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ele-kingの検索結果1 - 40 件 / 41件

  • 高橋幸宏 音楽の歴史 | ele-king

    高橋幸宏は1952年6月6日、東京で生まれた。父は会社経営をしており、自宅は200坪の敷地に建ち(もともとは天皇の運転手が建てた家だそうだ)、軽井沢には別荘を持っていた。 後に音楽プロデューサーとなる兄に感化され、早くから音楽に親しみ、小学生のときにはドラムを始めている。このドラムという楽器を選んだ理由にはドラムの練習ができるほど広い家に住む子がなかなかいないからだったと後年明かしている。 中学生のときにはユーミンが参加することもあったバンドを組み、高校生のときにはもうセッション・ミュージシャンの仕事を始めていたのだから早熟と言うほかないだろう。ドラムのうまい高校生がいるという噂を聞きつけて大学生だった細野晴臣が会いに来たのも高橋幸宏の高校時代のこと。大学に入るとガロに一時在籍するなど、すでにプロのミュージシャンとしての道も歩き始めていた。 そんな高橋幸宏の転機となったのは、旧知の加藤和彦

      高橋幸宏 音楽の歴史 | ele-king
    • 貧困ポルノ | Benefits Street | ele-king:アナキズム・イン・ザ・UK 第16回

      今年の英国は、年頭からC4の『Benefits Street』という番組が大きな話題になった。 これは生活保護受給者が多く居住するバーミンガムのジェイムズ・ターナー・ストリートの住人を追ったドキュメンタリーである。が、ブロークン・ブリテンは英国では目新しくも何ともない問題なので、個人的には「なんで今さら」と思った。日本人のわたしでさえ何年も前からあの世界について書いてきた(その結果、本まで出た)のだ。UKのアンダークラスは今世紀初頭から議論され尽くしてきたネタである。 が、この番組で英国は蜂の巣をつついたような騒ぎになった。デイヴィッド・キャメロン首相から『ザ・サン』紙まで、国中がこの番組について語っていた。よく考えてみれば、一部のコメディや映画を除き、あの世界を取り上げた映像は存在しなかったのである。 なるほど。アンダークラスは本当に英国の蜂の巣だった。というか、パンドラの箱だったのであ

        貧困ポルノ | Benefits Street | ele-king:アナキズム・イン・ザ・UK 第16回
      • interview with Yukio Edano | ele-king

        去る9月末、突然の衆議院解散と前後して野党第一党だった民進党が分裂し、その後も混乱が続いている。そのような状況のなか、来る22日には48回目となる衆議院議員総選挙が実施される。私たち『ele-king』はおもに音楽を扱うメディアではあるが、いまのこの政局を重要なものと捉え、初めて政治家への取材を試みることにした。以下のインタヴューは必ずしもその政治家への支持を呼びかけるものではないが、これを読んだ各々が自身の考えを深め、政治や社会に関心を寄せる契機となれば幸いである。 「僕は(自分たちを)少数派だとは思いません」──たったひとりで5日前に立憲民主党を立ち上げ、その呼びかけに応えて集まった候補者たちと選挙に臨もうとしている枝野幸男はそう言った。 9月の衆院解散後の野党第一党の崩壊劇で、小池百合子の「排除します」の一言は、その3ヶ月前に首相が放った「こんな人たち」よりもさらにストレートに私の胸

          interview with Yukio Edano | ele-king
        • 「ハウスは、ディスコの復讐なんだよ」 | ele-king

          Home > Columns > 「ハウスは、ディスコの復讐なんだよ」- ──フランキー・ナックルズの功績、そしてハウス・ミュージックは文化をいかに変えたか フランキー・ナックルズが亡くなったというニュースが私たちのもとに飛び込んで、あらためて彼の功績を振り返り、彼の曲を聴きなおすたびに、とにかく悲しいという気持ちばかりが溢れて仕方がない。直前のマイアミでDJした際の動画には、クラウドに愛され、名前をコールされる最高の瞬間が残されていた。(Frankie Knuckles || Def Mix @ The Vagabond || Miami || March 2014 )そこでプレイされていたのは「僕が居なくなってから、君は僕の愛を恋しくなるはずだよ」と歌うルー・ロウルズ“You'll Never Find Another Love Like Mine”を原曲にした彼の未発売音源……。彼は

            「ハウスは、ディスコの復讐なんだよ」 | ele-king
          • RIP David Bowie | ele-king

            英国に止まない雨が降った朝文:ブレイディみかこ ある雑誌の企画で「いま一番聴いている5曲」という調査に参加することになり、アンケート用紙に記入してメールした後、酒を飲みながらボウイの新譜を聴いていた。 「いま一番聴いている5曲」の中にも、『Blackstar』収録の” 'Tis a Pity She Was a Whore”を入れた。過去と現在の音をカクテルにしてぐいぐいかき混ぜながら、確かに前進していると思える力強さがある。みたいなことをアンケートには書いておいた。 そして新譜を聴きながらわたしは眠った。 が、朝5時に目が覚めてしまった。 まるで天上から誰かが巨大なバケツで水をぶちまけているかのような雨が降っていたからだ。雨の音で目が覚めるというのはそうある話ではない。こんな怒涛のような雨が降り続いたら、うちのような安普請の家は破れるんじゃないかと本気で思った。妙に真っ暗で、異様なほどけ

              RIP David Bowie | ele-king
            • 第19回:ウヨクとモリッシーとサヨク | ele-king

              「俺、UKIP支持に回るかも」 と隣家の息子が漏らしていたというのは数カ月前に書いた話だ。 リベラルでお洒落なゲイ街にはレインボウ・フラッグがはためいているが、貧民街の家々には聖ジョージの旗が掲げてあり、それはまるで、もはや「自分はイングリッシュである」ということしか誇るものがなくなった白屑(ホワイト・トラッシュ)の最後の砦のようだ。と書いたのは一昨年の話だ。 つまり、ずっと前から予感はあった。 5月23日のEU議会選(地方選とセットで行われた地域もある。ブライトンはEU議会選オンリーだった)が近づくと、それは一気に明らかになった。貧民街の家々の窓に右翼政党「UKIP」支持のステッカーが貼られ始めたのだ。だいたい貧民街では選挙前に政党のステッカー貼ってる人なんていなかった。ミドルクラスなエリアに行くと緑の党や労働党のステッカーが貼られていて、玄関先にフラワーバスケットが下がっているようなお

                第19回:ウヨクとモリッシーとサヨク | ele-king
              • 追悼・蜷川幸雄(前編) | ele-king

                歳を重ねて、嫌だなと思うことは、わたしの場合あまりない。ただ、25歳前後に知り合いの結婚式ラッシュがあったように、歳を重ねると喪服を着ることが多くなるのだ。だが、この人は、まだ大丈夫と思い、覚悟をしてなかった人が逝った。80歳で、車椅子に乗り、鼻に管をしていたにもかかわらず、だ。蜷川幸雄さんは、その状態で、演出しながら怒り、あいかわらずの調子で台本を床に叩きつけている映像が流れたこともあったから、なんとなく油断していたのだ。 蜷川さんは、女優としてのわたしと、歌手としてのわたしの両方でお世話になり、卑屈なわたしに、両方の自信をくれた人だ。 亡くなる数年前にも、「サワコの朝」という番組で、まだ凄いことを言ってくださっていた。ソロになってからずっと好いてくださったのだ。自分で書くのは、あまりに恥ずかしいから、ネットで調べていただきたい。さいたまゴールド・シアターという、高齢者だけの劇団を作った

                  追悼・蜷川幸雄(前編) | ele-king
                • ゲーム音楽はどこから来たのか――ゲームサウンドの歴史と構造 | ele-king

                  田中 “hally” 治久(著) 2024/10/22 本体 2,400円+税 ISBN:978-4-910511-79-5 Amazon ゲーム音楽の歴史と本質を知るための最良の手引き 第一人者による積年の研究の集大成 いまわたしたちの目の前にあるゲーム音楽は、 なにがどうなった結果としてそこにあるのだろうか? 『コンピュータースペース』『ポン』『アメイジング・メイズ』 『スペースインベーダー』『ラリーX』『ゼビウス』 『ジャイラス』『デウス・エクス・マシーナ』 『スーパーマリオブラザーズ』『ドラゴンクエスト』 『ジーザス』『ファイナルファンタジー』『アクトレイザー』…… ゲーム音楽を「ゲームサウンド」という大きな枠組みのなかに 位置付け直すことで、その答えを探る。 これまでゲーム音楽の構造研究は主として産業史・技術史の観点からなされてきたが、その大半は「ゲーム音楽はこんなにも進歩してき

                    ゲーム音楽はどこから来たのか――ゲームサウンドの歴史と構造 | ele-king
                  • R.I.P. 横田進 | ele-king

                    テクノ/ハウス/エレクトロニカのプロデューサーとして国内外に多くのファンを持つ横田進が、3月27日、長い病気療養のすえ永眠したことが最近わかった。音楽関係者との接点を持たなかったご遺族が、先日、遺品整理中に見つけた関係者からの手紙を頼りに報告があった。54歳だった。 横田進は、ハウス・ミュージックに触発されて、90年代初頭から本格的な音楽活動をはじめている。初期の作品、1993年にドイツの〈ハートハウス〉からリリースされたFrankfurt-Tokio-Connection名義の12インチ・シングルは、都内の輸入盤店でも話題になった。当時勢いのあったジャーマン・トランスの重要レーベルからのリリースだったということもある。が、何よりも、無名の日本人がいきなり海外のレーベルから作品を出すことがまだ珍しかった時代のことだった。いまや音楽は世界に開かれている──そんなオプティミスティックな気配がア

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                    • exclusive JEFF MILLS ✖︎ JUN TOGAWA | ele-king

                      子どものころTVを観ていたら「宇宙食、発売!」というコマーシャルが目に入った。それは日清食品が売り出すカップヌードルのことで、びっくりした僕は発売初日に買いに行った。ただのラーメンだとは気づかずに夢中になって食べ、空っぽになった容器を逆さまにして「宇宙船!」とか言ってみた。カップヌードルが発売された2年前、人類は初めて月面に降り立った。アポロ11号が月に降り立つプロセスは世界中でTV中継され、日本でもその夜は大人も子どももTV画面をじっと見守った。翌年明けには日本初の人工衛星が打ち上げられ、春からの大阪万博には「月の石」がやってきた。秋にはイギリスのTVドラマ「謎の円盤UFO」が始まり、小学生の子どもが「宇宙」を意識しないのは無理な年となった。アポロが月に着陸した前の年、『2001年宇宙の旅』が1週間で打ち切りになったとはとても思えない騒ぎだった。 ジェフ・ミルズが2008年から継続的に続

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                      • ele-king

                        REVIEWS Senyawa - Vajranala Sep 12,24 UP 日本でもその熱狂的なパフォーマンスは知られている、インドネシアの革新的で強烈なふたり組、スニャワ(Senyawa)の新作をデジラが紹介します。 Jonnine - Southside Girl Sep 10,24 UP オーストラリアのSSW、ジョナインはフィールド・レコーディングされたさまざまな音をバックに即興の歌を披露する。オルタナティヴ・ロック・バンドHTRKの一員でもある彼女の最新作は、〈Modern Love〉から。 Beak> - >>>> Sep 09,24 UP Various - Music For Tourists ~ A passport for alternative Japan Sep 02,24 UP KMRU - Natur Aug 30,24 UP ENDON - Fall o

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                        • 第6回:女の子が好きな女の子 | ele-king

                          ここ1ヶ月半ほど、「ありの~ままの~すがた見せるのよぉ~」と我が家の6歳児がかしましい。もちろん彼女が歌うのは、大ヒット公開中のディズニー・プリンセス映画『アナと雪の女王』の主題歌“レット・イット・ゴー”日本語版です。アンタそれ以上ありのままになってどうするんだ……と突っ込んだところで、「何も怖くない。風よ吹け(I don't care. what they're going to say.Let the storm rage on.)」と、こちらがフローズンされそうな勢い。「友だちの話聞いてたらもう一度見に行きたくなった!」と、彼女の『アナ雪』愛は深まるばかりです。彼女の通う小学校ではサビのフレーズをどれだけ大声で歌うか、もしくはヘン声が歌うかを競うのが女の子の間で大流行。ブランコに乗りながら「アロハ~バイバ~イ」とオラフ(雪だるま)のモノマネをしたり(そんなセリフありましたっけ? 母は

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                          • talk with Takkyu Ishino × Stephen Morris | ele-king

                            Home > Interviews > talk with Takkyu Ishino × Stephen Morris - 特別対談:石野卓球×スティーヴン・モリス(ニュー・オーダー) 余計な説明はいらないだろう。5月24日、都内某所、石野卓球とニュー・オーダーのドラマー、スティーヴン・モリスは40分ほど対話した。以下はその記録である。 前日の25日には、バンドは来日ライヴを成功させているが、石野はフロントアクトとしてDJを務めた。彼は、今回のアルバム『ミュージック・コンプリート』からのシングルの1枚、「Tutti Frutti」のリミックスを手掛けている。そして石野は……以下、どうぞ対談をお楽しみください! 失礼ですが、僕がそれまでに観た海外のバンドなかで1番ヘタクソだなって思ったんですよ(笑)。でもね、それがすっごくカッコよくてね。 ──石野卓球 石野卓球:僕のニュー・オーダーのライ

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                            • 第9回:戦わない男の子、トロフィーにならない女の子 | ele-king

                              さまざまな雪像が飾られた昨冬の雪祭りの写真を眺めながら、長女が言いました。「この頃は『アナと雪の女王』も『妖怪ウォッチ』もなかったんだねえ」。 たしかに、今年3月14日に日本公開された映画『アナと雪の女王』、そして今年1月8日からテレビアニメ版の放送がスタートした『妖怪ウォッチ』は、子どもカルチャー・シーンをすっかり塗り替えてしまった感があります。子どもが世間に大放出される夏休みともなると、アナ雪ソングを大声で歌う女の子と妖怪ウォッチの話をまくしたてる男の子がアブラゼミなみにそこらじゅうで観察されたものです。いつの日か子どもカルチャー史が編まれることになったら、2014年は「妖怪ウォッチとアナ雪の年」として刻まれることでしょう。 そして「アナ雪」ブームも一段落したいま、男児の『妖怪ウォッチ』熱は女児にも伝染したもよう。最近の娘たちはもうプリキュアもディズニープリンセスも卒業したとばかりに、

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                              • ♯8:松岡正剛さん | ele-king

                                たとえば林檎を描くとする。赤い林檎をそのまま正面から描くか、ひと口かじったそれを描くか、あるいは緑の林檎にするか、それとも半分に割った林檎にするか、その描き方にはいろいろある。編集者というのは、「(ほかの描き方も複数あるが)今回はこの林檎でいこう」だ。35年前に松岡さんから聞かされたこの喩えが、いまでも頭にこびり付いている。流動性のなかにこそ編集の極意あり。存在の流動化、存在から存在学へ、ほうき星の存在学。編集者は、言うなれば仮面から仮面へ、惑星から惑星へ、そして灰から灰へと渡り歩くことができる。だが、真を追求するアカデミアの研究者はそうはいかない。だからこの発想には両義性がある。 編集者のテクニックのひとつに、コピーライティングがある。松岡さんは権威的な文体や難読漢字の多用を嫌い、メディアの武器であり資本主義の道具でもあるこの文章技術に入れ込んでいた。目次に凝るのが好きで、ときには雑誌の

                                  ♯8:松岡正剛さん | ele-king
                                • ♯2:誰がために音楽は鳴る | ele-king

                                  平日の朝の9時台の渋谷行きの電車のなかといえば、そりゃあもう、その1時間前よりは空いているため多少はマシだが、それでもまだ混んだ車内は最悪な雰囲気で、ゲームやメルカリやYouTubeやなんかで時間を潰す勤め人や学生、座席に隙間なくそれでも眉間に皺を寄せた人たちは居心地悪そうに座り、たまにいびきをかいている輩もいると。まあ早い話、幸せとは思えないような人たちでいっぱいだ。だからそんななか、音楽を聴きながらステップを踏んでかすかとはいえ歌まで歌っているうら若き女性がいたら、周囲が視線を寄せるのも無理はない。ただし、そう、怪訝な目で。 たまたま偶然、彼女はぼくのすぐ前にいた。電車が動いているうちはまだいいが、停車し、ほんの数十秒の静けさが車内に訪れると彼女が歌っているのがはっきりとわかる。聞こえた人はそこで「ん?」と思う。ドアが閉まり、電車ががーっと音を立ててまた走りだすと人びとは手元のスマホの

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                                  • 第8回:墓に唾をかけるな | ele-king

                                    その日、わたしは街の裏通りにある小さなパブで、仕事帰りに人と会う約束をしていた。 そこは薄暗く古いパブで、流行のワインなどを飲ませる小奇麗なパブではない。窓際には年季の入ったスヌーカー・テーブルがあり、カウンター上方のフラット・スクリーンではない分厚いテレビはいつもフットボールの試合を映している。が、その日、パブに着いてみれば、なぜかテレビはBBCニュースを映していた。 「え。サッチャー、死んだの?」 と吃驚しているわたしの背後から入って来た、塗装業者らしいペンキで汚れたバギー・ジーンズのおっさんは、テレビに映し出された「Baroness Thatcher Died」のヘッドラインを読むなり、おもむろに両手でガッツ・ポーズを取った。 「YES!!」 PCの前に座って仕事をしている階級の人びとはもっと早く訃報を知ったのだろうが、ブルーカラーの労働者が彼女の死を知ったのは夕方だったのである。ん

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                                    • R.I.P. 鮎川誠 | ele-king

                                      連日レジェンド級のアーティストたちの訃報が続き、堪えるなと思っていたところへまたひとり……シーナ&ロケッツの、そして日本を代表するロックンロール・ギタリストの鮎川誠が1月29日午前5時47分(シーナ!)に亡くなった。享年74歳。日本中のロックンロール・ファンがいま、悲しみに暮れている。 昨年5月に膵臓がんで余命5ヶ月を宣告されてからも「一本でも多くライヴをしたい」とツアーを続け、近年ではもっともライヴの多い一年になったという。最後までロックとライヴにこだわった生涯だった。 11月にはシーナ&ロケッツ45周年ワンマンを新宿ロフトで行った。ライヴ中にウィルコ・ジョンソンの訃報が入り、「ウィルコの分までロックするぜぃ!」と叫ぶ姿がYouTubeに投稿されている。 そんなウィルコ・ジョンソンやイギー・ポップといった鮎川とも交流のあったアーティストたちと同様に、鮎川はパンク以前とパンク以後、メジャー

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                                      • tofubeats | ele-king

                                        『書を捨てよ、町へ出よう』のKindle版をamazonで買ってみたのは、そのときに書いていた原稿で、とある1行を引用しようと本棚を探したのだが見当たらず、そうか、先日、BOOK OFFが引き取っていった大量の本のなかに紛れ込んでしまっていたのかもしれないと思い当たったためだった。それにしても、書を買うのにも、書を捨てるのにも、家を出なくていい時代に、街へ出る理由などあるのだろうか。というか、そこには、わざわざ出ていくに値する魅力などあるのだろうか。そういえば、何をするでもなく街をぶらつくということがめっきりなくなってしまった。最近は、もっぱら、家から目的地へ、それこそ、ハイパー・リンクのように移動するだけだ。または、歩いていても、街並よりスマート・フォンの画面を眺めている時間のほうが長いかもしれない。そんなことを考えながら、ふと、iTunesを立ち上げ、約40年前の楽曲と2012年の楽曲

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                                        • 第23回:ソーシャル・レイシズム | ele-king

                                          「ソーリダリティ、フォエーーヴァー、ソーリダリティ、フォエーーヴァー」 という1915年に書かれた労働者のアンセムで『Pride』は始まる。 『Pride』という英国映画は、炭鉱労働者が一年にわたってストライキを繰り広げた84年から85年を舞台にしている。ストで収入がなくなった炭鉱労働者とその家族を経済的に支援するためにロンドンの同性愛者グループが立ち上がり、GLSM(Gays and Lesbians Support Minors)という組織を結成して炭鉱コミュニティーに資金を送り続けるというストーリーで、英国の中高年はみんな知っている実話でもある。 ************* 少し前、職場でちょっとした事件があった。 というか、地元のメディアに報道されたりしたので、「ちょっとした」という表現は適切でないかもしれない。 保育士という仕事には怖い側面がある。 子供からあることないこと言われ

                                            第23回:ソーシャル・レイシズム | ele-king
                                          • interview with Tofubeats | ele-king

                                            この数年、若いアーティストに接してしばしば感じるのは、とにかくきちんと自分たちのことを説明する、ということだ。そして、そう感じる相手はたいてい25歳前後の人びとだったりする。乱暴な世代論を振り回すようで恐縮だが、彼らのことを「プレゼン世代」と呼んでみてもいいだろうか? これは三田格さんがずいぶん前にふと口にされた言葉で、どんな意味でどんな対象を指すものだったかは覚えていない。けれど、こちらのインタヴューや問いかけに対して「べつに……」と靴を見つめることもなく、「言うことはない、ただ感じてくれ」とそっくり返ったりもしない、むしろエントリーシートに書き込むような慎重さと戦略性でもって回答する、ある世代のアーティストたちには、そうした呼び方を当てはめてみたくなる。村上隆『芸術闘争論』ではないけれども、音や作品を神秘化しないできちんと説明していかなければ外に伝わらないという感覚が、はじめから骨身に

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                                            • Album Reviews | 神聖かまってちゃん - ele-king Powerd by DOMMUNE

                                              ハスラー・ラップが、現代の日本に生まれつつある新たな貧困層予備軍の恐れと苛立ちを音楽で表現する、政治的に最先端のジャンルだとしたら、この国のインディ・ロックではまだまだ(80年代の延長線としての)90年代を引きずり続けるようなモラトリアムなバンドが幅を利かせていて、そんな中、昨年、久々に切羽詰った音を聴いたなと思ったのが神聖かまってちゃんだった。この、理性のある大人だったら間違いなく苛立つだろう、ふざけた名前を掲げる4人組みは、実際、メンバーは20代前半という若さで、ライヴハウスよりもインターネットを拠点に活動して来たという点、所謂2ちゃん用語やアニメからの引用を好んで使う点等も含め、そのセンスの端々に、ある世代より上はジェネレーション的/カルチャー的ギャップを感じるに違いない。しかし、新しいものというものはいつだって違和感から生まれてくるのだ。 そんな通称"かまってちゃん"が最初に名を挙

                                              • special talk : tofubeats × Yoshinori Sunahara | ele-king

                                                つい先日デジタルで発売されたトーフビーツの『First Album Remixes』の1曲目が“Don't Stop The Music”の砂原良徳リミックス。新世代の作品にベテランが手を貸した最初のヴァージョンとなった。 トーフビーツからは「現在」が見える。インターネット時代の(カオスの)申し子としての彼の音楽には、90年代を楽しく過ごした世代には見えにくい、重大な問題提起がある。ゆえに彼の楽曲には「音楽」という主語がたくさん出てくる。音楽産業、音楽文化、あるいは知識、音楽の質そのもの。 自分が若かった頃に好きだった音楽をやる若者は理解しやすいが、自分が若かった頃にはあり得なかった文化を理解することは難しい。なるほど、ボブ・ディランは最近ロックンロール誕生以前の大衆音楽をほぼ一発で録音して、発表した。これは、インターネット時代の破壊的なまでに相対化された大衆音楽文化への本気のファイティン

                                                  special talk : tofubeats × Yoshinori Sunahara | ele-king
                                                • Derrick May interviews ele-king's tsutomu noda

                                                  Derrick Mayが『ele-king』編集長の野田努をインタビュー

                                                    Derrick May interviews ele-king's tsutomu noda
                                                  • 第1回:ピンクに塗れ! | ele-king

                                                    ele-kingをご覧のみなさんこんばんは、二児の母です(COUNT DOWN TV調に)。あたかもクラブに買い物帰りのオカンが長ネギを振り回しながら乱入したかのような不作法、なにとぞお許しください。じつは子どもたちのことで話が......え、小町にでも書いてろ? まあそう言わず、おつきあいくださいませ。 「女の子ならピンクが好きなんて押しつけ。女の子が生まれたら、自由にいろいろなものを選べるようにしてあげたい」。そう思って育ててきたはずのうちの娘、なぜか押しつけた覚えのないピンクばかりを身につけたがる。「これからは女の子だって社会に出ていく時代なのだから、自主性を尊重してあげなくては」と好きなように服を選ばせたら最後、林家ぺーのような格好で意気揚々と街中を闊歩する娘を追いかけるはめに......。私のような経験をした女児母は、決して少なくないのではないでしょうか。そう、女の子の多くは生ま

                                                      第1回:ピンクに塗れ! | ele-king
                                                    • 第26回:JE SUIS 移民 | ele-king

                                                      なかなか慌ただしい年の初めだった。 昨年末から、連合いの姉たちと交代でアイルランドの姑の介護をしていて、正月はわたしの番だったので姑と一緒に新年を迎えたのだが、帰国した数日後に姑が他界した。で、またアイルランドにUターンすることになったのである。 姑はアイルランドの田舎の小さな村に住んでいた。夫が亡くなるまではロンドンに住んでいたが、未亡人になるとすぐアイルランドに戻った。「黒い肌や茶色い肌の強盗だらけ」のロンドンは大嫌いだったそうで、そんな彼女だから、連合いが東洋人の嫁を貰ったときもネガティヴな反応を示した。姑と舅がロンドンに渡ったのは1950年代で、英国では「犬と黒人とアイルランド人はお断り」などと言われた時代だ。アイリッシュ労働者の家庭も差別されたんだろうが、姑は有色人を自分たちのさらに下に位置する者と思っていた。アイルランドの緑の大地を愛した姑は、ロンドンの喧噪や地下鉄や細い路地を

                                                        第26回:JE SUIS 移民 | ele-king
                                                      • Aphex Twin | ele-king

                                                        最近父を亡くしたというエイフェックス・ツインことリチャード・D・ジェイムスが、どうやら昨今の状況に危機感を覚えたようで、めずらしく警告を発している。RA の報じるところによれば、当初 SoundCloud の user18081971 のプロフィール欄にメッセージがポストされ、一度削除された後、現在は Reddit に再掲載されている。とても良いことを言っているので、以下に試訳を掲げておきます。 現在悲しみに暮れている方々には心からお悔やみ申し上げます。ぼくは最近父を亡くしました。本当につらかったけど、COVID-19 とは無関係でした。 もし COVID-19 の統計を目にすることがあったら、その数値が COVID-19 “が原因で” 亡くなった人たちを反映しているのかどうか、ちゃんと確認しなきゃいけないよ。どうか忘れないでほしい。 もし警察が、きちんとした法もないような状態で政府の要望

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                                                        • interview with Cornelius いかにして革命的ポップ・レコードは生まれたか - ele-king Powerd by DOMMUNE | エレキング

                                                          Home > Features > Interview > interview with Cornelius いかにして革命的ポップ・レコードは生まれたか――小山田圭吾、インタヴュー そこにはあらゆるモノが放り込まれている。消費社会におけるハイ・カルチャーとロウブロウの境界線は溶解して、貧民街のヒップホップと煌びやかなデパートの玩具コーナーは結ばれる。ブラック・サバスはクラウトロックといっしょにリオデジャネイロのボサノヴァへと直行して、エイフェックス・ツインは空飛ぶ円盤に乗ってジーザス&メリーチェインに会いに行く。冗談音楽と立体音響、パンクとサンシャイン・ポップス......これらアルバムに詰め込まれたおびただしい情報量、そして得も知れぬセンチメンタリズム(僕にはそれが消費文化を強いられた世代のある種のシニシズム、80年代を席捲したブランド文化と対をなしていた当時のアンダーグラウンド文化か

                                                            interview with Cornelius いかにして革命的ポップ・レコードは生まれたか - ele-king Powerd by DOMMUNE | エレキング
                                                          • 第22回:フットボールとソリダリティー | ele-king

                                                            夏休みにうちの息子を初めてフットボール・コースに通わせた。 これはブライトン・アンド・ホーヴ・アルビオンFCという地域のクラブが運営している小学生向けのコースで、夏休みとかイースター休みとかには必ずやっているのだが、働く親には送り迎えがたいへん不便な時間帯に行われているので、これまでうちの息子は通えなかったのである。 が、今年はどうにか送り迎えの都合がつくことになり、フットボール狂のうちの息子は喜び勇んでコースに行ったのだが、初日からどんよりした顔つきで帰って来た。 「どうしたの」 「ジャパーンはシットだって言われた」 ああ。と思った。グラウンドに彼を送って行ったときに、それはちょっと思ったのである。子供たちのほとんどは、ブライトン・アンド・ホーヴのキットを着ていた。地元クラブ運営のコースなので当前である。少数派として、チェルシーやマンUなどの定番人気クラブのキットを着ている少年たちもいた

                                                              第22回:フットボールとソリダリティー | ele-king
                                                            • 2021年7月26日 | ele-king

                                                              ここ10日ほどずっと気が重いのは、もちろん小山田圭吾について考えているからだ。そもそもオリンピック開催に反対のぼくが、小山田圭吾がそれに関与したということに失意を覚えないはずがなく、また、問題となった二誌の記事の内容に関しても、一次資料に当たったわけでないが、ネットで明らかになっている部分だけ見ても擁護しようがない。自分自身のふがいなさも痛感している。音楽シーンにはぼくのようにROとQJを読まない人だっているわけだし、ぼくの仕事は人格をチェックすることではない。とはいえコーネリアスの特集号を2冊も作っているのだから、これらの記事に目を通し、これはいったい何だったのかを本人に問い、語らせるべきだった。下調べが徹底していなかったという批判はあって然るべきだ。 ぼくが小山田圭吾と初めて会話したのは、1999年のたしか夏も終わりの頃だったと思う。きっかけは『ファンタズマ』だ。エレクトロニック・ミュ

                                                                2021年7月26日 | ele-king
                                                              • Blur | ele-king

                                                                最近、英国のショービズ界の上流階級化が盛んにメディアで問題視されているが、その中で時折見かける表現が、「むかしはブラーとオアシスが、ミドルクラス VS ワーキングクラスのバトルを繰り広げたこともあったが、今考えるとブラーなんてのは全然ワーキングクラスだったように思える」というものである。ポップ界があまりにポッシュで線が細くなったため、今振り返ればブラーとオアシスは同じ階級のように思えるのだろう。 で、それとは全然関係ないのだけれども、本作を聞きながら、あと5年ぐらい経ったらブラーとレディオヘッドは全く同じようなアルバムを作っているんじゃないかと思った。レディオヘッドがだんだんメロウでジャミーなサウンドになり、エレクトロから離れて行く一方で、ブラーはだんだん籠った情報量の多いサウンドになり、ファンキーになっていく。過去四半世紀のUKミュージックの「考えるロックバンド」のツートップである彼らは

                                                                  Blur | ele-king
                                                                • R.I.P. Frankie Knuckles | ele-king

                                                                  ハウス・ミュージックのゴッドファーザー、フランキー・ナックルズが3月31日、かねてから煩っていた糖尿病の合併症ためにシカゴで亡くなった。言うまでもなく、今日僕たちがハウス・ミュージックと呼んでいる音楽を大衆化したのは、1955年1月18日にブロンクスで生まれ、1977年にシカゴの〈ウェアハウス〉というクラブのレジデントになったこのDJである。 僕たちがハウス・ミュージックによってどれだけの幸福を味わったのかということを、どれだけ救われたのかということを、いまさら思い返すまでもない。フランキー・ナックルズの功績はあまりにも大きく、その損失は計り知れないほど大きい。ベッドルーム・ミュージックを最初に大衆化したのはシカゴ・ハウスだった。ロックンロールだってハウスに救われた時代があった。 フランキー・ナックルズは、音楽のみならず、ゲイ・カルチャーにも素晴らしい影響を与えている。彼は、ハウス・ミュー

                                                                    R.I.P. Frankie Knuckles | ele-king
                                                                  • ジョン・コルトレーン、エリック・ドルフィーを迎えたセックステットの1961年8月のアーカイヴ音源 | ele-king

                                                                    1961年8月ニューヨークはヴィレッジ・ゲイト、ジョン・コルトレーン・セクステット(エリック・ドルフィー含)完全未発表ライヴ音源発掘。そんな令和一大ジャズ・ニュースに触れて「待ってました」と色めき立つ人が、はたしてどれくらいいるだろうか。狂喜する往年のジャズ・ファンを横目に、それがいったいどれほどの意味を持つことなのかよくわからぬまま、とりあえず様子を見るか、あるいはすぐに忘れてしまうか、ようするに大して関心を持たない人たちが大勢目に浮かぶ。そんな諸兄諸姉に対して説得力のある何事かを訴えるのはなかなか難しそうであるし、かといって往年のジャズ好事家諸賢にとり為になるような何事かを私なんぞが書けるはずもなく、さて。 ともあれいまさら基本的な情報は不要であろう。なにしろいまや岩波新書の目録にその名を連ねるほどの歴史的偉人である。その岩波新書赤版1303『コルトレーン ジャズの殉教者』の著者であり

                                                                      ジョン・コルトレーン、エリック・ドルフィーを迎えたセックステットの1961年8月のアーカイヴ音源 | ele-king
                                                                    • ele-king

                                                                      REVIEWS ENDON - Fall of Spring Aug 26,24 UP いまアヴァン・メタルがキている。3人編成となったエンドン初のアルバムを倉本諒が紹介する。 Gastr del Sol - We Have Dozens of Titles Aug 22,24 UP ガスター・デル・ソルの解散から25年後の未発表曲集。ジム・オルークとデイヴィッド・グラプスがあらたに息を吹き込んだ90年代の実験、100分を超えるこれは、素晴らしい音の旅だ。 DJ Ramon Sucesso - Sexta dos Crias Aug 20,24 UP ZULI - Lambda Aug 02,24 UP Zach Bryan - The Great American Bar Scene Jul 31,24 UP Loula Yorke - speak, thou vast and vene

                                                                        ele-king
                                                                      • 第10回:イケピンクとダサピンク、あるいは「ウチ」と「私」 | ele-king

                                                                        最近、小学一年生の長女のピンク離れが著しいのです。ハーモニカ、手袋、トレーナー、何を買うにも水色を所望する。保育園時代はあんなにもピンクまみれだったのに。彼女の女友だちの持ち物も、そういえば水色ばかりです。女児のランドセルの色も昔は赤一色でしたが、近頃は水色のランドセルもよく見かけます。 「自転車を買い換えるとしたら、ピンクと水色どっちがいい?」 「ぜったい水色!」 「ピンクと白なら?」 「白!」 「ピンクと茶色なら?」 「……ピンク。つーか茶色はありえないっしょ」 小1女子にとって、もはやピンクとは茶色よりマシ程度の扱いです。日本色彩研究所が2009年に小中学生を対象に実施した好きな色アンケートによれば、小2女子のじつに4割以上が「最も好む色」として「水色」を挙げているのに対し、ピンクは14%のみで7位どまり。さらに、小2女子の19%が「最も嫌いな色」としてピンクを挙げているのです。 〈

                                                                          第10回:イケピンクとダサピンク、あるいは「ウチ」と「私」 | ele-king
                                                                        • 第33回:パンと薔薇。と党首選 | ele-king

                                                                          それはある晴れた夏の日のことだった。 鬱気質であまり明るい人間ではない筈のうちの連合いが、爽やかな笑顔を浮かべてロンドンから帰って来た。癌の検査で病院に行って来た男が、また何が嬉しくてこんな陽気な顔で帰ってきたのだろうと訝っていると、彼は言った。 「ロンドンがいい感じだったよ」 「いい感じって?何処が?」 「いや全体的に」 と言って口元を緩ませている。 「なんか、昔のロンドンみたいだ。俺が育った頃の、昔のワーキングクラスのコミュニティーっつうか、そういう息吹があった」 相変わらずわかりづらい抽象的なことしか言わないので、具体的にどんな事象が発生したのでその「息吹」とやらを知覚したのかと問いただしてみると、こういうことだった。 自分が行くべき病院の場所を知らなかった連合いは、ヴィクトリア駅前のバスターミナルに立っていた。おぼろげにこっち方面のバスだろうなあ、と思いながらバス停のひとつに立って

                                                                            第33回:パンと薔薇。と党首選 | ele-king
                                                                          • R.I.P. 遠藤ミチロウ | ele-king

                                                                            最初に聴いたのは「スターリニズム」という7インチだった。報道では、「遠藤ミチロウはパンク・ロックのゴッドファーザーと呼ばれている」などと書かれているが、どうなんだろうか。 というのも、スターリンが登場したときはUKではパンクはすでに過去のもので、「スターリニズム」がリリースされた1981年においてはポストパンクすらも過渡期を迎えようとしていた。この年PiLは『フラワーズ・オブ・ロマンス』を発表し、ジョイ・ディヴィジョンの残党がニュー・オーダーを始動させている。ザ・スペシャルズが最後の力を振り絞って「ゴーストタウン」を出して、ザ・レインコーツがセカンドを、ニュー・エイジ・ステッパーズが最初のアルバムを発表している。パンクが終わり、アンチ・ロックンロール主義的なポストパンクが沸点に達しているときに、「スターリニズム」の1曲目に収録された“豚に真珠”のパンクのクリシェ(常套句)というべきサウンド

                                                                              R.I.P. 遠藤ミチロウ | ele-king
                                                                            • 第5回:ヨイトマケとジェイク・バグ | ele-king

                                                                              16年ぶりに日本で新年を迎えた。 で、大晦日は炬燵ばたで親父と飲みながら紅白歌合戦を見ていたのだが、これがなかなかエキゾチックで面白かった。自分の母国について、エキゾチック。というのも鼻持ちならん言い方だが、しかし、16年といえば、おぎゃあと生まれた女児が合法的に結婚できるようになる時間の長さだ。実際、わたしの感慨は、初めてテレビでユーロヴィジョン・ソング・コンテストを見たときにも似たものがあったのである。 やたらと幼い若者がぞろぞろ多人数で出て来た前半部分は、初音ミクなどというキャラが出て来る土壌をヴィジュアルに理解できる機会になったし、オタク、マンガ、コスプレが大好きな英国のティーンなんか(ミドルクラスの子女に多い)が大喜びしそうなジャパニーズ・カルチャーの祭典になっていた。 この世界が、現代の日本を象徴しているのだ。ならば、もはや見なかったふりをしてスルーすることはできない。向後、わ

                                                                                第5回:ヨイトマケとジェイク・バグ | ele-king
                                                                              • 第31回:音楽とポリティクス | ele-king

                                                                                「投票は想像力のない人間がすることだ。それは自分たちとは異なる世代のためのものであり、そんなものでは何も達成できない」 ザ・ホラーズのファリス・バッドワンは総選挙前にそう言った。 UKには、保守党政権を潰すチャンスがあればオルタナティヴ・ロックと呼ばれるジャンルのアーティストたちが立ち上がる伝統があった。が、ヤング・ファーザーズ、スリーフォード・モッズ、エンター・シカリ、ジ・エネミーなどの一部の例外を除き、5月の選挙ではいわゆるオルタナとかインディーとか呼ばれるジャンルのスターたちは口を閉ざしていた。日本には伝わってなかったかもしれないが、英国では「歴史に残る右派と左派の接戦になる」と大騒ぎになっていたのである。ここまで盛り上がったらさすがに『NME』も何かやるかな。と思ったが、業務平常どおりだった。どうやらもう、UKロックは政治には触れないものになった。ということで確定のようだ。 現代の

                                                                                  第31回:音楽とポリティクス | ele-king
                                                                                • 第17回:淫らなほどキャピタリスト。の時代 | ele-king

                                                                                  日本のフットボールクラブのサポーターが「Japanese Only」と書かれた横断幕をスタジアムに掲げて問題になったという。 日韓共同開催W杯のときに日本に行った英国人にその話をすると、「あのときも日本の飲食店には『Japanese Only』と書いた紙を貼っている店があった」という。あの「Japanese Only」も、当時UKではちょっとした話題になった。日本人の排外主義は甚だしいと憤った人もいた。が、実際には日本の飲食店には英語を喋れる店員が少なく、海外発行のクレジットカードやデビッドカードが使えないから、会計時に揉め事になるとややこしいと思った飲食店主たちが「Japanese Only」の札を掲げていた。という日本側の理由が説明されると、なんとなく辺境の国ふしぎ話になって終わった。 が、今回の「Japanese Only」はちょっと違う。そもそも、Jリーグなんてのは、発足当時を知る

                                                                                    第17回:淫らなほどキャピタリスト。の時代 | ele-king