作家・いとうせいこうが「国境なき医師団」の活動に同行し、世界のリアルな現場を訪ねて描いた傑作ルポルタージュ『「国境なき医師団」を見に行く』。いとうさん本人に、執筆に至るまでの経緯を聞いた。 なぜこの企画が? ――この『「国境なき医師団」を見に行く』について、いとうさんは「個人的な取材が本になりました」とツイッターに書かれていますね。 もともと僕は個人的に国境なき医師団(以下MSF)に寄付をしていたんだけど、それに興味を持った医師団から取材を受けて、そのときに自分から逆取材を持ちかけたところから、この本が始まったんです。 毎回原稿を書くと自分でMSF広報の谷口博子さんに送って不正確なところをチェックしてもらって、ウェブにあげるときも、コツコツ自分で見出しをつけて、改行して、写真のセレクトやキャプションづけもやっていた。ギャラが出るわけでもないし。 その意味で僕にとっては、音楽で言えばインディ