日本の学術情報流通に特有な言語の問題を議論するための基礎的なデータを示した。日本と海外の文献データベースをマッチングして,日本の大学から生産される科学・技術・医学分野の学術文献を使用言語の観点から分析した。その結果,日本の大学研究者は原著論文には英語を使用し,解説的文献や短報・予稿等には日本語を使用する傾向にあることがわかった。また,英語の原著論文数は最近10年の間増加しておらず,大学が英語での研究成果発信を重視する傾向は,大学研究者の全体的な論文生産数には現時点で反映されていないことが明らかとなった。 研究開発活動は,「新たな「知」の創造やイノベーションによる新産業,新市場の創出等を通じて,経済社会の持続的発展や国際競争力の強化をもたらす源泉」1)である。特に,企業の研究開発費は日本全体の研究開発費の約7割2)を占めており,そのさらなる活性化を促すことは,イノベーション創出の基盤を強化し