殺す。殺す。 こいつは増田の、増田の大切な人を奪ったんだ。 蛍を殺したんだ。 それに天使のルールを破り、こいつは地獄の果実に手をだした。 こいつを許すわけにはいかない。 殺す。 必ず殺さなければならない。 「あああああっ!」 「ふふ、憎いだろう。俺が、僕が、殺せ、殺せ、イワンを殺してしまえ。さあ、負の感情をもっと強く、強く思うのだ」 「あああああっ、イワンっっ」 レミの頭に直接流し込まれていくイワンの作り上げた憎悪。憎い、憎い、殺す、そう強く思う程に彼女をさらなる激痛が襲う。 もうこの感情の増長と痛みの連鎖から抜け出す術はなかった。 徐々に抜けていく四肢の力、ぼんやりとした視界に浮かぶのはイワンの卑下た笑み、そのニヤけた顔に平手を打ち込もうとしても身体は思うように動いてくれない。それどころか支える力さえ失ったレミの足はその場に崩れ落ちる。 もう、駄目かも知れない。そんな時、 それは幻聴だっ