私は「iPod」を手放せない。片道1時間半の通勤中はもちろん,自宅ではスピーカにつないでステレオ代わりに,長距離のドライブでは大容量のCDチェンジャーとして,一日何時間も私の傍らにある。これほど入れ込む理由は何か,私なりに常々考えてきた。iPodの新製品が登場したのを機に,その一端をしたためたいと思う(関連記事)。ごらんの通り,これから書く文章では,iPodをひいき目に見ている恐れが多分にある。その分,差し引いて読んでいただいた方がいいだろう。最初に種を明かせば,こうした思い入れを喚起するところにこそ,iPod人気の秘密があると考える。 iPodを購入したキッカケは,日経エレクトロニクスでiPodの開発物語の連載を始めたことだった(関連記事)。シリコンバレー支局のP記者がねばり強く交渉を続けた結果,ようやくApple社のOKが出た。記事の査読を担当することになった私は,試しに一台購入するこ