原子力発電所事故を受け、エネルギー政策の見直し論議が始まった。原発依存からの脱却、電力会社の地域独占の検証など課題は山積している。大幅な修正を探る首相官邸と守勢に回る経済産業省の攻防も激化してきた。 東京電力福島第1原子力発電所事故の損害賠償(補償)を巡る枠組みがようやく決まった。公的支援と電力会社の負担で東電が債務超過に陥るのを防ぐことを優先し、補償費用の分担割合など随所に曖昧さが残る内容に、与党内からも疑問の声が相次いだ。 関係者の関心は早くも次の攻防に向けられている。主戦場となるのが、原発推進を柱とする国のエネルギー政策の見直し。水面下で首相官邸と経済産業省の激しい主導権争いが始まった。 「嫌・経産省」で突き進む菅首相 「従来決まっているエネルギー基本計画は、いったん白紙に戻して議論をする必要がある」 5月10日の菅直人首相のこの発言が、経産省に衝撃を与えた。同省との事前のすり合わせ