Nature 471, 419 (2011年3月24日号) | doi:10.1038/471419a 予測できない放射線リスク 科学者たちは、福島県で発生した低線量被曝の長期的影響を予測しようと努めている。 Gwyneth Dickey Zakaib 福島第一原子力発電所からの放射能漏れが人体に及ぼす影響につき、確かなことが1つだけある。その誘因となった3月11日の巨大地震や大津波がもたらした壊滅的な被害に比べれば、小さなことだということである。それでも、専門家たちは全世界の放射線レベルを追跡して、この事故についてもっとよく理解し、健康に及ぼしうる影響を評価しようとしている。 原子力発電所から放出された放射性物質を含む蒸気や粒子は周囲に広まり、さらに卓越風※1に乗って太平洋をわたっていった(図参照)。福島県から放出された放射性同位元素を米国でいち早く検出した観測所の1つであるパシフィック