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ブックマーク / koken-publication.com (7)

  • 政党政治の試験時代が始まる【清水唯一朗】

    『公研』2024年6月号「めいん・すとりいと」 この春、政党政治のありようを問う研究書が次々と刊行された。出版点数が増えた今日でも、ここまで念入りに論じられた研究が陸続するのは珍しい。まず概観してみよう。 井上寿一(著者代表)『立憲民政党全史』(講談社)は、第二保守党として生まれ、戦前の政党政治を担った同党の前史から解散までを描く。政治に長じる第一党・立憲政友会に対して政策で立ち向かった姿が活写されている。 榎一江編『無産政党の命運』(法政大学出版局)は二〇世紀初頭に生まれ、労働者と農民の利益を代表すべく活動した社会民主主義政党を俎上に挙げた。社会的要請がありながらも、主義を曖昧にとどめ、離合集散を繰り返す。それが党勢を伸び悩ませる構造であった。 奥健太郎・清水・濱真輔編『政務調査会と日の政党政治』(吉田書店)は、与党事前審査の形成史を明らかにした筆頭編者のもと、それを担う政務調査会が

    政党政治の試験時代が始まる【清水唯一朗】
  • 新時代を迎えるエネルギー環境 何が勝者と敗者を分かつのか?【田中伸男】【白鳥潤一郎】

    『公研』2024年2月号「対話」 「資源小国」日は世界のエネルギー環境の変化に常に影響を受けてきた。 その歴史を振り返ったうえで、エネルギー安全保障のあるべき姿を考える。 ICEF運営委員長                放送大学准教授 元IEA事務局長                 白鳥潤一郎 田中伸男 たなか のぶお:1950年神奈川県生まれ。72年東京大学経済学部卒業後、翌年に通商産業省(現経済産業省)入省。経済産業研究所副所長、経済協力開発機構(OECD)科学技術産業局長などを経て、2007年から11年8月まで日人初となる国際エネルギー機関(IEA)事務局長を務める。退任後は、日エネルギー経済研究所特別顧問、笹川平和財団理事長、東京大学公共政策大学院連携研究部教授、日原子力産業協会理事などを歴任。 しらとり じゅんいちろう:1983年静岡県生まれ。2006年慶應義塾大学法

  • よろしい、ならば戦争だ?【谷口功一】

    『公研』2024年1月号「めいん・すとりいと」 昨年10月に『立法者・性・文明──境界の法哲学』(白水社)というを出した。約20年前、いわゆる性同一性障害特例法(以下「特例法」)の立法運動に関わった経験から出発し、近年にいたるまでの研究を一冊のにまとめたものだ。最近、このの内容に関連する大きな出来事があった。先日、最高裁大法廷が出した特例法に関する違憲判決である。 特例法では、①18歳以上であること、②現に婚姻をしていないこと、③現に未成年の子がいないこと、④生殖腺がないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること、⑤その身体について他の性別に係る身体の性器に係る部分に近似する外観を備えていること(後述の5号要件)──以上、五つの要件を「戸籍上の性別変更」に際し、課している。 今回の判決では、このうち④の「生殖不能要件」が憲法13条によって保障されるべき人格的生存権、つまり「自己

  • コロナ危機が浮き彫りにした日本の統治構造とその弱点【竹中治堅】【手塚洋輔】

    『公研』2021年7月号「対話」 首相の権限は強くない? 手塚 新型コロナウイルスの世界的な感染拡大が始まってから、1年半以上が経過しました。今まさに東京オリンピック・パラリンピックが開幕しようとしていますが、予断を許さない状況が続いています。ワクチン接種も始まり改善が見られていますが、収束に向かうかどうかは未だにわからないのが現状です。コロナ対応は進行の最中にあるわけですが、今日はこの間を通じて見えてきた日の統治スタイルや行政のあり方について考えてみたいと思います。 竹中さんは、昨年『コロナ危機の政治』を出版されました。ここでは新型コロナが蔓延した第一波の時期を中心に、政府の対応について一早くまとめられていますが、この時の問題意識はどういうものだったのでしょうか? 竹中 東日大震災と福島の原子力発電所の事故は、今回と同様にたいへんな危機でしたが、あの時は一市民として右往左往するばかり

    コロナ危機が浮き彫りにした日本の統治構造とその弱点【竹中治堅】【手塚洋輔】
  • 日本人は憲法をどう見てきたか?【境家史郎】【前田健太郎】

    『公研』2018年2月号「対話」 境家 史郎・東京大学法学部准教授×前田 健太郎・東京大学大学院法学政治学研究科准教授 憲法改正議論が格的に始まろうとしている。そもそも日人は憲法をどのように見ていたのだろうか。 各年代の世論調査を辿ることで、その実像に迫る。 憲法九条をめぐる「神話」 前田 境家さんは昨年(2017年)、『憲法と世論』を出版されました。境家さんと言えば、統計分析を用いて人間の政治への関わり方を捉える「政治行動論」と呼ばれる分野を引っ張ってきた、政治学の先端におられる研究者のお一人です。その方が憲法問題という現在進行形の政治争点に直接踏み込むような著作を発表されたことは、同業者には驚きを持って迎えられたと思います。今日はこの『憲法と世論』に沿って、戦後の各年代で「日人は憲法をどう見てきたのか」を振り返りながら議論を進めていきたいと思います。そもそもなぜ憲法と世論というテ

    日本人は憲法をどう見てきたか?【境家史郎】【前田健太郎】
  • この喧騒は日韓関係の断末魔の叫びなのか?【木村幹】【川島真】

    『公研』2019年9月号「対話」 木村 幹・神戸大学大学院国際協力研究科教授×川島 真・東京大学大学院総合文化研究科教授 日韓関係は悪化の一途を辿っている。この背景には何があるのだろうか。東アジアのパワーバランスの変遷から考える。 昔のイメージで韓国を語る人は未だに多い 川島 今日は、日韓関係を中心に東アジア情勢について考えていきます。韓国は世界トップ10に入ろうかという大きな経済力を持つ日の隣人で、東アジアの重要な存在であることは間違いありません。しかし、韓国と日との関係は一筋縄ではいかないところがあって、今まさに両国の関係はかつてないほどに悪化している。木村先生は韓国をご専門にされていますが、そもそもなぜ国際政治学のなかで韓国を扱うことに決めたのでしょうか。 木村 僕が大学に入ったのは1986年でしたが、韓国は先進国とはみなされていなくて、NIES(新興工業経済地域)の一つとして位

    この喧騒は日韓関係の断末魔の叫びなのか?【木村幹】【川島真】
  • 米中は覇権争いをしているのか? 

    鈴木 一人 『公研』2020年3月号「めいん・すとりいと」 大学の授業がない2月、3月は海外出張が多く入るシーズンである。今年は欧州での仕事が多かったが、どこへ行っても米中対立が激しくなる中で欧州や日がどのように対処すべきか、という話題ばかりであった(仕事を離れると話題は新型コロナウィルスばかりだった)。一方で、ファーウェイをはじめとする中国製品を使って次世代通信ネットワークである5Gの構築をすることに対してアメリカは強い圧力をかけ、他方で中国は欧州を一帯一路の終点と見て猛烈な勢いで欧州各国に投資攻勢をかけてきている。こうした狭間に立たされ、欧州は米中の「覇権争い」に巻き込まれているという感覚が強くある。 しかし、果たして米中は欧州で「覇権争い」をしていると言えるのだろうか? そもそも国際政治における「覇権」とは、覇権国家が他国に対して圧倒的な力をもって支配的な役割を果たす一方で、その覇

    米中は覇権争いをしているのか? 
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