「政教分離」ほんとうの意味 韓国現代史とキリスト教の関係から考察する 徐正敏 明治学院大学教授(宗教史)、キリスト教研究所所長 「李承晩大統領の政権継続は、神様の摂理である」 「朴正煕大統領の偉業は、私たち民族に向けられた神様の恵みである」 「全斗煥大統領は、神様が韓国を愛し遣わした偉大な指導者である」 これらは韓国キリスト教の主流派、多数派の人々の常々の政治的立場をあらわすことばである。 戦後初代の韓国大統領李承晩(イ・スンマン)。彼は個人的にクリスチャンであったが、彼の政府もまた「親キリスト教政権」であった。 いくつかの政策と人材登用においてキリスト教のグループが優先され、優遇された。ゆえにこの時期は「キリスト教準国教時代」と呼ばれる。 李承晩政権末期には、独裁にともなう腐敗が蔓延し、不正選挙による政権延長が画策された。1960年3月15日の選挙には、クリスチャン李承晩とクリスチャン李