私自身は南京事件を問題にする際に、特に12月13日という日付にこだわるつもりはありません。「12月13日」というのが南京城内にいた人々の認識を反映したものであって、虐殺全体の広がりを認識するうえでは妨げにもなりかねないからです。ただ、メディア的には特定の日付と結びつけた方がとりあげやすいのは確かでしょう。 で、先ほどグーグルのニュース検索で「南京事件」「南京大虐殺」を検索してみた結果がこれです。 自らの問題としてこの日を考えるメディアは日本には殆どない、ということですね。
![戦後70年目の12月13日はあらたな“国恥”記念日 - Apeman’s diary](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/5a61f15a2c19e6a299d35dea7cf3c09e4bcb73e1/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fcdn-ak.f.st-hatena.com%2Fimages%2Ffotolife%2FA%2FApeman%2F20151213%2F20151213225643.jpg)
JBPress 2015.9.14 「米国が裏で糸を引いていた南京大虐殺という捏造」 内容的にはこれっぽっちも新味のない否定論の断片をアドホックにかき集めただけのクソ駄文ですが、問題はその書き手です。第7師団長を経て最終的に西部方面総監にまでなっています。田母神閣下を筆頭とする歴史修正主義者の(元)自衛隊制服組幹部というのが決して例外的な事例ではなく、自衛隊という組織には昇進レースにおいて歴史修正主義者を排除する意思か能力のいずれか/双方が欠けていることは明白でしょう。日本の近現代史に関する歴史修正主義者というのは、必然的にレイシストであり、また wishful thinking を平気でやらかす輩ですが、これらはいずれも軍隊という組織を一層危険な存在にする資質です。 それにしても、このクソ駄文、歴史修正主義的である以前に“金もらって文章書く”資格を疑わせる代物です。 歴史は、虹を見るよう
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20151016/1444988517 産経新聞の勇ましい()「歴史戦」記事でも、申請の審査を担当するのがユネスコの国際諮問委員会(IAC)であることは明らかにされているわけです。ところがこのブログ主はなにを勘違いしたのか、「アジア太平洋地域ユネスコ記憶遺産委員会(MOWCAP)」のメンバー構成にケチをつけてます。しかもソースが佐藤正久! これが「当ブログとして本件の事実関係を徹底的に検証」した結果なんだそうです! 審査を行うのが IAC であることは極右アジビラたる『産経新聞』にすら書いてあるのに! で、すでにブクマでも指摘した通り、IAC のメンバーに中国人、韓国人はただの一人も含まれていません。 まあこのブログ主は、かつて「ここで「百人斬り競争」の真贋論争をするつもりはさらさらない」と言っておきながら、戦犯として処刑され
笠原十九司、『海軍の日中戦争 アジア太平洋戦争への自滅のシナリオ』、平凡社、2015年6月 目次などの情報はこちらをご覧ください。 1997年に刊行された『日中全面戦争と海軍―パナイ号事件の真相』の続編ともいうべき笠原十九司さんの新著。本書でもパナイ号事件は第4章で扱われている。 1997年と現在とを比較すれば「海軍善玉史観」を取り巻く環境は多少は変わってきていると思われるが(『海軍反省会』が世に出たのがその変化の一例)、旧日本軍の蛮行が話題になる際にその主体は陸軍であることが多いのは相変わらずのように思われる。もちろん、陸軍の方が組織の規模が大きかったこともあるだろうが。 というわけで、本書のうち私にとって最も興味深かったのは海南島における海軍の「治安掃討戦」が紹介されている第5章だった。ミニ三光作戦と呼ぶことのできそうな作戦が、華北での燼滅作戦開始とそう変わらない時期に行われていたのだ
よりにもよってシベリア抑留という被害体験に関わる資料を登録申請し認められたまさにその時に、南京大虐殺関連の資料の記憶遺産登録で政府が公式にクレームつける(与党のウヨ議員が噴きあがるならともかく)という厚かましさには、さすがに呆れ果てますね。外務省は登録された文書について具体的に反論する準備があるんでしょうか? さて、つい先日こんなツイートをしたのですが。 そしたら早速コレですよ! 『「南京事件」の探求 その実像をもとめて』をまともなリテラシーの持ち主が読めば、そこに書いてあるのが「否定論産業に参入してウヨ論壇デビューしてみようと思ったけど、さすがに研究者としての良心があるんでこれが限界っす」という呻吟でしかないことは明白なのに。まあ、著者はその後完全に研究者としての良心を捨て去りましたけどね。『正論』10月号の「日中戦争は中国が仕掛けた侵略戦争だ」という噴飯物の特集に「日本が「侵略」を認め
産経ニュース 2015.9.7 菅官房長官、「言葉遊びに受け取れる」と不快感 国連事務総長「国連は中立ではない」発言受け 国連の説明は「言葉遊び」でもなんでもなく、客観的に見れば日本政府が火遊びをしているだけです。枢軸国と連合国の間で「中立」を保て、と要求しているわけですから。与党議員ならともかく、内閣の一員がこれほどまでにサンフランシスコ講和条約の枠組みをぶち壊しかねないような発言をしたことって、ありましたっけ?
リンク先の記事を要約すると、以下のようになります。 ・横浜市中区の根岸外国人墓地入口に掲げられていた英文の案内板にあった「第2次大戦後に外国軍人軍属と日本人女性との間に生まれた数多くの子どもたちが埋葬されている」という記述が削除されていた。 ・代わりに「第2次大戦後に埋葬された嬰児(えいじ)(幼児)など、埋葬者名が不明なものも多い」という記述になっている。 ・市の担当課の説明は「外国軍人軍属と日本人女性との間に生まれた子どもたちが埋葬されたとの記録はない」、「案内板の当初の記述では、ここに埋められた子どもがすべてハーフの非嫡出子だとの印象を与えかねないという判断もあり得る」などといったもの。 冒頭で引用させていただいたツイートでは「歴史修正主義のお手本」とされていますが、各地での朝鮮人強制連行に関する追悼碑等への圧力などと考えあわせると、行政の歴史修正主義への屈服の見本、と言うこともできる
皆さんすでにご承知おきの件ですが。 日本政府は5日の委員会発言で、韓国側がこだわった「強制労働」に関し「forced to work(働かされた)」との表現を使用。岸田氏はこの表現について「『強制労働』を意味するものでない」と説明した。さらに、財産請求権の問題は完全に解決済みとする従来の日本政府の立場に変わりがないことを強調した。 http://www.sankei.com/politics/news/150706/plt1507060007-n1.html 安倍内閣は近現代史だけでなく日本語まで“修正”するつもりのようです。 「性奴隷」という用語の否認についても言えることですが、結局のところ同じような事態を表現することになるにしてもとにかく直裁な表現を否認し、婉曲な表現を全面に出そうとするのも、歴史修正主義の手法の一つだということですね。 追記。 「金をもらったんだから性奴隷じゃない」論
すでに指摘されておられる方もおられましたが、当ブログのレゾン・デートルを考えればやはりひとこと言っておかねば。 時事ドットコム 2015/07/01 「後方支援時の拘束「捕虜に当たらず」=岸田外相」 岸田文雄外相は1日の衆院平和安全法制特別委員会で、海外で外国軍を後方支援する自衛隊員が拘束されたケースについて、「後方支援は武力行使に当たらない範囲で行われる。自衛隊員は紛争当事国の戦闘員ではないので、ジュネーブ条約上の『捕虜』となることはない」と述べ、抑留国に対し捕虜の人道的待遇を義務付けた同条約は適用されないとの見解を示した。 (後略) 南京事件否定論者の理屈によれば、安倍内閣が目論む安保法制に基づいて海外派遣された自衛隊員が捕虜になった……もとい、拘束された場合、裁判なしでぶち殺されても文句は言えないということになります。野党は東中野修道先生を参考人招致すべし!
先日、「きれいなヘイト」認定されておかんむりだった木村幹・神戸大学教授。 https://twitter.com/dogu_fm/status/603267761322610688 https://twitter.com/kankimura/status/603560832836833280 https://twitter.com/kankimura/status/603563636066361344 「どこがどうヘイトだというのか、具体的に指摘しろ」という要求そのものは至極まっとうではあるものの、その後「全く名字帯刀も許されていない庶民の考える事はわからん」ツイートで馬脚を現しちゃいました。関連ツイートのうち特にひどいのがこれ。 https://twitter.com/kankimura/status/608847621961097217 これ、もし相手が実際に在日コリアンだったり韓国系
新庄道彦氏の『朝鮮王公族』(中公新書、2015年3月)を読了。植民地支配が生んだ存在が朝鮮王公族だが、私も含めて大方の日本人はせいぜい梨本宮方子の婚姻を思い浮かべるくらいの知識しかないのではなかろうか。 本書は大韓帝国サイド(あるいは王公族の)対日妥協的な選択の背景には「社稷重しと為す」という発想があったと指摘する(25ページ、44ページなど)。これを読んで私が連想したのは、ポツダム宣言受諾〜占領期における日本の支配層もまた、事実上のアメリカの支配の下で「社稷」だけは守ろうとしたと解釈できるのではないか、ということ。朝鮮王公族と敗戦後の皇室とを比較することは、植民地支配を「恩恵」としながらアメリカの占領期改革を「押し付け」とする日本の右派のダブスタをより一層明確にする手段たり得るのではないだろうか。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/43768 http://www.sankei.com/world/news/150516/wor1505160003-n1.html https://jinf.jp/weekly/archives/15889 https://twitter.com/ikedanob/status/600944284997672960 http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20150522/dms1505221140010-n1.htm http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20150523/dms1505231530004-n1.htm こうしてみると、いかに彼らが「性奴隷」という単語と「20万」という数字に脊髄反射してきた
ちょっと前の記事ですが、「反日を謳う中国共産党政権が日本の天皇に矛先を向けない理由」なんてのを見つけました。 そんな「理由」なんてわざわざ探すよりも「反日」という前提を疑えば済む話でしょ(笑) 「あれだけ反日を謳う中国共産党政権が、絶対に矛先を向けない唯一の存在が、天皇である」なんて大嘘書いているけど、共産党政権は日本の「人民」にも矛先を向けてないよね。まあ日本政府を批判すれば間接的に有権者を批判したことになるとは言えるけど、例えば「安倍政権を信任した有権者はけしからん」などと共産党政権がコメントした、なんて話は聞いたことがない。政府と市民を区別する、という当たり前の原則を中国共産党は守っていて、日本の右派メディアは守ってない、ってこと。
http://d.hatena.ne.jp/scopedog/20150508/1431108978 http://d.hatena.ne.jp/davs/20150509/1431174026 ↑こちらで言及されている問題です。 日本政府の「歴史戦」ごっこでマグロウ・ヒル社の歴史教科書にクレームをつけてアメリカの歴史学者19人による抗議声明を引き出したことは記憶に新しいわけですから、日本研究者たち(アメリカ人が中心ですが国籍はさまざま)187人が「日本の歴史家を支持する声明」(強調引用者)を出した意図は誤解の余地なく明らかです。しかしそれをこともあろうに日本政府へのエールだと曲解しようとする企てが。事態の深刻さは、極右連中がそんな曲芸に挑んでいるだけでなく、昨夏の朝日バッシングから距離を置いていたメディアの一つである『東洋経済』のオンライン版で、しかも元アジア女性基金関係者(浅野豊美氏)
話題になっている産経新聞公式アカウントのツイートについてです。 アメリカの議員であれば日本の戦争犯罪を見逃すのが当然である、という日本の右派の本音が透けて見えますね。アメリカにも日本の戦争犯罪の被害者が多数いることなんてすっかり忘れているんでしょう。 産経ニュース 2015.4.22 安倍首相が「バターン死の行進」元米兵捕虜を夕食会に招待 今月下旬に訪米する安倍晋三首相が29日にワシントン市内で開催する夕食会に、第2次大戦中、フィリピンで起きた「バターン死の行進」の生存者で元米兵捕虜のレスター・テニー氏(94)を招いていることが21日、分かった。テニー氏が共同通信に明らかにした。日本軍にひどい扱いを受けた元捕虜へ償いの意向を示すためとみられる。 産経は安倍首相についても「この人も、どこの国の政治家なんでしょうか?」とつぶやいたらどうでしょうか。
毎日新聞 2015年03月03日 「Listening:<社説を読み解く>戦後70年首相談話 日本の「外交資産」を引き継ぐ」 記事の見出しには「日本の『外交資産』を引き継ぐ」とありますが、「資産」というメタファーを用いるならそれを食いつぶしまくっているのが安倍政権(第一次、第二次とも)なわけです。その危険な火遊びに「有識者」を送り込んでいる『毎日新聞』がこんなことを書いています。 70年談話にどんな内容が盛り込まれるかは、すでに国内外で高い関心を集めている。その理由の一つは、安倍首相が戦後50年の1995年に出された村山富市首相談話に批判的な考えの持ち主であることによる。もう一つは、中国が戦後史の節目を利用して歴史認識の対日包囲網をめぐらそうとしているためだ。 気分はもう「ABCD包囲網」ですね。しかしその「包囲網」って、日本の�“協力”がなければ成立しないんですけど? 歴史修正主義者を閣
この夏に予定されている「戦後70年談話」を検討する諮問機関の“有識者”メンバーが公表されたわけですが、中日新聞はその顔ぶれについて「首相に考えが近いメンバーも多い」とする一方、毎日新聞は「首相ブレーン以外も起用してバランスを取った形」としています。ところがリストを見るとちゃっかり山田孝男・毎日新聞特別編集員が入ってるんですね。どちらの評が的確か、まあ言うまでもないでしょう。 座長代理として事実上懇談会を仕切ると思われる北岡伸一氏については、昨年末の朝日新聞第三者委員会報告書における個別意見の酷さが(私の周囲では)話題になりました。 吉田証言が怪しいということは、よく読めば分かることである。従軍慰安婦と挺身隊との混同も、両者が概念として違うことは千田氏の著書においてすら明らかだし、 支度金等の額も全然違うから、ありえない間違いである。こうした初歩的な誤りを犯し、しかもそれを長く訂
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