2013年07月27日13:08 カテゴリ本 「持たざる国」への道 派手な戦争に比べて財政の歴史はあまり注目されないが、財政が戦争の原因になったことも多い。高橋財政は「国債の日銀引き受けによるリフレ政策で昭和恐慌を救った」などといわれるが、著者が前著で明らかにしたように、逆に日銀引き受けが軍部による際限ない財政拡大を生んだのだ。 太平洋戦争は「持たざる国」日本が「持てる国」アメリカに対して無謀な戦争を挑んだ、と思っている人にとってはこの題名は奇妙だろうが、1930年代なかばの日本は、英米もしのぐ世界で最高の景気だった。1937年には、日本の植民地向け輸出額はイギリスを抜いて世界一だった。その日本が財政の失敗によって軍部の暴走を許し、「持たざる国」になったのだ。 その最初が満州事変に始まる満州国の建設だった。大豆と石炭ぐらいしかなかった満州に30万人以上を移住させて建設した「満州国」の経営は