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ブックマーク / kihamu.hatenadiary.org (16)

  • 民主主義とは何か - on the ground

    この記事は、「民主主義とは何か」「民主主義とは何か・補遺」を素材として加筆・修正を施したものです。 価値理念としての民主主義と区別される概念としての民主政とは、当該政治的共同体内における対等なメンバー間による討論と投票によって政治的決定を為す政治体制を意味する。民主政が最低限果たしている役割は、「人々の意見が対立する問題、しかも社会全体として統一した決定が要求される問題について、結論を出す」ことにある*1。一般に、基的人権を認められた個人は、自己に関わる事柄について、他者の不当な干渉や強制をはねつける自己決定の権利を持つとされる。だが、各人の意見や諸権利は対立することがあり、その対立が特に社会全体に関わる事柄である時には、統一的な決定がなされねばならない。その際、政治的決定手続きとして民主政が採用されることになるが、民主政における最終的決定手続きとして全員一致方式が採られることはあまり多

    民主主義とは何か - on the ground
  • 利害対立と民主主義モデル - on the ground

    吉原直毅「最近思う事:湯浅誠・堤未果『正社員が没落する--貧困スパイラルを止めろ!』(角川新書)を読んで」を読んで、「分断統治」という観点は確かに重要であるとしても、正規・非正規ないし中間層・低所得層という対立軸だけでなく、世代間の対立についての目配りを盛り込んだ議論構成にしなくては、いわゆるロストジェネレーション層への応答なり批判なりにはならないだろうと、若干の違和と物足りなさを覚えた*1。その方面について私には何の専門的知見も無いが、世代の軸を加えるなら、単なる情緒的認識の問題には尽くすことのできない程度の敵対性は存在するのではないか。 無用な対立を煽ることは避けるべきだが、分断統治を目論む上位のプレーヤーが無条件に存在すると前提した上で誰だって仲良くできると考えるのは妄想である。「少なくとも民主主義的政治システムの存在する現代においては」*2、そのような上位のプレーヤーは居ない。「支

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  • スピリチュアル的なものとモノ・サピエンス的なもの - on the ground

    2007/04/29(日) 17:41:13 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-337.html 今期、学部1年生向けの「社会科学概論」という講義にもぐっている。この講義は社会学部の必修講義なのだが、二人の教員がそれぞれ同名の講義を同時に行っており、どちらか一方を履修することになっている。私が今出席しているのは、昔履修しなかった方の教員による講義である。この教員の方は、学部の名物教員の一人なのだが、私は何故かこれまで縁がなく、この方の講義を履修したことがなかった。 で、これが徹底的に受講生を軽侮して、挑発し、煽っているものだから、聞いていて非常に面白く、時々笑いをこらえるのに苦労する。同時に、やっぱり大学教員はこういう知的挑発を担う者であらねばならないよなぁ、などとある種の感銘を受けたりしている。私の先生は良くも悪くも優しいので、ああいう方法は採

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    rrmmjjff
    rrmmjjff 2009/10/15
  • 最近のアナーキズム周りについて - on the ground

    最近書店を歩くと、チョムスキーやグレーバーのアナーキズム論の翻訳が並んでいたり、「新しいアナキズム」が云々などというまで売られていたりします。 チョムスキーの「アナキズム論」 作者: ノームチョムスキー,木下ちがや出版社/メーカー: 明石書店発売日: 2009/01/30メディア: 単行購入: 1人 クリック: 7回この商品を含むブログ (8件) を見る資主義後の世界のために (新しいアナーキズムの視座) 作者: デヴィッドグレーバー,高祖岩三郎出版社/メーカー: 以文社発売日: 2009/03/30メディア: 単行購入: 2人 クリック: 20回この商品を含むブログ (24件) を見る新しいアナキズムの系譜学 (シリーズ・道徳の系譜) 作者: 高祖岩三郎出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2009/03/26メディア: 単行購入: 1人 クリック: 29回この商品を含むブ

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  • 倫理学には入門する価値があるか - on the ground

    動物からの倫理学入門 作者: 伊勢田哲治出版社/メーカー: 名古屋大学出版会発売日: 2008/11/20メディア: 単行購入: 16人 クリック: 209回この商品を含むブログ (54件) を見る 科学哲学の啓蒙書や論理的思考の指南書などで好評を得ている著者が*1、「なぜ動物は殺してよいのか」「動物に人間と同じ権利が認められないのはなぜか」などの問いを含む動物解放論を中心とした応用倫理学的問題系について語りながら、倫理学そのもの(メタ倫理学・規範倫理学)の展開と分布を説いていく入門書。扱われている範囲は広大であるが、文章は平易であり、文献案内も充実している。 すなわち良書である。が、つまらない。倫理学への導入を助ける一冊として、一般的には迷い無く推薦できる水準と言えようが、私にとっては心底退屈なだった。序盤から既に辛く、中途半端な知識を補完するために頑張って通読しようと志していたのだ

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  • 幽霊と亡霊と - on the ground

    ソファの在る書店にて、3時間近くかけて以下の主に1、4、5章を読む。 マルクスの亡霊たち―負債状況=国家、喪の作業、新しいインターナショナル 作者: ジャック・デリダ,増田一夫出版社/メーカー: 藤原書店発売日: 2007/09/25メディア: 単行購入: 1人 クリック: 32回この商品を含むブログ (51件) を見る 非常に面白い。プロパーとしての立場からは、シュティルナーがマルクスと同じく「悪魔祓い」を企図していたという理解は間違っていると言わねばならないけれども、その点は別にして少なくない刺激を与えてくれるテクストである。「亡霊(幽霊/再来霊)」と「精神」の――マルクスによる「絶望的」な・それにもかかわらずデリダが継承してみせようとする――区別は、まだストンと腑に落ちるまで至らないものの、とっても興味深く感じる*1。 たぶん事前に稲葉振一郎『モダンのクールダウン』の7章あたりを再

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  • ドレスデン法廷でのムスリム女性刺殺事件 - on the ground

    以下に掲載されている、内藤正典「オバマ政権はイスラームとの衝突を緩和できるか――穏健派と過激派という二分法を超えたとき、対テロ戦争はどこへ向かうのか―― 」を大変興味深く読む。 世界 2009年 09月号 [雑誌] 出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2009/08/08メディア: 雑誌 クリック: 3回この商品を含むブログ (5件) を見る 以下は出版社からの紹介。 ブッシュ前政権は、イスラームとの関係を見事なまでに誤認と偏見で固めた。オバマ政権は、これを180度転換させた。2009年4月にイスタンブールで、6月にカイロでオバマが行った演説は、ムスリムの反米感情を緩和させただけでなく、意外なまでに親米感情を醸成させた。問題は、アメリカ政府に中東・イスラーム世界との劇的な関係改善を実現しうる可能性があるか否かである。 演説にこめられたオバマのメッセージを読み解き、オバマ政権の対イスラーム

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  • 政治を巡って今読むべき10冊 - on the ground

    http://synodos.livedoor.biz/archives/958940.html こういうのを見ると、自分でも選んでみたくなる。とりあえず、ささーっと棚を眺めながら思い付いたところをリストアップ。古典は避け、なるたけ新しく、かつ政治との直接的な繋がりが見えやすいを選びました。 境界線の政治学 作者: 杉田敦出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2005/02/10メディア: 単行購入: 1人 クリック: 29回この商品を含むブログ (34件) を見る変貌する民主主義 (ちくま新書) 作者: 森政稔出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2008/05/01メディア: 新書購入: 10人 クリック: 123回この商品を含むブログ (67件) を見る集中講義! アメリカ現代思想 リベラリズムの冒険 (NHKブックス) 作者: 仲正昌樹出版社/メーカー: NHK出版発売日:

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  • 消費者主権政治が政府に要請する二重の課題 - on the ground

    「小さな政府と社会保障の両立を求める変な国民」@すなふきんの雑感日記 「小さな政府と社会保障拡大を求める欺瞞」@Economics Lovers Live 「メモ:「小さな政府」、「大きな政府」、「社会保障負担/給付」に関する国民意識」@研究メモ 共通する疑問は、最初にすなふきんさんが述べている「「小さな政府」を求めつつ「社会保障充実」も訴える日型支離滅裂の背景にはいったい何があるのか」ということだと思うが、そういう問題についてなら多少考えたことがあるので、昨年書いた文章から少し引いておきたい。これは政治学と言うよりも社会学的な考察で、細かい数値を扱ったわけでもない大味な議論ではあるけれども、人によっては更に突っ込んで考えるヒントぐらいにはなるかもしれない。 最後の節では、脱イデオロギー的な現代の政治を決定的に特徴付けているイデオロギーについて、歴史を辿りながら論じてみたい。そのイデオロ

  • 一般想像力批判 - on the ground

    自分が小難しい類のを読むようになってからの短い年月の中でも、最近とみに「想像力」なる言葉を使いたがる論者が増えた気がする。その意味するところには差異があっても、誰もが想像力の「減退」や「枯渇」(あるいは「古さ」)を憂い、想像力の「回復」や「喚起」(あるいは「刷新」)を掲げる点では変わらない。 それぞれの議論の質はピンからキリまで様々なので、同じ言葉がやたら使われているからそれが問題だと言うつもりはないが、それにしても「想像力」などというフワッとした響きがマジックワードのように溢れ返っている状況には参る。 そもそも人間固有の想像力はそんなに変わらない。昔の人が滅法凄かったわけでも、今の私たちがとんでもなく進歩しているわけでもない。質量諸々、誰だってほぼ同じだろう。人間の想像力を大きなところで左右するのは、自然だったり技術だったり政治だったり経済だったり、要するに環境や状況だ。 現代人は「わ

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  • 暴力の定義について - on the ground

    http://d.hatena.ne.jp/mojimoji/20091008/p1 「文化的暴力」というのは概念的には半端で、無くてもいいものだと思う。政治的には重要なんだろうが。 それにしても、「暴力」の語に反発を覚える人は多い。以下はまず、ご参考までに。 「暴力とは何か」(2008年6月15日) この記事で引用されている箇所の前段も少し長めに引いておく。 それでは、再び「暴力violence」についての議論に戻ろう。管見の限り、暴力概念についての厳密かつ独立した定義として検討に値するのは、ほとんどJ.ガルトゥングによる定義しかない。ガルトゥングによれば、暴力とは、「可能性と現実の間、すなわち、可能であったことと今ある状態との間の差異を生じさせた原因」である。すなわち、「暴力が存在するのは、人々が実際に肉体的・精神的に実現したものが、彼らが潜在的に実現し得たものより低水準になるような形

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  • 萱野国家論の補足 - on the ground

    2006/12/21(木) 17:52:34 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-299.html 以前、萱野稔人『カネと暴力の系譜学』(河出書房新社、2006年)を読み、思うところがあったので、萱野の前著『国家とはなにか』(以文社、2005年)をパラパラと読み返していた。そして、何か書けそうかなと思って途中まで書いたのだが、結局上手くまとまらなかった。結論に到達せず、そのままだとただの書き散らしなのだが、消すのも忍びなく処理に困ったので、結局中途のまま提出することにした。 萱野国家論が取り逃がしかねない部分を(「想像の共同体」的意味ではない)国家の共同体的側面に求めることができるかな、と思ったのだが、まぁ萱野もその面を見ていないわけではないかもなぁ、と思い始めてしまったので、その時点でこの話は放棄した。とはいえ、これから国家について考えたいという人

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    rrmmjjff
    rrmmjjff 2009/04/21
    東西ドイツ司法と「過去の克服」 (熊野直樹)
  • 現代日本社会研究のための覚え書き――ネーション/国家 - on the ground

    今回は力作…では別にないですが、少なくともここ1〜2年の間に書き溜めたり書き散らしたりしていたことがまとめてあるので、まぁそれなりに参考にはなるのではないでしょうか。宮台や東の議論との距離を明示したということもありますが、国家については左翼周りで言われているようなことは大体盛り込まれている/織り込まれているはずで、頑張って小難しくて分厚いなどを読まずとも、先端的な議論は押さえられるはずです。このことはシリーズ全体に言えることですが、このテーマでは特にそうです。このシリーズは大学のレポートに流用するのに便利な素材を提供していると思いますが、それはむしろ望なことです。どのテーマでも専門的な文献はほとんど使っていなくて、教科書や新書を中心とした二次的・三次的な文献(+講義資料)や一般向けの書籍の議論を整理したものにネット上の情報を加えて構成された部分が主なのですが、それはこの程度の材料を使っ

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  • 法外なものごとについて - on the ground

    文庫が出ていたので、ようやくと言うか佐藤優『国家の罠』を読んだのだが、やっぱりと言うかいささか過剰なぐらい面白いな。佐藤のは下に掲げたものぐらいしか読んでいないが、その中でも群を抜いている。 で、色々考えさせられたので…一応何か書こうと思うのだが、の内容とはあまり関係のないことになると思う。あと、憲法を学んだことがある人には新鮮な内容はほとんど無いと思われる。何となくこれを書いておかないと思考がこの先に進まないような気がするので、書いたことのある部分が多くなるだろうけれども書くことにする。 国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて (新潮文庫) 作者: 佐藤優出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2007/10/30メディア: 文庫購入: 35人 クリック: 235回この商品を含むブログ (204件) を見るインテリジェンス 武器なき戦争 (幻冬舎新書) 作者: 手嶋龍一,佐藤優出版社/

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  • 「国策捜査」の意味 - on the ground

    検察が小沢の首を獲るべく動いたことが「国策捜査」であることは否定できない。しかし、それは検察が政府の意を汲んだということであるとは思えない。そうではなく、「国民代表」である検察が、国民の――より正確に言えば「人民」の――「民意」を汲んだ(あるいはやや過剰に忖度した)結果だと解釈するべきである。現代日における検察の行動原理を理解できない政治家は、ただポピュリズムの波に呑み込まれて沈むだけだろう。良くも悪くもゲームのルールは既に変わったのであり、後は行くところまで行くしかないのではないかと思える。 佐藤優『国家の罠』を読んで感じたのは、何だか検察という機関は思いの外「民意」なるものに左右されやすいということであり、それはかなりの程度に民主化された現代的な国民国家における公権力の在り方を現わしている事態にほかならない。これはフーコーが言う「生‐権力」とも繋がってくる話であり、その辺りのことは萱

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  • 利害関係とは何か - on the ground

    『思想地図』2号の座談会で、東浩紀が「一人一票」原理についての疑義を提起している。例えば、今や世界中がアメリカなのにアメリカ国民しか大統領を選ぶ権利が無いのはおかしくて、世界中の人々に選挙権が分散されていてもいい。同じように、これこれこういう理由で、あなたはこの問題について0.5票とか0.3票持っています、とか言えてもいいんではないか。雑駁に言うとそういう話。 政治学的には、「一人一票」がよいものかどうかについての議論は別に目新しいものではない*1。理論的には、ある問題について極めて強い関心を持っている人と全然関心が無い人が同じ一票であるのは公平とは言えないのではないかということで、各主体の選好の強度・濃度(インテンシティー)を考慮すべきではないかとの議論がある。この点については、ディヴィッド・ミラー『政治哲学』の中にも言及があったと思う。今ある現実について言えば、国際機関などでは拠出金の

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    rrmmjjff
    rrmmjjff 2009/01/24
    「われわれはなぜアメリカ合衆国大統領を選べないのか」
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