GHQ焚書の中には外国人が著したものがかなり存在するのだが、当時ハワイにいて日本軍による真珠湾攻撃を目撃したアメリカ人の大学教授・ブレーク・クラークがこの攻撃の有様を記録した本がGHQによって没収処分されている。この本は、戦争たけなわの昭和十八年四月に、海軍大佐・廣瀬彦太により翻訳され刊行されたものである。 何故アメリカ人が書いた本が焚書処分されたのかについて、訳者の廣瀬彦太が冒頭に記した「本書を読む人のために」という短い文章の中に、そのヒントになる部分がある。 …本書の原著者は、日本の真珠湾攻撃に関し、米国指導者が、ことさらに隠蔽せんとし、あるいは触れざらんとし、あるいは欺瞞せんとした諸事実を、無意識的か、また不用意にてか、ことごとく本書において白日の下にさらけ出しているのである。思えば愉快な本が出たものである。 たとえば、真珠湾の損害について、米国はひたかくしにかくさんとしたのであった