「宇宙検閲官仮説」 なんとも不可思議で魅惑的な響きです。この文字の並びを見ているだけで、つぎつぎと疑問が湧いてきます。宇宙を検閲する? 誰が? 何を? いったいどうやって? ここでは、この仮説の前提となる「一般相対性理論」が「光と影」の両面を持つこと、そして、それゆえ様々な混乱を物理学者たちの間に巻き起こしたことについて、大阪工業大学教授の真貝寿明さんがわかりやすくご説明します。 (この記事は、真貝寿明『宇宙検閲官仮説』を抜粋・編集したものです) 無限に潰れていく星は現実に存在するのか 一般相対性理論は、ブラックホールや膨張する宇宙、そして重力波の伝播という新しい物理現象を次々に導きましたが、いずれのトピックに対してもアインシュタイン自身は、一度は拒絶反応を示しています。彼自身をもってしても、どれも受け入れがたい結論であったのでしょう。ましてや、他の物理学者・天文学者にとってはなおさらでし