尖閣諸島を巡る日本と中国の衝突では米国の態度が大きなカギとなることは、このコラムで何回も書いてきた。米国のいまの態度は「尖閣には日米安保条約は適用されるが、主権については中立」という趣旨である。 ところが米国の歴代政権は実際には尖閣諸島の主権が日本側にあることを少なくとも非公式に認めてきた。その経緯もまた、このコラムで伝えてきた。アイゼンハワー、ケネディ、ジョンソンという3人の大統領いずれもが日本の尖閣への少なくとも「残存主権」を明確に認定してきたのだ。 「残存」とは「潜在的」とか「当面は停止状態だが、やがては必ず発効する」という意味である。要するに尖閣諸島の主権、領有権は日本以外の国には帰属しないという認識だった。 当初は「中立」ではなかったニクソン政権 ところが、この認識は1969年1月に登場したニクソン政権の時代に変わっていった。1971年10月に米国議会上院が開いた沖縄返還協定の批