マー・ハイヤンと同僚8人は1年前、中国の電気自動車(EV)メーカー、GACアイオン(埃安)初の海外事業を立ち上げるため、タイにやって来た。事務所も工場もなく、現地従業員もおらず、基本的に何の足がかりもなかった。 アイオンのチームはバンコクのホテルに事務所を開設し、複数の会議室を借り切って、ロビーでミーティングを開いた。オフィススペース探し、ディーラー募集、事業戦略の策定など、やるべきことは山とあった。チームは24時間体制で働き、タイに到着してから74日後には最初のEVを販売した。 「中国の新エネルギー車が外国に進出するチャンスは、比較的短期間となるだろう。だからこそ、私たちは急ぎたかった」と、アイオンで東南アジア担当のゼネラルマネージャーを務めるマーは話した。新エネルギー車とは、中国で完全電動のフルEVやガソリンと電気のハイブリッド車を指すときに好んで使われる表現だ。 中国勢に塗り替えられ