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ブックマーク / ieei.or.jp (35)

  • 脱原発に間に合わない高圧送電線建設

    前回、ドイツの「エネルギー転換」にとって、北海やバルト海の洋上風力発電の電気をいかに産業が立地するドイツ南部に運ぶかが課題となったが、そのための高圧送電線の建設がはかどっていない、と言及した。 2017年8月7日の公共放送ARDのニュースで、バイエルン州コーブルクでの送電線建設反対の集会を報じていた。政治的な立場を問わず住民1500人が集まり、その1週間前に発表された11万ボルトの送電線を38万ボルトに増強する計画への反対を訴えた。 ドイツ統一後、テューリンゲンの森を南北に貫いて、高速道路、鉄道、高圧電線が建設された。旧東西ドイツ地域の経済的一体性を取り戻すとともに、旧東の再建を促すため、両地域をつなぐインフラ整備が急がれたからだ。旧東西ドイツの境界に位置した旧西のコーブルクはこうしたネットワークの通過地域となった。(旧東のテューリンゲン州と旧西のバイエルン州は北と南の位置関係になる。)

    脱原発に間に合わない高圧送電線建設
  • 中国超限戦の尖兵 左翼知識人

    (電気新聞からの転載:2021年10月29日付) 1960年、日の6人の作家・評論家が、国交のない中国を訪問した。その中に後年ノーベル文学賞を受けた大江健三郎氏がいた。彼らは主に日国内の日米安全保障条約反対闘争を詳しく伝えるために時間を費やした。帰国後彼らは熱心な親中派になった。 その後大江氏は、2011年に「さようなら原発1000万人アクション」の呼びかけ人の一人となり「安倍新政権の原発増設・再稼働させようとする行為は許せない」と会見で述べた。だがその大江氏は、1964年に始まった中共の核実験・核武装に対しては、「核実験成功のキノコ雲を見守る中国の若い研究者や労働者の喜びの表情が、いかにも美しく感動的だった」と67年に書いている。 他方でフランスが核実験を始めると、彼は猛烈にフランス批判を始めた。フランスワインを飲まないというパフォーマンスまでやってのけた。一方で、中国の核実験に対し

    中国超限戦の尖兵 左翼知識人
  • 欧州ガスパイプラインの歴史的背景(その1)

    この欄では過去2回、ロシアからヨーロッパに天然ガスを供給する海底パイプライン「ノルトストリーム2」建設問題を取り上げた。 http://ieei.or.jp/2018/08/special201704009/ http://ieei.or.jp/2020/10/special201704023/ 今回はそもそもヨーロッパ、そしてロシアにとってエネルギーとしての天然ガスはどんな政治、経済的な意味を持ってきたのか、その歴史を一冊のを手がかりに考えてみたい。 題に入る前に、最新の「ノルトストリーム2」の現状について簡単に触れたい。 トランプ前米政権が制裁の脅しをかけて工事を中断させたところまで、前回の記事は取り上げたが、まず敷設工事は、昨年(2020年)12月、最大の出資者であるロシアのガス事業会社「ガスプロム」が敷設船を派遣し、約1年ぶりに再開された。さらに、選挙期間中、建設反対の立場を明

    欧州ガスパイプラインの歴史的背景(その1)
    repunit
    repunit 2022/01/27
  • 脱原発に間に合わない高圧送電線建設

    前回、ドイツの「エネルギー転換」にとって、北海やバルト海の洋上風力発電の電気をいかに産業が立地するドイツ南部に運ぶかが課題となったが、そのための高圧送電線の建設がはかどっていない、と言及した。 2017年8月7日の公共放送ARDのニュースで、バイエルン州コーブルクでの送電線建設反対の集会を報じていた。政治的な立場を問わず住民1500人が集まり、その1週間前に発表された11万ボルトの送電線を38万ボルトに増強する計画への反対を訴えた。 ドイツ統一後、テューリンゲンの森を南北に貫いて、高速道路、鉄道、高圧電線が建設された。旧東西ドイツ地域の経済的一体性を取り戻すとともに、旧東の再建を促すため、両地域をつなぐインフラ整備が急がれたからだ。旧東西ドイツの境界に位置した旧西のコーブルクはこうしたネットワークの通過地域となった。(旧東のテューリンゲン州と旧西のバイエルン州は北と南の位置関係になる。)

    脱原発に間に合わない高圧送電線建設
  • http://ieei.or.jp/2013/01/special201212004/2/?s=09

    repunit
    repunit 2020/12/18
  • 気候変動対策は全体バランスと費用対効果を考えて

    7月15日付の記事「環境活動家が『気候変動の恐怖を煽ったことを謝罪』した注1) 」において杉山大志氏がマイケル・シェレンバーガーの近著「黙示録はもう要らない:なぜ環境危機扇動主義が我々全てに有害か(Apocalypse Never: Why Environmental Alarmism Hurts Us All)注2) 」について簡にして要を得た紹介をされている。 稿ではほぼ同時期にデンマークの政治経済学者ビョルン・ロンボルグが発表した「誤った警鐘:気候変動パニックはいかにして数兆ドルのコストがかかり、貧困層を傷つけ、地球を安定化させることに失敗するか(False Alarm:How Climate Change Panic Costs Us Trillions, Hurts the Poor and Fails to Fix the Planet)」について紹介したい。 ビョルン・ロン

    気候変動対策は全体バランスと費用対効果を考えて
  • 新型コロナウイルスの科学(3)

    前回:新型コロナウイルスの科学(2) “We have a simple message to all countries – test, test, test. Test every suspected cases” (我々が全ての国に送るシンプルなメッセージ‐検査、検査、検査。疑わしき症例は検査) 3月16日、世界保健機関が世界へ向けこのような発信をしました注1)。この発言により、検査件数の少ない日の現状に焦りを覚えた方もいらっしゃるのではないでしょうか。 たしかに今日で検査が充足しているとは言えず、検査を拡充しよう、という声ももっともです。しかし、その焦燥感の中、私たちが決して忘れてはいけないことがあります。それは 「検査は精度が命」 ということです。 病院の台所 「〇〇さん、血糖が高いから薬替えますね」 「A型の輸血用意して!」 「腫瘍マーカーが下がってきました。治療が効いてま

    新型コロナウイルスの科学(3)
  • ドイツ「褐炭・石炭火力全廃」答申の矛盾

    (「月刊ビジネスアイ エネコ」2019年4月号からの転載) ドイツ・ベルリンにある環境省を訪問したことがある。驚いたのは、同省の廊下の壁に時として過激な直接行動を行うことで知られる国際環境NGOグリーンピースのポスターが貼ってあったことだ。石炭火力発電所の今後を議論するため、独政府が昨年6月に設立した成長・構造変革・雇用委員会(通称・石炭委員会)のメンバーにもグリーンピース代表が含まれている。 欧州では、石炭火力から排出される硫黄酸化物と窒素酸化物が大気汚染と健康被害を引き起こしているとして問題になっている。日の石炭火力では低硫黄分、低窒素分の石炭を購入し、さらに脱硫、脱硝装置、電気集じん機を通して排気を排出しているので、大気汚染はまずない。しかし、欧州では、品位があまり良くない石炭を使用し、公害防止設備を付けていない発電所も多い。大気汚染に加えて、温暖化問題に取り組む必要があることも、

    ドイツ「褐炭・石炭火力全廃」答申の矛盾
  • パナソニックが南オーストラリア州救う? – NPO法人 国際環境経済研究所|International Environment and Economy Institute

    (「月刊ビジネスアイ エネコ」2017年5月号からの転載) 米電気自動車(EV)メーカーのテスラは、イーロン・マスクCEO(最高経営責任者)の従兄弟のリンドン・ライブ氏が社長を務めていた関係会社の米ソーラーシティを買収し、EVの蓄電池と太陽光発電設備とのシナジー(相乗効果)によるビジネス拡大を狙っている。ライブ氏は現在、テスラのエネルギー部門の責任者になっている。 マスク氏はロケットの打ち上げなどを行うスペースXも経営。昨年末、同社従業員が米ロサンゼルス郊外の会社前の横断歩道でトラックにはねられる事故があったことから、会社からロサンゼルス空港までトンネルを掘る事業を始めるとツイートし、注目された。 マスク氏は、トランプ米大統領の経済諮問会議の委員に就任したことから、政府予算の対象である宇宙事業に関わっている経営者として“問題ある行動”と非難されたが、ツイートを多用するところはトランプ大統領

    パナソニックが南オーストラリア州救う? – NPO法人 国際環境経済研究所|International Environment and Economy Institute
  • 停電を人災と呼ぶ大新聞の非論理性

    北海道で発生した停電に関し、朝日新聞と毎日新聞は「巨大な発電所に頼る構造が停電を招いたのは、東日大震災時の福島第一など多くの原発が止まり計画停電を招いたのと同じ。電源を分散していれば停電を避けられた」との記事を掲載した。 朝日新聞は、9月13日付「北海道を闇に包んだブラックアウト 空白の17分に何が」で、「一つの発電所に電力の多くを依存するという北海道電力の構造的問題を浮き彫りにした」「巨大な発電所に頼る構造は北電に限らない。東京電力は東日大震災で福島第一など多くの原発が止まり、計画停電を余儀なくされた。経済性を優先するあまり、電力需要や送電網の規模が小さいのに出力が大きい原発などを集中的に抱える電力会社に同じ課題を突きつけている」としている。 毎日新聞も9月12日付「原発依存が招いた”人災“」で「停電は電気を供給する北電に責任があり想定外ではなかった。今回の原因は、長年にわたる原発依

    停電を人災と呼ぶ大新聞の非論理性
  • 福島で見る風評被害(1)

    これまで、私は主に福島第一原発事故によって起きた放射能以外の健康被害について色々な角度から述べてきました。健康被害の全容を知ることで、放射線に対する偏見・差別を少しでも減らせると考えていたからです。 しかしこの数年間で私が学んだことは、 「正しい知識を得られれば風評被害は減らせる」 という前提はあまりに楽観的過ぎた、ということでした。 風評被害を作り出しているものは、知識不足、感情論、イデオロギー、利害関係という単純なものにとどまりません。相馬に暮らすうちに、私が学んだことは風評被害もまたその他の被害と同じく、生の体験を無視しては語れない、ということでした。 風評被害の種類 福島への風評被害は少なくとも3種類に分類されると思います。 1つめは知識の偏り、あるいは知識不足によっておこるもの。これは福島で奇形が生まれている、鼻血が止まらない、などのフェイクニュースや、獣害による木の芽の変形を奇

    福島で見る風評被害(1)
  • 家庭用燃料電池普及の決め手?

    2009年に販売が開始された家庭用燃料電池エネファームの設置数が、ここ数年伸びてきた。メーカーの努力で価格が下がり、耐久性が大きく改善したことと、政府や地方自治体からの補助金が、都市ガスやLPG事業者の販売努力を支えてきたことに加えて、エネファームを一つの目玉仕様に加えた新築住宅が増えてきたことも貢献しているだろう。さらに、東日大震災の後、停電しても発電を継続できる機種が加えられたことも、電気の安定供給を求めるユーザーに訴求力があったようだし、マンションの各住戸に設置できるまでにサイズを小さくできたことも有効に働き始めているようだ。コージェネ財団が示した過去の年度別メーカー出荷数を見ると、2009年度に4,997基であったものが2015年度には40,447基となっている。しかし、エネファームの総設置数を2020年に140万台、2030年に530万台とする政府のエネファーム普及目標が達成で

    家庭用燃料電池普及の決め手?
  • Brexitは英国・EUのエネルギー気候変動対策にどのような影響を与えるのか

    衝撃的な離脱派の勝利 稿を書いているちょうど1週間前の6月24日、英国のEU残留の是非を問う国民投票において、事前の予想を覆す「離脱」との結果が出た。これが英国自身のみならず、EU、世界に大きな衝撃を与えていることは連日の報道に見られる通りである。 2011年4月から2015年8月まで英国に駐在した筆者にとっても衝撃であった。筆者の駐在中、2016年の国民投票というレールは既に敷かれており、英国内でも活発な議論があったが、日ごろコンタクトしていた学者、研究者、ビジネスマン等は概ね「いろいろ議論はあるけれど、変化を嫌い、バランス感覚を好む英国民は最終的には残留を選ぶ。むしろ国民投票によってずっと燻り続けてきたEU離脱論に決着をつけるのは良いこと」というコメントが多かった。これに対して世論調査では残留派と離脱派が拮抗し、離脱派がリードする局面も多々あり、その乖離に驚いた。国際都市ロンドンのエ

    Brexitは英国・EUのエネルギー気候変動対策にどのような影響を与えるのか
  • 原子力発電は本当に嫌われている?

    原子力発電には事故のリスクがあるが、原子力発電がなくなれば私たちは別のリスクに直面する。それは、エネルギーの安全保障、不安定な電気料金、二酸化炭素排出量増による気候変動だ。このリスクの問題を解説すると、原発に反対する方から抗議を受けることになる。例えば、ネットでの「御用学者」との書き込みだ。 東日大震災直後のことだ、亡くなられた澤所長に「まったく、うんざりします」とネットの書き込みを、メールでぼやいたところ、直ぐに返信があった。「私たちは誰の御用も承っていませんよ。そうでないのにそう呼ばれるのは、名誉なことです」。反対する方は、なんでもよいから悪く言えばよいと思っているようだ。 最近も、反対派の方から「あなたたち、新自由主義者は原発を推進すればよいと考えている」と言われ、一瞬キョトンとしてしまった。市場に任せればよいと信じる新自由主義者が、市場に任せることが最も難しい発電設備、原子力発電

    原子力発電は本当に嫌われている?
  • 読まざる者、電力を語るべからず

    当研究所の澤前所長の遺稿の書評です。解説は不要と思いますので、是非Wedge3月号を手に取りお読み戴き、日の原子力発電の問題を考えて戴きたいと思います。 「原子力を殺すのは原子力ムラ自身である」 澤氏が、日のエネルギー供給の脆弱性を考えれば原子力技術は必要であると主張し続けてきたこと、福島事故の直後からぶれることもひるむことも一切無かったことは、読者の皆様には先刻ご承知であろう。しかし日の原子力事業は外部環境も内部事情も課題だらけで、戦略なき脱原発への途をひた走っている。澤氏は、我が国において原子力技術を維持するのであれば解決しなければならない課題を一つ一つ取り上げ、現実的な解決策を提言し続けてきた。原子力損害賠償法に始まり、原子力事業の環境・体制整備、核燃料サイクル政策、安全規制のあり方、そして福島復興と、次から次へと新たな課題に挑戦し続けた。無責任な脱原発論や安易な原発回帰論には

    読まざる者、電力を語るべからず
  • 私の提言 ―総集編―

    これまでこのブログも含めて、さまざまな場で日のエネルギー政策に対して私見を述べ続けてきた。積み重ねてきた提言すべてを読んでいただければ、筆者が描いていた一筋の細い道をご理解いただけるかもしれないが、それも難しいであろう。そのためここで改めて、筆者がどのような視点でその時々のテーマを選定し、提言を行ってきたかについて、全体像を整理してお伝えしたいと思う。 筆者のエネルギー政策への思考回路の原点にあるのは、エネルギー安定供給の重要性である。筆者が通商産業省に入省したのが1981年。第二次オイルショックの余波冷めやらぬ頃であり、国の隅々まで必要十分なエネルギーを供給することは、政府が果たさなければならない重要な国民に対する責務であることを叩き込まれたのである。当時は石油依存度を低減させるため「脱石油・脱中東」がキーワードとされ、LNG火力や原子力などが積極的に推進されていた。再生可能エネルギー

    私の提言 ―総集編―
  • 日本の停電時間が短いのはなぜか

    停電はなぜ起こるのか 停電は多くの場合、電気設備の故障に起因して発生する。とはいえ設備が故障すれば必ず停電するわけではない。多くの国では、送電線1回線、変圧器1台、発電機1台などの機器装置の単一故障時に、原則として供給支障が生じないように電力設備を計画することが基とされている(ただし影響が限定的な供給支障は許容されるケースが多い)。また送電線2回線故障などの機器装置の2箇所以上の同時故障に対しては、稀頻度であるため一部の供給支障は許容されるものの、供給支障規模が大きく、社会的影響が大きい場合には対策が検討され、リスクとの見合いで実施が判断される。この点から言うと、電力設備の計画の仕方自体はどの国も似たり寄ったりで、停電時間の差異には影響しない。 また電気は、瞬時瞬時の需要と供給力を一致させる必要があり、これが崩れると、発電機は保護装置が働いて運転を停止する。供給力は事故に限らず、水力は河

    日本の停電時間が短いのはなぜか
  • 容量市場を巡る議論ではっきりしたエーオンの狙いは火力の収益確保

    欧州のエネルギー業界では、電力の容量市場がいま注目を集めている。昨年末に英国政府が行った初の容量市場の入札結果について賛否両論が起こっていることと、ドイツでの容量市場導入についてガブリエル副首相兼経済・エネルギー相と大手エネルギー・電力企業エーオンのティッセン会長兼CEOの発言が対立しているからだ。英国での議論については「ビジネスアイ・エネコ 地球環境とエネルギー」の連載で取り上げるので、関心のあるかたは4月号をお読み戴きたい。 ここでは、ドイツの容量市場を巡るエーオン・ティッセン会長の発言により、先に取り上げたエーオンのスピンオフ戦略の読み方(エーオン社スピンオフの当の理由と目的)で解説した「再エネと火力部門を同じ企業で持つと利益が相反し、矛盾が生じるために、分割が選択される。エーオンの狙いは再エネでも火力でも収益だ」という見方が裏付けられた話を取り上げたい。 電力市場では、発電コスト

    容量市場を巡る議論ではっきりしたエーオンの狙いは火力の収益確保
  • 書評:「朝日新聞 日本型組織の崩壊(文春新書)」

    これは、朝日新聞記者有志(複数)が、書いた内部告発である。 朝日新聞が広く批判を浴びることになった三つの問題、すなわち、「慰安婦」誤報、「吉田調書」誤報、池上コラム掲載拒否事件について、これら問題の背景にある社内事情を、彼らの視点から説明している。 私の関心は、このなかの吉田調書問題にあるので、他の点はここでは触れない。しかし、吉田調書問誤報問題の捉え方だけを見ても、問題の質を社内政治構造や個人的野心によるものと捉えており、「朝日のみならず日のメディアのあり方に一石を投じる」(9ページ)としては大いに不満が残る。 確かに、この著者たちは、「朝日危機の質はイデオロギーではなく企業構造にある」(9ページ)ということを指摘したいと考えてこのを書いたのだから、そういう結論になることは自然だろう。 そうした視点に立って、「吉田調書」誤報については、スクープ狙いの演出に腐心する一方での裏取

    書評:「朝日新聞 日本型組織の崩壊(文春新書)」
  • 自然エネルギー財団への疑問(その2)

    前回、自然エネルギー財団の「自然エネルギーの持続的な普及に向けた政策提案2014」への疑問を論じた。まだ疑問点があるので、下記に続けて指摘していきたい。 3)費用対効果の分析が甘すぎる また、自然エネルギーの普及による便益のうち定量可能な項目として、燃料費の節減効果、CO2排出量の削減効果を挙げる(提案書P7)。2013年日の消費者が負担した賦課金総額は5,792億円、それに対して節減されたと試算される燃料コストは最大値(全て石油で代替したと換算して)で3,257億円、CO2削減量が1,234万トンとしている。EU-ETSにおける取引価格を参照し、仮に1トン5ユーロでとすると、1,234万トンのCO2削減は、約81億円の価値に換算される(1,234万トン☓5ユーロ。1ユーロ131円で計算)。ということは、我々は5,792億円払って、3,257+81=3,338億円以下の買い物をしたのだろ

    自然エネルギー財団への疑問(その2)