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ブックマーク / www.nikkei-science.com (10)

  • 時間の本質を探る時が来た

    過去から未来へ一方向にのみ時が流れるのはなぜか? 質的な謎に取り組む時がやって来た 「Emoclew dna olleh」──去る10月にニューヨーク科学アカデミーで開かれた会議の冒頭,コロンビア大学のひも理論研究者グリーン(Brian Greene)はそう切り出した。「いまの私の言葉を,時間を逆転させて『Hello and welcome(こんにちは,ようこそ)』と理解できた方は,おそらくこの場にいる必要はないでしょう」。 立ち去る人は1人もなかった。会議には世界最高の理論物理学者と宇宙論研究者が多数出席し,時間の謎に取り組んだ。望遠鏡観測の新たな結果と量子重力に関する新しい理論研究をうけて,時間を再考する時がきた。「時間に関する古典的な問題を,別の難問に置き換えることによって答えを探る」とマサチューセッツ工科大学の宇宙論研究者テグマーク(Max Tegmark)はいう。 「時間の矢」

    時間の本質を探る時が来た
    reqanui
    reqanui 2021/04/03
    「時間衝突」みたいな時間が双方向に流れる宇宙の実装はむずかしそうだ
  • 意思を生む脳回路〜日経サイエンス2019年3月号より

    エイリアンハンド症候群の研究から見えてきた脳の作用 ダービー(Ryan Darby)は神経科の医学実習生だったころ「エイリアンハンド症候群」という症状を聞き知ってはいたが,実際に患者を診察すると,その行動はまるで不可解でしかなかった。患者は四肢の1つ(手であることが多い)が勝手に動くように感じるという。その手はものに触ったりつかんだり,他方の手がとめたシャツのボタンをはずすこともできる。ところが患者はこの勝手に動く手を制御できず,物をつかむのをやめさせることも,動きを止めることもできないのだ。 患者はまるで「行為の主体性」を失っているようだ。自分が自分の動きを支配しているという間違いようのない感覚,自由意思の重要な構成要素が失われている。「エイリアンハンド症候群は,心とは何であって,より大きな概念を心がどのようにしてもたらすのかという疑問を投げかける疾患の1つだった」と,現在バンダービルト

    意思を生む脳回路〜日経サイエンス2019年3月号より
  • 中性子星の中はどうなっているか

    中性子星は太陽の20倍のサイズの恒星が超新星爆発した後にできる小さな高密度天体だ。その内部では重力で押しつぶされた陽子と電子が融合して中性子になっているが,それらがどのような形態を取っているかは長い間謎だった。2017年8月,重力波望遠鏡のLIGOとVirgoが連星中性子星合体によって発生した重力波を捉えた。こうした観測によって,中性子星の内部を理解するめどがようやく立ってきた。 関連記事 「マグネター 磁石星の驚異」,C.クーベリオト/R. C. ダンカン/C. トンプソン,日経サイエンス2003年5月号。 「重力波の命 連星中性子星合体を観測」,中島林彦,日経サイエンス2018年1月号。 原題名The Inner Lives of Neutron Stars(SCIENTIFIC AMERICAN March 2019) サイト内の関連記事を読む中性子星/宇宙物理学/連星中性子星合体

    中性子星の中はどうなっているか
  • 子どもっぽさが賢さのもと?〜日経サイエンス2009年10月号より

    脳の発達と進化に関する新しい見方が登場 人間の大人とチンパンジーの子どもには身体的に似た点がある。小さなあご,平たい顔面,薄い体毛などだ。幼体の特徴を保っていることを「幼形成熟(ネオテニー)」と呼び,特に家畜にはっきり見られる。例えばイヌは人間の好みに合わせて育種されてきた結果,垂れ耳や短い鼻先,大きな目など,成犬に育ってからも子犬の特徴を保つ品種が多い。 ヒトとチンパンジーの遺伝子はほとんど同じで,種が分かれたのも進化上ではそう遠くない600万年前なのに,両者の知能がまるで違うのはなぜなのか──最近の研究によると,幼形成熟が関連している可能性がある。 発現時期が遅いヒト遺伝子 動物の幼形成熟は発達過程の遅れから生じるものだと,ドイツにあるマックス・プランク進化人類学研究所の分子生物学者カイトビッチ(Philipp Khaitovich)は指摘する。例えば人間が性的に成熟するのはチンパンジ

    子どもっぽさが賢さのもと?〜日経サイエンス2009年10月号より
    reqanui
    reqanui 2020/05/23
    永遠の少年であるピーター・パンは大人になれない代わりに知能を発達させ続けられるのかななんて
  • 宇宙で最も空っぽな場所 スーパーボイド

    宇宙を満たす太古の光である宇宙マイクロ波背景放射(CMB)には,謎の領域「コールドスポット」が存在する。温度が異常に低い領域だ。コールドスポットの方向に巨大な低密度領域「スーパーボイド」が存在すれば,コールドスポットを説明できる可能性がある。スーパーボイドを通過するCMB光子はいわゆる積分ザックス・ウォルフェ(ISW)効果によってエネルギーを失い,その温度が下がるだろう。このISW効果は宇宙が加速膨張しているために生じる。最近,コールドスポットの方向に差し渡し18億光年のスーパーボイドが発見された。このスーパーボイドがCMBのコールドスポットの原因かどうかを判定するにはもっと多くのデータが必要だ。 再録:別冊日経サイエンス241「巨大ブラックホール 宇宙と銀河の進化を探る」(改題) 【関連動画】The Pigeon, the Antenna and Me: Robert Wilson:宇宙

    宇宙で最も空っぽな場所 スーパーボイド
    reqanui
    reqanui 2020/04/14
    『最近,コールドスポットの方向に差し渡し18億光年のスーパーボイドが発見された。』でかい
  • 鳥たちが見る色あざやかな世界

    人間は,えてして自分たちの視覚システムが進化の頂点にあると思いがちだ。確かに視覚のおかげで私たちは立体的に物を見ることができるし,遠くからでも物を見つけることができ,安全に動き回ることもできる。また,視覚のおかげで一人ひとりをはっきりと識別できるし,相手のちょっとした表情から感情を読み取ることもできる。しかし実は私たちは視覚に大きく頼るあまり,嗅覚や聴覚などを主体にした動物の世界があることをなかなか想像できない。例えば夜にエサを探すコウモリはどうだろう。彼らは自身の発する高周波音の反響を手がかりに小さな昆虫を見つけることができる。私たちの想像を超えた感覚世界ではないか。 色覚について私たちが知っていることは,当然ながら,人間が見ることのできる世界に基づいている。ヒトを対象にした実験は動物を相手にするよりもはるかに容易だ。どんな色とどんな色が同じに見えるか,あるいは違って見えるかなど,人間な

    鳥たちが見る色あざやかな世界
  • 台風をあやつる 夢ではない天気の制御

    毎年,大きな被害をもたらす台風やハリケーン。その勢力を弱めたり,進路を変えたりすることができるだろうか?近年の研究から実現のシナリオが浮かび上がってきた。 高度な気象予報モデルに基づいて,ハリケーンの発達のカギとなる複雑な過程が精密に再現された。その結果,ハリケーンや台風などの巨大なカオス的システムは初期条件の微小な変化に非常に影響されやすいことがはっきりした。例えば周辺や中心部の気温や湿度がわずかに変わるだけで大きな影響が出る。 ハリケーンの何を変化させれば勢力を弱めたり進路を人口密集地域からそらせるか,複雑な数学的最適化手法を利用した研究が進んでいる。著者ら大気環境研究所(AER,全米規模の研究開発コンサルティング企業の1つ)のチームはハリケーンの精緻な数値モデルに基づいて過去のハリケーンの動きを模擬し,さまざまな介入が及ぼす変化を観察することで,その影響を評価している。 1992年に

    台風をあやつる 夢ではない天気の制御
  • クローン動物短命説は誤りだった〜日経サイエンス2016年12月号より

    初の厳密な検証が行われ,通常の動物と同じであることが判明した 20年前のクローン羊「ドリー」の誕生は,哺乳動物の成体細胞から抽出したDNAを未受精卵に注入することによってドナーとまったく同じ遺伝情報を持つ動物を作成できることを証明した。だがドリーは若くして死んだため(6歳で死亡),クローン動物の寿命は短いという印象が残った。 クローン動物は“自然に生まれた”動物よりも生まれつき不健康なのだろうか。それを明らかにするために,英ノッティンガム大学の発生生物学者シンクレア(Kevin Sinclair)は,ドリーの4頭のクローン姉妹であるデビー,デニス,ダイアナ,デイジーを誕生から中年期まで追跡調査した。この4頭はドリーと同じ凍結乳腺細胞に由来するクローン羊だ。シンクレアらはこのほか,別の細胞からつくられた9頭のクローン羊も観察した。 これら13頭は現在9歳を超えているが(人間では70歳代から8

    クローン動物短命説は誤りだった〜日経サイエンス2016年12月号より
  • キツネがイヌに化けるまで

    「人類最良の友」といわれるイヌは野生のオオカミを人間が家畜化したものと考えられているが,具体的にどう飼い慣らしたのか,どのくらいの期間がかかったのかなど,その詳細は歴史のなかに失われてしまった。そこでオオカミからイヌへの進化を再現することを目指し,60年がかりの実験がロシアで行われてきた。オオカミの代わりに別のイヌ科動物である野生のキツネを用い,従順な個体を数十世代にわたって選抜育種した。すると,わずか数世代のうちに,ぶち入りの毛皮や巻き上がった尻尾など,家畜化に伴う特徴を持ちペットのように振る舞うキツネが出現したという。その後もますます人なつこいキツネが育っている。 再録:別冊日経サイエンス226「動物のサイエンス 行動,進化,共存への模索」 著者Lyudmila Trut / Lee Alan Dugatkin トルートはロシアのノボシビルスクにある細胞学・遺伝学研究所の教授を務める進

    キツネがイヌに化けるまで
  • 時空の原子を追うループ量子重力理論

    私たちは空間も時間も連続したものだと考えているが,実は大間違いかもしれない。相対論と量子力学の統合を目指す新理論によると,「時空の原子」が存在する。アインシュタインが果たせなかった難問解決の道筋が見えてきた。 空間の構造を非常に小さなスケールで理解するには,重力の量子論が必要になる。空間に重力が関係してくるのは,時空の歪みから重力が生じることがアインシュタインの一般相対性理論によって示されているからだ。 量子力学と一般相対論の基原理を注意深く組み合わせることで,「ループ量子重力理論」が生まれた。この理論によると,空間は個別の小さな塊からできていて,最小の塊の体積はおよそ1立方プランク長(10-99cm3)だ。時間の進みは飛び飛びで,その最小単位はおよそ1プランク秒(10-43秒)となる。また,空間がとりうる量子状態は点と線からなる「スピンネットワーク」という抽象的な図に,時空の量子状態は

    時空の原子を追うループ量子重力理論
    reqanui
    reqanui 2018/06/03
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