考えれば、資本主義が変わるのは必然だ」 | 社会と環境に優しい資本主義を再考する
                                                    • 持ち主はどこに!? コロナ禍の前から空港に停められたままの謎の「COVID 19」カー | 持ち主はコロナの影響で帰国できずにいる国際線のパイロット?

                                                      オーストラリアのアデレード空港で起こった「ミステリー」が話題を集めている。 空港職員のスティーブン・スプライが「ABC Radio Adelaide」に送った画像には、スタッフ専用駐車場に停められたグレーのBMWが収められている。注目すべきは車のナンバープレートだ。そこには、「COVID 19」と記されている。スプライによれば、この車はオーストラリアがロックダウン(都市封鎖)を行う以前から駐車されている可能性が高いという。 スプライの同僚によれば、この車は今年の2月、もしくはそれ以前から同じ場所に駐車されている可能性もあるとか。少なくとも、大半の空港職員が4週間の帰休を指示された3月中旬から停められているのは間違いないとのことだ。

                                                        持ち主はどこに!? コロナ禍の前から空港に停められたままの謎の「COVID 19」カー | 持ち主はコロナの影響で帰国できずにいる国際線のパイロット?
                                                      • 北朝鮮の帰国事業は「奴隷貿易」だ─元在日コリアンが激白 | 極貧、差別、強制収容…日本は「嘘の片棒」を担いだ

                                                        1959年から1984年の間に日朝両国が共同で行った帰国事業で、約9万4000人の在日コリアンが北朝鮮に渡った。だが、「地上の楽園」と標榜されていた同国で移住者を待っていたのは、貧困や差別、強制収容への恐怖だった。いまは脱北して韓国に暮らす移住者が、当時の悲惨な状況を米紙「ニューヨーク・タイムズ」に語った。 地上の楽園は「地獄」だった 1960年8月のある晴れた朝、誰かが「祖国が見えたぞ!」と叫ぶ声が聞こえた。日本から2日かけて海を渡ってきた数百人の乗客が、いっせいに船のデッキに駆け寄る。 船は北朝鮮の港湾都市・清津(チョンジン)に到着した。港では群衆が造花を振り、歓迎の歌をうたっていた。だが、イ・テギョンは事前に聞いていた「北朝鮮は天国」という評判に強い違和感を覚えた。当時のことをイは次のように振り返る。 「港に集まっていた北朝鮮の人々は、みんな無表情でした。私は当時まだ8歳でしたが、間

                                                          北朝鮮の帰国事業は「奴隷貿易」だ─元在日コリアンが激白 | 極貧、差別、強制収容…日本は「嘘の片棒」を担いだ
                                                        • サッカー「欧州スーパーリーグ」の創設に批判の声が殺到! | 英国ウィリアム王子までも反対

                                                          各国の国内リーグを超えて開催する「欧州スーパーリーグ」の創設が大きな批判を浴びている。同リーグは欧州チャンピオンズリーグ(CL)に代わる大会として機能するため、CLを主催する欧州サッカー連盟(UEFA)や、さらには国際サッカー連盟(FIFA)からも反対意見が噴出。 さらには、ジョンソン英首相や、マクロン仏大統領、ウィリアム王子までもが懸念を示し、国際的な社会問題に発展している。いったい何が起きているのか。 メッシをはじめとしたスター同士の対戦が観られるのは楽しいことだが、リーグそのものへの批判が相次いでいる Photo by Mateo Villalba / Quality Sport Images / Getty Images 矛盾を含んだ新リーグ 「バルセロナとマンチェスター・ユナイテッドの対戦回数が増えるのはうれしいことかもしれないが、欧州スーパーリーグには多くの矛盾を含んでいる」と

                                                            サッカー「欧州スーパーリーグ」の創設に批判の声が殺到! | 英国ウィリアム王子までも反対
                                                          • 手足を縛られ、胃にはコンクリートが詰められて…タイ民主活動家失踪の闇 | 2年で9人が行方不明

                                                            タイの民主化を求め、軍部や王室を批判する活動家たちが亡命先の近隣諸国で次々と行方不明になっている。これまでに少なくとも9人が拉致されたが、著名人や国際人権団体の呼びかけにも関わらず、捜査はいっこうに進んでいない。 6月にカンボジアで失踪した民主活動家ワンチャラーム・サタシットの家族を米紙「ニューヨーク・タイムズ」が取材した。 ラオス、ベトナム、カンボジアで次々と起こる失踪事件 ラオスではタイから亡命してきた3人の民主活動家が、何ヵ月も行方不明となっていた。昨年、そのうち2人の遺体がメコン川の川岸で見つかったが、手足を縛られ、胃にはコンクリートが詰められた状態だった。 ベトナムへ逃れていた別の3人のタイ人活動家も、ベトナム政府によってタイ当局に引き渡され、その後1年以上、消息がわかっていない。 6月には、カンボジアにいたタイ人民主活動家ワンチャラーム・サタシット(37)が武装した男たちに黒の

                                                              手足を縛られ、胃にはコンクリートが詰められて…タイ民主活動家失踪の闇 | 2年で9人が行方不明
                                                            • 弱体化のWTOを見捨て、独自の「自由貿易ネットワーク」を築く中国の野望 | 米国、EUとの貿易からシフト

                                                              激化する米中貿易摩擦 2001年、中国は世界貿易機関(WTO)に加盟した。歓喜に沸いた当時でさえ、米中政府は異なる夢を見ていた。 当時の米国大統領ビル・クリントンは、中国はWTO加盟によって政治改革が推進されると称賛した。一方、当時の中国の指導者・江沢民は、米国の本当の動機は「社会主義諸国を西洋化し、分裂させること」にあると警戒していた。 それから20年以上経ったいま、両国の軋轢は激しく拡大した。2年に一度のWTO閣僚会議では、米中が激しく対立する。

                                                                弱体化のWTOを見捨て、独自の「自由貿易ネットワーク」を築く中国の野望 | 米国、EUとの貿易からシフト
                                                              • 「イスラエル国民は『ハマスの壊滅』という約束以上のものを求めている」 | ユヴァル・ノア・ハラリが地元紙で訴えたこと

                                                                イスラエル人の歴史学者で、ベストセラー『サピエンス全史』の著者として知られるユヴァル・ノア・ハラリが10月18日、イスラエル政府への訴えとも言える文章を地元紙「ハアレツ」に寄稿した。イスラエルで暮らす地元紙の読者に向けて、ハラリが伝えたかったこととは──。 大西洋憲章が兵士と民間人に伝えたもの 1941年8月14日、第二次世界大戦の戦局が最も暗澹としていたとき、米国のフランクリン・D・ローズヴェルト大統領と英国のウィンストン・チャーチル首相が大西洋憲章を公表した。 エッフェル塔やアクロポリスに鉤十字の旗がはためき、ロンドン市民がドイツ空軍の爆撃機に怯えながら暮らし、ナチスの戦車がモスクワに向かって猛攻撃を仕掛けていた時期である。そんなときにローズヴェルトとチャーチルは、未来を見据えて、ナチスを打倒した後の世界構想を大西洋憲章に描き出したのである。 この憲章で宣言されたのは、連合国側が戦争に

                                                                  「イスラエル国民は『ハマスの壊滅』という約束以上のものを求めている」 | ユヴァル・ノア・ハラリが地元紙で訴えたこと
                                                                • 「礼儀正しい国」日本でなぜ人々が“キレやすく”なっているのか? | 中国紙が報じる「カスハラ」問題

                                                                  病院の受付に激怒する患者、JR職員に暴力を振るう乗客……礼儀正しさと他者への敬意を誇りとしてきた日本で、攻撃的になる人が増えている。客による迷惑行為「カスタマーハラスメント」が社会問題化している現状とその背景を中国紙が取材した。 それは病院の受付をしている女性からの悲痛な訴えだった。4月3日付の読売新聞の悩み相談欄「人生案内」に投稿した匿名の女性が、患者から不満をぶつけられる「サンドバッグ」状態になっていることがつらいと綴った。 診察を待たされて怒鳴る人もいれば、順番を飛ばして治療しろと要求する人、笑顔で対応すると激怒する人もいる。女性は最後に、こうした患者に対する「心の持ちよう」を教えてほしいと助言を求めた。 回答者で心療内科医の海原純子は、女性の苦しい状況に理解を示し、最近の受付にはスタッフに対する思いやりを求める張り紙が増えていると述べた。しかし、医療機関の責任者が相談者の女性を守る

                                                                    「礼儀正しい国」日本でなぜ人々が“キレやすく”なっているのか? | 中国紙が報じる「カスハラ」問題
                                                                  • ISの性奴隷にされた女性たちが証言する、想像を絶する「地獄」 | 子供なのに家族と引き裂かれ、売られ…

                                                                    法、その一。「いかなる女も、配偶者あるいは所有物、召使いでないなら、性交は合法でない」 法、その二。「女が召使いや奴隷になるのは戦争を通じてである」 法、その三。「ジハードで戦った男が女性捕虜を手に入れるのは、司令官から与えられたときか、買ったときである」 いまから10世紀前の征服活動のときに書かれたこの中世の文章には、戦利品として獲得した性奴隷の正しい取り扱い方について、もっと具体的な記述もある。たとえば性奴隷の「利用」開始時期は、月経を1回見送ってからだとされている。獲得した性奴隷が妊娠している場合は、出産後だ。いまから見れば鬼畜の所業だが、これがかつてのイスラム帝国における「宗教的な立場から出された見解」だった。 IS(いわゆる「イスラム国」)がイラクとシリアに支配領域を持っていた2014年から2019年までの時期、その支配領域では性奴隷の拉致と酷使が横行したが、それを正当化する拠り

                                                                      ISの性奴隷にされた女性たちが証言する、想像を絶する「地獄」 | 子供なのに家族と引き裂かれ、売られ…
                                                                    • ウイグル族だけじゃない─中国朝鮮族が直面する同化政策の現実 | 少数民族に求められるのは「もっと中国人になること」

                                                                      中国当局の同化政策によって苦しい思いをしている少数民族の地域としてよく名前があがるのが、新疆ウイグル自治区だ。反体制派が多く、徹底した監視体制がおかれ、歯向かったとして「再教育キャンプ」に送り込まれる人の多さに世界が注目している。 だが、あまり世界から目を向けられることなくじわじわと同化されつつあるのが、中国朝鮮族だ。英誌「エコノミスト」が現地取材を交えて現状を報じている。 彼らの言語はずっと守られていたけど… 圧倒的に優位な者が、一方をやすやすと凌駕する──そんなときに、強者の本性が最も明らかになる。 テロリズムや国の安全に関わる脅威に対し、無慈悲な態度で臨む政府は多いだろう。しかし、ある政権がその意志を押しつけるために無抵抗の集団に対して力のすべてを行使するのは、その国のあり方が明白になる瞬間だ。 そうした不平等な争いのひとつが今まさに、中国と北朝鮮の国境近く、中国吉林省内の延辺朝鮮族

                                                                        ウイグル族だけじゃない─中国朝鮮族が直面する同化政策の現実 | 少数民族に求められるのは「もっと中国人になること」
                                                                      • 高級雑誌の時代に終止符 アナ・ウィンターが本気で取り組みはじめた「コンデナスト改革」 | 『プラダを着た悪魔』は、もう過去のもの?

                                                                        「紙の雑誌は永遠になくならない」 数年前はそう断言していたアナ・ウィンターだが、さすがの「コンデナスト」社でも急速に進むデジタル化の流れを目の前にして、悠長に構えてはいられなくなってきた。彼女自身が作り上げてきた「編集長」の姿は失くなるが、アナ・ウィンターの権力が弱まることはない──。 高級志向のメディアブランドを抱えるメディア企業は、「グローバル新戦略」で変化の時代を乗り切ることができるのか。 1988年から「ヴォーグ」の編集長を務めてきたアナ・ウィンターは、ボブヘアにサングラス、鋭い眼識で有名だ。流行の権威者たる「コンデナスト」社の豪華な歴史をあらゆる意味で体現している彼女は、いまや同社の未来も「売って」いる。その未来では、彼女自身が定めたような編集長の役割は過去のものとなる。 「出版業界で働くことが本当に素晴らしいのは、絶え間ない変革と、物事の動きがわかることだと思います」 マンハッ

                                                                          高級雑誌の時代に終止符 アナ・ウィンターが本気で取り組みはじめた「コンデナスト改革」 | 『プラダを着た悪魔』は、もう過去のもの?
                                                                        • 【解説】米国各地のキャンパスで親パレスチナの学生らが要求していること | ただの「戦争反対」ではない

                                                                          米コロンビア大学での親パレスチナ学生らによる抗議行動はなお続いている Photo: Stephanie Keith / Getty Images 米国各地の大学キャンパスで、イスラエルのガザ攻撃を糾弾する親パレスチナの学生らによる抗議行動が激化しており、警察当局による逮捕者も続出している。 米紙「ワシントン・ポスト」によれば、ニューヨーク市にあるコロンビア大学で4月18日、キャンパス内で野営していた親パレスチナの抗議者100人超がニューヨーク市警に逮捕されたことをきっかけに、連帯の意を示す同様の抗議行動が各地の大学に飛び火したという。 同紙は別の記事で、こうした抗議行動で逮捕者が出た大学についてまとめている。それによれば、コロンビア大学以外では、イェール大学(コネチカット州)で60人、ニューヨーク大学で120人、テキサス大学オースティン校で50人超、南カリフォルニア大学で90人超、エマーソ

                                                                            【解説】米国各地のキャンパスで親パレスチナの学生らが要求していること | ただの「戦争反対」ではない
                                                                          • 【全訳】グレタ・トゥーンベリ、国連気候行動サミットで怒りのスピーチ | 「あなたがたは私たちを裏切っている」

                                                                            気候変動の危機を訴えているスウェーデン人活動家のグレタ・トゥーンベリ(16)が、9月23日、米国ニューヨークで開かれている国連の温暖化対策サミットで、「大人」世代に向けた厳しいスピーチをし、世界中で話題になっている。これまでトゥーンベリを取り上げてきたクーリエ・ジャポンが緊急全訳をお届けする──。 あなたがたを信じない 私たちはあなたがたを見張っています──これが私のメッセージです。 こんなことはすべてまちがっています。私がこんな壇上にいるべきじゃないんです。大西洋の向こうの学校に戻っているべきなんです。なのに、あなたがたはみんなして、私たち若者に期待してやってくるなんて。ありえない! あなたがたは空っぽの言葉で、私の夢と子供時代を盗みました。それでも、私はラッキーなほうです。人々は苦しんでいます。死んでいます。全生態系は崩壊しつつあります。大量絶滅の始まりに私たちはいるんです。

                                                                              【全訳】グレタ・トゥーンベリ、国連気候行動サミットで怒りのスピーチ | 「あなたがたは私たちを裏切っている」
                                                                            • 「鳥は国民を監視するために政府がつくったドローンだ」という陰謀論がZ世代に広がっているワケ | 若者たちが支持する「陰謀論に打ち勝つための陰謀論」

                                                                              「鳥は全部ドローンだ!」 パンデミックが発生し、情勢不安は続き、そしてナショナリズムが台頭するなか、インターネットが人々の不安を煽ることで陰謀論がますます広がっている。SNSやネット掲示板を見るとそれは顕著に思えるだろう。 そんななか、アメリカではいま不思議な陰謀論が若者たち──特にZ世代の間で広まっている。「Birds Aren’t Real(鳥は偽物だ)」というものだ。「鳥など実在せず、これは実のところアメリカ政府がアメリカ人を監視するために設置したドローンである」という陰謀論である。 これが大変な人気で、同国のピッツバーグ、メンフィス、ロサンゼルスでは「Birds Aren’t Real」と書かれた巨大な看板まで街に出現しているという。インスタグラムやTiktokでは「Birds Aren’t Real」のアカウントが何十万人ものフォロワーを獲得しており、その影響力がうかがえる。 A

                                                                                「鳥は国民を監視するために政府がつくったドローンだ」という陰謀論がZ世代に広がっているワケ | 若者たちが支持する「陰謀論に打ち勝つための陰謀論」
                                                                              • 巨大テック企業があえて「自粛」した技術が、世に放たれようとしている | 顔認証技術から考える倫理的ハードル

                                                                                数年前、巨大テック企業のエンジニアたちは、カメラで捉えた相手の顔を認識し、名前を表示するツールを開発した。だが、かのシリコンバレーもそのときばかりは、素早く実用化して環境を変えることをしなかった。 それからしばらく経ったいま、大企業の支配を受けないスタートアップが、その技術を世に出そうとしている。この状況は、技術をどう活用するかという倫理的な議論や法規制が必要であることを浮き彫りにする。 すでに完成されていた技術 2017年初頭のある日の午後のことだ。カリフォルニア州メンロパークにあるフェイスブック本社の会議室で、エンジニアのトマー・レイヴァンドは、野球帽の端にスマートフォンをくっつけた状態で座っていた。そのスマートフォンは、ゴムバンドによってカメラを外に向けた状態でしっかり固定されていた。 このばかげた帽子フォンは、きわめて不格好だったが、未来の青写真であり、そこにはごく一部の社員しか知

                                                                                  巨大テック企業があえて「自粛」した技術が、世に放たれようとしている | 顔認証技術から考える倫理的ハードル
                                                                                • ネットフリックスのドラマで“大炎上”した元検事が非を認めず、火だるまに… | 無実の少年5人をレイプ犯として投獄した30年前の事件に注目が!

                                                                                  無実の少年5人をレイプ犯として投獄した30年前の事件に注目が! ネットフリックスのドラマで“大炎上”した元検事が非を認めず、火だるまに… リンダ・フェアスタインは性犯罪の専門家としてテレビなどにも出演していた。2013年撮影 Photo: Peter Kramer / NBC / NBC NewsWire / Getty Images ネット上で“公開処刑”され、出版社からの契約も打ち切り 5月31日に配信されたネットフリックスのオリジナルドラマ『ボクらを見る目』が、米国での1日あたりの視聴回数の最高記録を達成する大ヒットとなっている。 この作品は1989年のニューヨーク、セントラルパークをジョギング中の女性が強姦された事件をもとにしたドキュメンタリードラマ。事件ではハーレムに暮らすアフリカ系/ラテン系の当時14〜16歳だった5人の少年が無実の罪で起訴され、レイプ犯として投獄された。 同作

                                                                                    ネットフリックスのドラマで“大炎上”した元検事が非を認めず、火だるまに… | 無実の少年5人をレイプ犯として投獄した30年前の事件に注目が!