下北半島の木野部(きのっぷ)海岸。海に囲まれた島国である日本の海岸線によくある風光明媚な磯と砂浜の風景だなあと思って、うっかりスルーしてしまいそうになる。ところが、写真の中央部にある磯は、かつてこの地域で伝統的に行われていた「築磯」を近自然海岸工法として現代に蘇らせた、小さな人工リーフのような消波工なのだ。うむ、なんとも説明するのが難しいな。 そもそも海岸整備の大きな目的は、高潮、津波、浸食などへの対策としての「防護」だ。そこに自然環境の保護と回復を目指す「環境」と、レクリエーションを念頭に置いた「利用」が追加されたのは、1999年の海岸法の一部改正から。とは言え、技術が急に入れ替わるはずもないので、一般的にはまだまだ陸側に高い防波堤や防潮堤を整備したり、沖合に消波ブロックで構成する離岸堤を整備したりすることが多い気がする。 この場所もかつては直立式護岸や緩傾斜式護岸などでガチガチに防護さ