ブックマーク / dain.cocolog-nifty.com (87)

  • 最近の老人はキレやすい『高齢初犯』

    最初に結論を。高齢者の犯罪が増えている。おとなしい若者の代わりに、キレやすくなっているのは老人である。「年寄り笑うないつか行く道」は一般論で、"ある世代"は例外になる。 むろん、高齢化社会だから、老人犯罪が増えるのはあたりまえ。しかし、犯罪件数ではなく、人口比から見ても上昇が著しい。平成25年版犯罪白書[4.1高齢者犯罪の動向]によると、高齢者の検挙人員の人口比は、他の年齢層と比べて上昇が著しく、平成5年の約3倍となっている。つまり、罪を犯しやすい世代が、最近の老人なのだ。 6年前、[なぜ最近の老人はキレやすいのか?]というテーマで調べてまとめたのだが、しょせん素人仕事、きちんとした数字に裏打ちされた結果が得られなかった。だが、「キレる老人」は、私の個人的な印象ではなかった。「キレる老人」を統計化したのが平成25年版の犯罪白書であり、様々なインタビューでまとめたのが『高齢初犯』になる。

    最近の老人はキレやすい『高齢初犯』
    quassia88
    quassia88 2014/10/13
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  • 「お父さんとお母さん」でないと「正しい」子どもが育たないのか『オハナホロホロ』

    はじめホノボノ、なかドロドロ、ジワジワ泣けて、「正しい家族」とは何かを考えさせられる。早めに答えをいっておくと、その「正しさ」は自分で決めることなのだが、そこに気づく紆余曲折を人生と呼ぶのだろう。 ハワイ語で「オハナ」は家族、「ホロホロ」は散歩という意味だが、表紙とは裏腹に人間関係は複雑濃厚だ。うつくしい女のあられもない感情や、イケメン理想男子をカッコ悪く描くミスマッチが面白い。序盤ではピンとこなかった会話の伏線をすくい取りつつ核心を曝す展開は上手い。 一口にまとめると、LGBTが家族ごっこをするならばという話になる。いや待て、わたし自身が結婚した当初を思い返すと、あれは大人のままごとであり、夫レッテルをまとった家族ごっこに過ぎない。どの辺から「ごっこ」が現実臭を帯びたかというと、子どもができてから。齢だけった子どもだったわたしを「大人」にしたのは、我が子のおかげ。 同様に、LGBT

    「お父さんとお母さん」でないと「正しい」子どもが育たないのか『オハナホロホロ』
    quassia88
    quassia88 2014/10/11
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  • ホセ・ドノソ『別荘』はスゴ本

    気づいたら朝になってた、久しぶりの完徹小説。 眠れないまま読み始め、読み耽るうち眠れなくなり、朝を越えて昼も過ぎて読み続ける。物語に憑かれたアタマが使いものにならず、目眩と耳鳴りがすごい(休日で良かった)。キャラの特異性でなく、展開の妙だけでなく、物騙りそのもののダイナミズムに鷲掴まれる。捩れた意識が酔ったように感じられる(シラフなのに)。この経験は珍しい。わずかに似ているとしたら、マルケス『百年の孤独』、セルバンテス『ドン・キホーテ』。 もちろん、小説というフィクションを読んでいる自覚はあるのだが、収縮自在の時空間と、虚構を越境してくる侵感に、「そもそも私が読んでいるこれは現実なのだろうか」とまで疑いだす。劇薬小説『夜のみだらな鳥』が極彩色の悪夢なら、『別荘』はアップデートされる悪夢である。 この一冊かけて、ある別荘の「一日」が語られる。大人たちは日帰りのピクニックに出かけ、子どもたち

    ホセ・ドノソ『別荘』はスゴ本
    quassia88
    quassia88 2014/10/06
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  • やめられない止まらない絶品ミステリ『時限紙幣』

    極上のクライムノベル&今年のベストミステリ。 スピード、パワー、ヒリヒリ感、どれも一級の犯罪小説。ページめくる手が止まらないどころか、疾走するようにイッキに読む。非情で、優秀で、あくまで己に忠実な「私」は、今まで読んで/観てきた悪党小説の主人公を彷彿とさせる(一番近いイメージは、リチャード・スタークの悪党パーカー)。読めば読むほど、アドレナリン出まくる、ヤバい読書と相成った。 『時限紙幣』は、文字通り時限爆弾つきの120万ドルの札束だ。GPSが付いていて、誤った場所に動かしたり、電池が切れたり、時間切れになると、爆発する。これを48時間以内に奪還するのが「私」の仕事だ。「ゴーストマン」と呼ばれ、名前、特徴、指紋、過去、あらゆるアイデンティティを消し去ることで、誰にでもなれる。抑揚と描写を削ぎ落としたキレッキレの一人称は、彼の仕事ぶりをそのまま表している。ときに裏社会のディテールや、犯罪の薀

    やめられない止まらない絶品ミステリ『時限紙幣』
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    quassia88 2014/10/02
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  • 泣ける犬本、5選

    スゴオフ『と犬』に合わせて、泣ける犬のを選んだ。 は大好きなのだが、飼ったことがない。遠くから愛でて、たまに触らせてもらってハピーになれる距離にいる。いっぽう犬は、小さい頃の記憶の一部になるほど家族の一員だった。 なので、たぶん派で埋め尽くされるスゴオフに、せめて犬の一角をもうけよう。そして、ただ「犬の」といっても山ほどあるので、なかでも泣ける奴、しかも鉄板号泣級を選ぼう。 ウィーダ『フランダースの犬』は、泣ける犬の決定版。貧乏だが絵の才能のあるネロとパトラッシュの悲話。中学の担任が「ラストが分かってても泣ける」とお薦めされ、読了号泣。大人になって再読すると、「プライドがパトラッシュを殺した」話に見える。絵の対価を受け取ろうとしない気位の高さ、初応募でコンクール入選を信じる芸術家気質にイラつく。財布を拾って届けてやったのに、「空腹で吹雪で帰る家がなくなったから、一晩泊めて」

    泣ける犬本、5選
    quassia88
    quassia88 2014/09/27
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  • 科学は滅びぬ、何度でも蘇るさ『科学の解釈学』

    哲学による「科学主義」批判。科学の正当性を「信じて」いたわたしにとって、蒙を啓かれる名著なり。一方で、哲学の脆弱性も再確認する。「お前がそう思うんならそうなんだろう、お前ん中ではな」は、ここでも、見事に当てはまる。 書の目的は、科学を御神体として崇め奉る俗悪に、アンチテーゼを提出すること。科学を否定するのでも「反科学」を掲げるのでもない。「究極の真理」として聖化された科学知識を頂点とする知のヒエラルキーを解体することであり、そうした位階秩序を支えている「客観性の神話」を非神話化することだという。トマス・クーンを代表とするパラダイム論による攻撃の試みは、おおむね成功している。 そもそも「科学的客観性」なるものは存在せず、科学者が「観察」するものは、先入観によって歪められているという。「先入観」が言い過ぎなら、科学者たちを律する「何をいかに探求すべきか」という行動規範や価値信念になる。教育

    科学は滅びぬ、何度でも蘇るさ『科学の解釈学』
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    quassia88 2014/09/21
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  • 離人症の読書『遁走状態』

    あらゆる読書は毒書である。だがこれは、中毒性と離人感を加速させる、より危うい一冊になる。読んでいるうち、現実から滑り落ちる。小説世界だけでなく、"読んでいる私"も含めて乖離する違和感と、異様な恐怖を請合う。 登場人物が、異常な体験をする話なら山ほど読んできた。信用できない語り手にも沢山つきあってきた。しかし、語り手の異化がこちらに伝染して、"読んでいる私"の「いま」「ここ」が剥がれ落ちるのは珍しい。読中感の具体的な症状として、自分が自分という感じがしなくなる。見ているもの、聞いているものから意味が得られず、自分という存在がよそよそしくなる。 全部で19編あるどの短篇も、すばらしく厭な話ばかりだ。そこでは、登場人物は何かを失われる。それは光だったり言語だったり、記憶や人格そのものだったりする。そのどれもが、"一貫性のある私"を成り立たせなくさせるため、人が世界を感知して「意味あるものにする」

    離人症の読書『遁走状態』
    quassia88
    quassia88 2014/09/12
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  • 物理学の都市伝説『間違いだらけの物理学』

    物理学の都市伝説を斬る一冊。 太陽にゴミを捨てられる ハンマー投げ選手に対し遠心力が働いている 電流のエネルギーは電線の中を流れる 川の蛇行は曲がる内側の流れが遅いから これら全て誤りだという。その理由と、物理学的な根拠を分かりやすく解説してくれる。しかも、それだけでなく、これらの俗説がなぜ信じられてしまったかにまで踏み込んでいるのがユニークである。トンデモ物理かと思いきや、たいへん勉強になった。わたし自身、いかにアナロジーで理解したフリをしていたか思い知った。 たとえば、「太陽にゴミを捨てられる」について。放射性廃棄物をロケットに乗せて、太陽に向けて打ち上げて、大気圏を突破すれば、あとは太陽の引力により「太陽に落ちる」ことができるかというと―――ミッション・インポシブルだという。課題は3つ。安全性の問題、経済的にペイしないこと、そして物理学的に困難だというのだ。 シンプルに言うと、地球

    物理学の都市伝説『間違いだらけの物理学』
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    quassia88 2014/09/10
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  • 良い本で、良い人生を『読書案内』

    人生は短く、読むは多い。だから、これを読め。 なぜなら、この薄い一冊に、あなたの人生にとってのスゴ(凄い)が必ずあるから。読書と文章の達人サマセット・モームが、人生を豊かにする作品を厳選し、鋭い寸評とともに「読みたい!」気分にさせてくれるから。 ただ単に、名著や傑作と呼ばれる作品を挙げるだけならGoogleればいい。だがモームは、「読んで楽しい」という第一条件でピックアップする。なによりも、読書は楽しくあらねばならぬという原理主義だ。文学はどこまでも芸術であり、芸術は楽しみのために存在するものだと言い切る。 だから、紹介文そのものが魅力的だ。わたしのレビュー[大学教師が新入生に薦める100冊]と比べてみてほしい、モームは『カラマーゾフの兄弟』をこうお薦めする。 身の毛のよだつほどおそろしい場面があるかと思えば、美しいが上に美しい場面もある。わたしは、人間の高貴な姿と邪悪な姿が同時にこ

    良い本で、良い人生を『読書案内』
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    quassia88 2014/09/08
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  • 入門にして傑作選『大江健三郎自選短篇』

    つくづく恵まれている。 ノーベル賞作家が、自作ぜんぶを読み直し、選びなおし、加筆修訂した定のベスト版、これが1500円で釣銭くるなんて。どれだけ日って有り難いのだろう。中毒性の高い大江節を読みながら、嬉しさにまみれる。 同時に、通して読むことで、時代性と普遍性のトレードオフが浮かび上がる。デビュー作『奇妙な仕事』や初期の『死者の奢り』『飼育』『セヴンティーン』を横断する、戦後日の閉塞感やグロテスクな性のイメージが見える。面白いことに、この閉塞感やドロヘドロ感、もはや戦後ですらない現代にあてはめても伝わってくる。 たとえば、初期作品に共通して出てくる「粘液質の膜」や「無関心の甲冑」という概念。何かに熱中したり、怒りを持続させることもなく、あいまいで、疲れやすい「僕」を包んでいるものとされる。生の現実に触れられないもどかしさと諦めを正当化するための「膜」だ。作品によって、外部から隔絶され

    入門にして傑作選『大江健三郎自選短篇』
    quassia88
    quassia88 2014/09/04
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  • Pen【完全保存版】「犬と猫。」が良い

    犬派にも派にもお薦め、売り切れる前にどうぞ。 もっとも身近な動物、というよりパートナーというべき「犬と」の特集。とりどりの写真に癒され、動物学の視点で復習し、歴史や美術の中での位置づけに唸らされ、そして犬のオススメに、積読山がまた高くなる。 犬とについて語ったインタビューが愉しい。写真家の岩合光昭が、世界で出会った犬との魅力を紹介する。例えば、イタリアでは野良のことを、「自由」と呼ぶそうな。イタリア男と同じで、イタリアのは撮られることを意識していており、決めポーズがあるという。 ハードボイルドの印象が強い馳星周が犬好きというのは、誌で知った。ヴィーダ『フランダースの犬』を評し、「努力すれば夢は叶うというおたごめかしから遠く離れ、現実をリアルに描いていることに感銘を受ける」と語る。そして、単にリアルの厳しさだけでなく、ネロとパトラシェを描くことで、「愛は必要だとさりげ

    Pen【完全保存版】「犬と猫。」が良い
    quassia88
    quassia88 2014/09/03
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  • 科学が神話を生み出すとき『<科学ブーム>の構造』

    数字は嘘をつかない、嘘つきが数字を使う。この"数字"を、"科学"にしても成り立つ。書は、その仕組みを明らかにする。 むかしパトロン、いま予算。科学にはカネがかかる。研究費の必要性に説得力を持たせるため、しばしばレトリックが用いられ、時には大言壮語になる。そして、科学がカネになる下地と下心があるとき、科学はある種の神話を生み出す。人は見たいものを見て、信じたいものを信じる。その行動を正当化するための物語こそが、科学っぽい語り口をした神話なのだ。 そして、ひとたびイノベーションと認められ、政策化されると、神話はブームになる。科学的な検証はなされないまま、今度は信心が神話に説得力を持たせ、ブームは維持されてゆく。書では、科学が神話を生み出し、神話がブームに変化する構造を解き明かす。 その事例として1950-60年代の殺虫剤DDTと、1990-ゼロ年代のナノテクノロジーを題材に、メディア、行政

    科学が神話を生み出すとき『<科学ブーム>の構造』
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    quassia88 2014/08/28
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  • 涙もろい犬好きのためのミステリ『ウォッチャーズ』

    わんこ愛に満ちたSFミステリなのだが、クーンツが描くとドラマティックになる。ン十年と積読してたのを、次回のオフ会のテーマ「と犬」に合わせて読み干す。 孤独な男が森で出会ったラブラドール・レトリヴァーは、ひとなつっこい一方で「犬」らしくない知性を持っていた―――これが入り口。ふつうの犬より表情が豊かで、知的で、もののわかった感じがする。注意の持続時間が犬らしくなく、相手を長くじっと見つめ返してくる。『遊星からの物体X』で"乗っ取られた犬"を知っている人にはホラーな一瞬だが、大丈夫。もっと"ありうる未来"の犬だから。 この犬を軸に、トラウマを持つ男と女の快復と愛の物語と、生物兵器をめぐる陰謀と殺戮の報復譚と、邪悪で醜悪な知性との対決が絡み合う。さすがページ・ターナーの魔術師、読書の快楽のツボを押さえ込んでいる。謎が謎を呼ぶ伏線、逃亡と追跡のカットバック構成、得体の知れない「なにか」が迫ってく

    涙もろい犬好きのためのミステリ『ウォッチャーズ』
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    quassia88 2014/08/25
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  • セックスと殺人と生きる意味『野蛮な進化心理学』

    ぎょっとするタイトルだが、進化生物学と認知科学の最新の知見から、至極まっとうな「人とは何か」が書いてある。 同テーマを大上段に正面から斬り込んだ[人類を定義する一冊『人類はどこから来てどこへ行くのか』]とは対照的に、卑近で下世話なエピソード満載の「あるある集」として爆笑しながら読む。進化心理学が野蛮だというよりも、一見、野蛮だと思われるふるまいも、実は深いところで合理性を持ち、人類の複雑な活動をうまく説明することができるよ、というメッセージが伝わってくる。 たとえば、わたしが初めて上京したときの第一感「都会は美人ばかり」を、著者自身の体験と実験でもって解説する。母数が多いから絶対数も多いのはあたりまえなのだが、頭で分かっても「美人率も高い」と感じてしまうのは男の性(さが)。群衆を眺めるとき、どうしても魅力的な女に注目してしまう男の業("ごう"と書いてバイアスと読む)だというのだ。 あるいは

    セックスと殺人と生きる意味『野蛮な進化心理学』
    quassia88
    quassia88 2014/08/21
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  • 人生の一冊『生きがいについて』批判

    第2次世界大戦中、生還した戦闘機の研究において、意見の対立が生じた。被弾した箇所を補強すべしと主張する軍部と、そこを補強しても効果ないとする統計学者の対立である。 もちろんこれは、典型的な選択バイアスの話だ。得られたデータは帰還できた(=被弾しても生還した)戦闘機に基づくものだから、被弾箇所は致命的な部位ではなかった。従って、ケアするべきは被弾しなかった場所から逆推理することになる。これは、「苦情窓口に寄せられた要望」や「からのサバイブ」、そして「逆境を克服した生きがい」も同様である。諦念や絶望により、伝わらなかった事例は、予め除かれている。 神谷美恵子の『生きがいについて』は、生きるはりあい、生きる意味、人生のやりがいというキーワードとともに、古今東西の哲学者や聖者、賢人の言葉をひもとき、著者自身が勤務するハンセン病療養所の例と照らしながら、「生きがいとは何か」について考察する。 人は

    人生の一冊『生きがいについて』批判
    quassia88
    quassia88 2014/08/19
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  • 音楽を遊ぶlittleBitsとGO-DJ、音楽を語るスゴ本オフ

    音を遊ぶと音楽になる。 電子ブロックの音楽版ともいうべきlittleBitsで遊んだ。レゴのようなブロック型のパーツを組み合わせ、ツマミやキーを調節する。すると、音が連なりテンポが加わり、音楽に成長する。音の発信源となるオシレーターや信号を入力するキーボード、音を加工するフィルターやディレイなどのモジュールが用意されており、つなぐ順番は自由自在。 秀逸なのは、パーツの結合部が磁石になっており、誤ったつなげ方をしようとすると、反発する仕掛けになっているところ。このデザインは素晴らしい。さらに、つなげる順番のアフォーダンスが優れている。最初は電源、その右側からオシレーターをつなげ、さらにその右にフィルターといったように、発生した音が右へ右へつながるにつれて加工されている過程が「見える」ところ。 次は、Monster GO-DJを遊ぶ。バッテリーで動くポケットサイズのDJシステムだそうな。液晶で

    音楽を遊ぶlittleBitsとGO-DJ、音楽を語るスゴ本オフ
    quassia88
    quassia88 2014/08/11
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  • 劇薬小説『左巻キ式ラストリゾート』

    読む暴力。セックス&バイオレンス描写の破壊力のみならず、そのコンテンツを嗜む人を狙い撃つ悪意という名の善意が残酷すぎる。歴戦のエロゲーマーにトドメを刺すのが、これだ。 記憶喪失の主人公が目覚めたのは、12人の少女が生活する学校。お約束のハーレム世界、閉鎖空間、そいつをぶち壊すサイコパス。女を蕩かす催淫剤、連続陵辱スプラッタ、純愛、そしておもらし。文字通り読み手(=プレイヤー)を引き込み、問いを突きつけ、自分がやっている行為を無理やり見せ付けてくれる。読み手を、物語の消費者とさせてくれない危険な小説(注意:読者は安全圏でない)。 物語の役割は、現実のシミュレートだ。どんなに珍奇でありえない世界であろうとも、そこで展開される対話や行動は、読み手とつながっている。人が一切登場せず、たとえ非生物であったとしても、物語を受け取る人は、そこに自分を見ようとする。好悪や否定も含め、現実と比較しようとする

    劇薬小説『左巻キ式ラストリゾート』
    quassia88
    quassia88 2014/08/07
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  • 『レトリックと人生』はスゴ本

    今年一番どころか、人生ベスト10に入る一冊。 「人は、どのように世界を理解しているのか」について、納得のゆく結論が得られる。"理解"を理解することができ、メタ的な知見が手に入る。知覚とは、経験のフィードバックループで構築されたパターンを通じて世界を追認識する行為だと考えていた。だが、まさか"理解"そのものも同じ仕様であるとは思わなかった。ヴィトゲンシュタインからピンカーまで、これまで読んできた名著のみならず、わたし自身の体験と照応し、腑に落ちる。書を読むことそのものが、驚きと興奮に満ちた知的冒険となった。 その仕様こそが、レトリック(原題ではメタファー/隠喩)だ。人は、メタファーを通じて世界を理解している、というのが書の主旨になる。メタファーは、単なる言葉の綾ではなく、認知や思考が基づいている概念体系の質を成している、"理解"の器官なのだ。 たとえば、「時間」という概念。24時間とか

    『レトリックと人生』はスゴ本
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    quassia88 2014/08/06
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  • ホラー映画から学ぶ『恐怖の作法』

    当に怖いものとは何か?ホラー映画技術を通じて知る、恐怖の質。後半は、観客や読者を怖がらせるための、恐怖のデザイン・パターン論。 ホラー映画という確立されたジャンルにおいて、当に怖いものは稀だ。ゾンビや殺人鬼が出てきても、恐怖(fear)というより驚愕(surprise)の印象が強い。わたし自身、そういうオバケ屋敷的なエグさや嫌悪感は大好物。 しかし、著者によると、それは「当に怖いもの=ファンデメンタルな恐怖」ではないという。著者はJホラーの小中千昭。脚や演出における手の内を惜しみなく晒しながら、「当の怖さ」とは何かを伝える。恐怖は確かに伝染するが、その伝染の作法は、「驚愕」とは限らないのだ。 当に怖いとき、人はどうなるか?映画『リング』の観客が顕著だったという。著者は、映画のスクリーンではなく、「映画を見る人たち」をこっそり観察したのだ。 観客の姿勢は、徐々に腰を前方にずり

    ホラー映画から学ぶ『恐怖の作法』
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    quassia88 2014/08/04
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  • 読んで読んで読まれて読んで読んで読みつぶれて眠るまで読んで『狂喜の読み屋』

    積読必至のブックガイド。 筒井、円城、町田康、ピンチョン、ソンタグ、サリンジャー、片っ端から徹底的に、ひたすらに誠実に面白いを紹介しつづける。読みの微熱がじんわり伝わってきて嬉しい。 実は、わたしもお世話になっている。どちらも最大限の賛辞「文学の持つ恐ろしいまでの力を再認させてくれた」で紹介されたため、読んで呑まれた傑作なり。文学は「可能性」などというあやふやなオブラートではなく、読者を緊張させる圧力であり、皮を裂いて進入してくる刃物であることが、よく分かる(二つ目は劇薬なので扱い注意)。 現実をスウィングしろ『宇宙飛行士 オモン・ラー』 ホロコースト劇薬小説『ペインテッド・バード』(成年向け姉妹サイト) 「読み屋」とは、忙しい編集者に代わって、新刊の洋書を読みレポートにする仕事。売れそうであれば権利をとってプロの翻訳家に任せることになる。一冊一万から二万で、一冊に一ヶ月はザラだったと

    読んで読んで読まれて読んで読んで読みつぶれて眠るまで読んで『狂喜の読み屋』
    quassia88
    quassia88 2014/07/31
    積読必至のブックガイド。 筒井、円城、町田康、ピンチョン、ソンタグ、サリンジ... via わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる http://ift.tt/PJFykN