倫理に関する“第一級の観察者”となるには 組織の危機やチャンスを察知して行動を起こす人間と、そうでない人間がいるのはなぜなのか。私は過去10年間、それを研究してきた。リーダーが倫理にもとる振る舞いに気づけないという問題は、私の重要な研究領域である。頭がよく品行方正な経営者が、最終的に自社を危険にさらすことになる不正に気づかない、あるいは見て見ぬふりをするのはなぜなのか。私は2005年にある出来事に遭遇し、個人的に大いに学ぶところがあった。それは後になって倫理違反だったとわかったのだが、当初私は、自分の持つ知識や経験、教育、価値観に照らして何らかの行動を起こすということをしなかった。 当時私は、たばこ業界に対するある重要な訴訟で、米国司法省のために専門家証人となることを承諾していた。被告(たばこ業界)が喫煙のリスクに関して世間を欺くさまざまな不正を策謀したとして有罪になった場合、その是正措置