日本能率協会時代の下條が作ったプログラムで最も評価が高いのは、「バイナリー・サーチ」であろう。もっともこの名称は、のちにアメリカのソフトウェア工学学会が名付けたもので、開発した当時、下條は「区間短縮法」とか「二分サーチ法」と呼んでいた。 下條が開発したのは、プログラムのかたちをした新しい処理方法だった。その意味では、「開発」というより「考案」という表現が正しい。 大量のデータの中から特定の必要なデータを探し出す、という作業を、人間はいとも簡単にやってのける。例えば辞書から特定の単語を探し出す場合、おおよその見当をつけて辞書を開き、ページを繰って探していく。日本語の辞書は50音順、英語の辞書はアルファベット順に並んでいるし、わたしたちは学校教育の場で辞書のルールを学んでいる。 パッと開いたところが目的の言葉の前か後かを見る。そこで不要な部分を捨てる。本の場合なら、ページを繰るということをしな
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