スウェーデンの人里離れた小さなコミュニティの祝祭でくり広げられる“フェスティバル・スリラー”、『ミッドサマー』。公開後、さまざまな角度から数多くの考察がくり広げられている。ここでは衣装から、その世界を読み解いていきたいと思う。 ※この記事には『ミッドサマー』のネタバレとなる内容が含まれています。 ホルガの白い服 まず最初のコンセプトは、「ホルガの人たちの服はとにかく白」だった。(1) 白と同じ無彩色には黒がある。黒が「終わり」を感じさせるのに対して、白は「始まり」を感じさせる。「汚してはいけない」という感情が働くため神聖なイメージもある。もしホルガの人々の服が黒だったら、物語の印象はまったく違ってくる。また、白には空間を広く見せたり、ものを軽く感じさせたりする効果があるので、コミュニティを閉鎖的に感じさせない、起こっているできごとを重く思わせないという効果も。住人たちは純粋にしきたりに従っ
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