不妊の原因の一つで、精巣で精子がつくられない非閉塞(へいそく)性無精子症であっても精子に成熟する前段階の「前期精子細胞(円形精子細胞)」を精巣から採取して体外受精を安定的に成功させられることを、セントマザー産婦人科医院(北九州市、田中温院長)が実証し、その仕組みなどを米科学誌PNAS(ピー・エヌ・エイ・エス)に発表した。「同症の男性の精巣内には前期精子細胞は存在せず、不妊治療は第三者の精子を使うしかない」とされてきた通説を覆す成果で、不妊に悩む夫婦への新たな福音となりそうだ。 不妊治療、負担重く 費用100万円以上…55% 仕事との両立に壁 前期精子細胞は、精巣内で精子のもととなる精祖細胞が2回、減数分裂してできる細胞で、成熟すると精子になる。 1996年にフランスで前期精子細胞を使った体外受精で世界初の出産例が報告された。だが、精巣内において、受精能力のある前期精子細胞を他の細胞と見