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ブックマーク / magazine-k.jp (7)

  • 献本の倫理

    元『ユリイカ』編集長の郡淳一郎氏が、4月22日、自身のTwitterにて「「御恵贈(投)頂き(賜り)ました」ツイートの胸糞わるさ」から始まる「はしたない」御礼ツイートを批判したことで、献という出版界の慣習に多くの関心が集まった。 郡氏によれば、この種の御礼ツイートには「わたしには、「皆の衆、俺(私)はコネがあるんだぞ、大事にされているんだぞ、偉いんだぞ」というメッセージ」しかない。つづけて、「商業出版されたは商品なのだから、それをタダでもらったと吹聴するのは、はしたないことだと、なぜわからないのか。黙ってを読むことが中抜きされていると感じる」と憤りを露わにする。 はじめに断っておけば、私は郡氏の献観、また書物観や編集観にまるで共感しない。詳しくが後述するが、私が著者として他者に献するさい、その人にもっとも期待しているのはのPRであり、賞讃でも批判でも話題になること、注目が集まる

    献本の倫理
    regulus83
    regulus83 2019/04/26
  • 出版業界は沈みゆく泥舟なのか

    まるで沈みゆく泥舟のようではないか、と思う。日の出版業界のことだ。 このコラムは毎月、基的に月初に公開することにしている。毎月更新される小田光雄氏の「出版状況クロニクル」や、ジュンク堂書店の福嶋聡氏の「屋とコンピュータ」といったコラムを意識しつつ書いているのだが、これまではできるだけポジティブな話題を見つけるようにしてきた。でも今月はどうしても筆が進まず、公開が週をまたいでしまった。いまだに何を書いてよいやら、という諦めのような境地にさえなっている。 「文字もの」電子書籍は未だに紙の4% そうした思いを抱いた理由の一つは、先月に相次いで公開された出版市場統計である。 まず、インプレス総合研究所から2017年の日電子書籍と電子雑誌の市場規模が発表された。同研究所の調査によると、昨年の電子書籍市場規模は前年比13.4%増の2241億円、電子雑誌市場規模は前年比4.3%増の315億円。

    出版業界は沈みゆく泥舟なのか
    regulus83
    regulus83 2018/08/06
  • 大学は《自由》だから息苦しい

    なんとも溜息の出るを読んでしまった。 近代日文学を専門とする名古屋大学准教授の日比嘉高『いま、大学で何が起こっているのか』(ひつじ書房、2015・5)は、文部科学省を中心に大学改革の名で現在唱えられている、文学部の縮小・廃止政策や人文社会系不要論に対して、社会全体の自由と多様性の観点から危機感を表明する警世の書である。もとは日比のブログで発表されたものだ。 溜息の原因は、文系学問に対してほとんど敬意のない文科省やその主張を後押しする世の空気感を改めて確認したことも当然ある。ただ、それ以上にがっかりしてしまうのは、『いま、大学で何が起こっているのか』というが、好意的に書けば正論すぎて、率直に書けばフツーすぎて、単純にツマラナイということにある。 急いで断っておかねばならない。私は在野(大学に所属しない)研究者である。それ故、「ツマラナイ」などと書くと、官学者のものなどポジショニング的に

  • ウェブの力を借りて「本」はもっと面白くなる

    も好き、だけどネットも好き、テクノロジーも大好き――そんな人間にとって、ここ数年の「電子書籍(または電子出版。以下この二つを便宜的に同じものとして扱う)」をめぐる議論は、フラストレーションのたまるものばかりだった。 いわく、「が売れなくなる」「パブリッシャーがつぶれる」「海外企業に支配される」「海賊版が増える」「離れが進む」……こんな極端な悲観論が目に付く一方で、出版だけでなく、既存メディア全体がいますぐ用済みになり、ネットやソーシャルがとってかわる、といったような根拠薄弱な楽観論(?)も目立った。中には具体的な年をあげて、新聞等の「消滅」を予言したタイトルのもあったがあれはどうなったのか? つい最近も、同工異曲のが出版されている。 「(の)電子化」ではなく、「(ウェブの)書籍化」 新しい事象に直面したとき、狼狽した人々は大雑把でわかりやすい「物語」にすがりたがる。「◯◯はすべ

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  • トルタルのつくりかた

    トルタルは2012年4月1日に創刊した雑誌スタイルの電書(電子書籍プロジェクトです。これまで、のべ70名超のメンバーによって6タイトルの電書を無料リリースしてきました。この雑誌が何なのか。2013年3月時点でのぼくらのことを、ちょっとだけ説明してみます。 もともと電子雑誌です トルタル編集人であるぼくの業はライターです。18年くらい紙メディア(書籍、雑誌、ムック、パンフなど)に文章を書いてきました。電書に関わるようになったのは2010年初頭からです。仕事ではなく、好奇心から、友だち数人と英語の電書を一冊でっち上げ、アメリカのアマゾンから出版したのです。「パブリッシュ」というボタンひとつで世界100カ国以上に配れることに衝撃を受けました。 これまで数十冊以上書籍制作に関わってきたのとは、別種のおもしろさでした。もっとカジュアルで身軽な感じ。つい最近クレイグ・モドさんが『「超小型」出版』と

  • 新潮社の「電子書籍基本宣言」に思うこと

    これから紙のとデジタルのとは、どういう関係になるのか。その問題を考えるにあたって格好のたたき台となりそうな「基宣言」が、新潮社のウェブサイトに公開されています。4月28日にオープンした新潮社の電子書籍ポータルサイト「Shincho Live!」の「新潮社電子書籍宣言」がそれです。 まず、その全文を以下に引用します。 一、 電子書籍は、情報が氾濫するネット環境においても「作品」であり、長い年月に耐えうるものを目指さなければならない。 一、 電子書籍は、人々の豊かな知的生活に貢献するものであり、ネット習熟度の高低や機器の差異がそれを妨げるものであってはならない。 一、 電子書籍は、人々と書籍の偶然かつ幸福な出会いをもたらす書店とも共存共栄を図らなくてはならない。 一、 電子書籍は、紙の書籍と同様に、作品を生み、広め、読む人々の環の中で育まれるべきものであり、外部の論理に左右されてはな

    regulus83
    regulus83 2011/05/22
  • 電子書籍にDRMは本当に有効か?

    においては、KindleiPadを「黒船」に見立てる言説が多いですが、現在の出版業界をかつての音楽業界とのアナロジーで語る見方もよく見かけます。つまり、iPodとiTunes Music Storeが音楽産業において果たした役割を、iPad(iBook)やKindle電子書籍市場の立ち上がりにおいて担うというわけです。 当然ながらその見方には新しい市場の開拓への期待だけでなく不安も多分に含まれますが、その不安のひとつに音楽業界に大きなダメージを与えたファイル共有などの海賊行為の歴史が、電子書籍においても繰り返されるのではないかという懸念があります。 今年の元旦に公開されたCNN.comの記事はタイトルからしてその懸念をストレートに表現しています。記事の中で、『リザベーション・ブルース』などの邦訳がある小説家、詩人のシャーマン・アレクシーは、「自分がスティーブン・キングやジェイムズ・

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