ブックマーク / book.asahi.com (20)

  • 「フランス革命史」書評 庶民の記録で跡づける多様な姿|好書好日

    ISBN: 9784560098950 発売⽇: 2022/06/29 サイズ: 19cm/497,98p 「フランス革命史」 [著]ピーター・マクフィー 「市民革命」という言葉はやめませんか。数年前、ある思想史事典の編集委員で連名記事をつくる際、そう申し入れたことがある。日語のこの言葉には独自のニュアンスがあるにせよ、西洋語では「ブルジョワ革命」と翻訳するしかない言葉だからだ。日の教科書のように、西洋近代の政治変動をこの言葉で一括するのは、欧米ではごく稀(まれ)だ。 フランス革命を「ブルジョワ革命」とみなす通説にフランソワ・フュレが批判を寄せてから、半世紀ほどの年月を経た。階級闘争史観の次の次はどうなっているか。2016年にイエール大学出版局から原著が出版されたこのは、この問いに一つの方向性を示している。新旧の膨大な革命史研究の成果をバランスよく折衷的に吸収しながら、平易に、テンポ

    「フランス革命史」書評 庶民の記録で跡づける多様な姿|好書好日
  • 「僕の狂ったフェミ彼女」著者&訳者インタビュー フェミニズムは誰かを排除するためのものではない|好書好日

    就活を前に不安な僕を癒してくれた、愛らしい僕の彼女。毎日のようにベッタリで、付き合って1周年を迎えた。そんなとき僕は、1年間の海外インターンシップに行くことに。遠距離は不安だけど、彼女なら安心だ、待っていてくれるはず――。しかし、出国当日。空港にいたのは、涙ぐむ彼女を抱きしめる僕ではなく、別れのメールをもらってメンタルが崩壊した僕だった。 そんな初恋を引きずりながら 大企業に就職し3年目を迎えた「僕」ことスンジュン。周囲はほとんど結婚して、「まだ独身なの?」とからかわれることも多い。結婚する女性を選ぶだけなのに、なかなか結婚への意欲がわかない。そんなある日、初恋の彼女と出くわした! 心がまた動き出す……ところが、彼女はこともあろうにフェミニストになっていた!(イースト・プレス公式サイトより) ●『僕の狂ったフェミ彼女』試し読みはこちら 年を重ねるにつれて大きくなっていった違和感 ――韓国

    「僕の狂ったフェミ彼女」著者&訳者インタビュー フェミニズムは誰かを排除するためのものではない|好書好日
  • 古典の語り直し シェイクスピア、隠れた本質暴く 翻訳家・文芸評論家・鴻巣友季子〈朝日新聞文芸時評21年12月〉|好書好日

    青木野枝 ひかりのやま1 日では松岡和子の全戯曲完訳も成ったところだが、近年、シェイクスピア作のリメイクや翻案が国内外で盛んだ。そもそも古典はなぜ語り直されるのか? 翻案物も手がけるM・アトウッドに尋ねると、「一種の審問でしょう。時空間や視点を換えることで問題の質を炙(あぶ)りだすのです」と返ってきた。 その意味では、先月紹介した柚木麻子『らんたん』にも日近代文学への鋭い審問があった。男主人公の「美しい薄闇」のために女性が都合よく死んだり悪者にされたりする男性作家の小説群にヒロインは憤る。 実はこれと全く同じことを、シェイクスピアの半生をの目で語り直して話題の『ハムネット』(マギー・オファーレル、小竹由美子訳、新潮社)の作者も述べているのだ。「どうしてみんな、自由奔放な男性芸術家像にこだわるあまり、彼女をこき下ろさなくちゃならないんですか?」と(「波」インタビュー)。 作主人公の

    古典の語り直し シェイクスピア、隠れた本質暴く 翻訳家・文芸評論家・鴻巣友季子〈朝日新聞文芸時評21年12月〉|好書好日
  • フェミニスト・クィア批評が楽しい理由を語る 英文学者・北村紗衣さんと社会学者・森山至貴さんが対談|じんぶん堂

    記事:じんぶん堂企画室 下北沢の屋B&Bでオンラインイベントが開催された。フェミニスト批評家の北村紗衣さん(左)社会学者の森山至貴さん。 書籍情報はこちら 批評をやってみたいと思えること 森山:さっそく『批評の教室』の話を聞けたらと思います。すでに読まれている方と同じ感想だと思いますが、すごく面白くて、すごく読みやすい。あと当に優れた点だと思うんですけど「批評をやってみたい」と思ったんですよ。「〜の教室」といったは他にもありますが、読んで「すごいな」と思っても、「自分でやってみよう」と思わないことも多い。このは「やってみたいな」「できそうだな」と思えました。それが私が読んでの一番の変化かなと思います。 あと、実は対談イベントの前に北村さんの過去の2冊のを読んだんです。博士論文を元にした『シェイクスピア劇を楽しんだ女性たち』とWezzyの連載を元にした『お砂糖とスパイスと爆発的な何

    フェミニスト・クィア批評が楽しい理由を語る 英文学者・北村紗衣さんと社会学者・森山至貴さんが対談|じんぶん堂
  • 本や映画をより楽しむための批評のやり方を一から解説! 北村紗衣『批評の教室』より|じんぶん堂

    記事:筑摩書房 チョウのように読み、ハチのように書くための批評入門 イラスト/とくながあきこ 書籍情報はこちら 芸術作品に触れる時の心構え 俺はチョウのように舞い、ハチのように刺す。 (I’m gonna float like a butterfly, and sting like a bee.) これはボクシングチャンピオンだったモハメド・アリの有名な決まり文句です。モハメド・アリは強いボクサーである一方、アフリカアメリカ人として人種差別反対運動にも取り組み、気の利いた鋭い台詞でファンを喜ばせる機知に富んだ人物でした。この文句はアリのトレーナーだったドルー・バンディーニ・ブラウンが考案したもので、一九六四年にまだカシアス・クレイという名前で知られていたアリがソニー・リストンと対戦した時に初めて披露されました。それ以降、アリの軽やかで鋭いスタイルを一言で示す台詞として広く知られるようにな

    本や映画をより楽しむための批評のやり方を一から解説! 北村紗衣『批評の教室』より|じんぶん堂
  • 万華鏡のような作家ヴァージニア・ウルフの魅力とは ファンブックを出版した小澤みゆきさんインタビュー|好書好日

    文:篠原諄也、写真:北原千恵美 小澤みゆき(おざわ・みゆき) 1988年生まれ。会社員。2016年より同人活動をはじめる。19年に同人誌版の「かわいいウルフ」を発表。20年には出版プロジェクト「海響舎」を立ち上げ、文芸同人誌「海響一号 大恋愛」を刊行。「新潮」「文學界」「しししし」「〈Rhetorica#03〉」といった雑誌にエッセイ、書評、コラム等を執筆している。 ウルフは万華鏡のような存在 ――ウルフはイギリスで20世紀前半に活動した小説家で、モダニズム文学の旗手として知られています。その魅力はどこにあると考えていますか? ウルフはひとつのイメージに縛られない、様々な側面がある作家です。一般的にはフェミニストの先駆者として、またレズビアン作家として知られています。何を言っているかわからない難解な文体を使うこともあれば、チャーミングで茶目っけがある文章もある。人それぞれの捉え方があって、

    万華鏡のような作家ヴァージニア・ウルフの魅力とは ファンブックを出版した小澤みゆきさんインタビュー|好書好日
    saebou
    saebou 2021/05/24
    著書に触れて頂いてる!ありがとうございます。
  • 「コンヴァージェンス・カルチャー」書評 ネット発「合流」活動は解放区か|好書好日

    コンヴァージェンス・カルチャー ファンとメディアがつくる参加型文化 著者:ヘンリー・ジェンキンズ 出版社:晶文社 ジャンル:社会学 コンヴァージェンス・カルチャー ファンとメディアがつくる参加型文化 [著]ヘンリー・ジェンキンズ かつてインターネットが「パソコン通信」だったころ、一部のユーザーの間で「壁新聞時代の再来」を期待する声があった。1960年代若者文化の気ままな「解放区」がネット空間に蘇(よみがえ)る、という願望である。 書はその衣鉢を継ぎ、「ネットとポップカルチャーと民主主義」の合流を説いてメディア論の古典となりつつある理論書である。 「コンバージェンス」は複数のコンテンツとプラットフォームとメディアの間をユーザーが自在に行き来する能動的な「集合」や「合流」の意味。ファンが勝手に物語のキャラクターを使う「二次創作」などのファン文化もこれに当たる。 副題には「参加型文化」とあるが

    「コンヴァージェンス・カルチャー」書評 ネット発「合流」活動は解放区か|好書好日
    saebou
    saebou 2021/04/05
    『コンヴァージェンス・カルチャー』の書評が朝日に出ました。
  • マルジナリア書店(東京) 本屋の空白を10年ぶり埋めた、ドーナツと人文書大賞と|好書好日

    ここは東京都府中市の分倍河原。「歴史に名高い新田義貞」と『上毛かるた』にも登場する鎌倉時代の武将・新田義貞の銅像が、なぜか駅前ロータリーにでんと鎮座していた。群馬じゃないのになぜ……? 群馬県民なら誰でも知る、あの武将が! なんでも1333年、新田義貞は鎌倉幕府を討幕すべく群馬から兵をあげて、この分倍河原で幕府軍と戦い、勝利を収めたのだとか。名前は知ってても何をしたのかをよく知らなかった私は、ひとつ利口になった気になりながら、2021年1月にオープンしたばかりのマルジナリア書店に向かった。 お目当ての場所は銅像から歩いてわずか1分、駅改札向いのマクドナルドが入るビルの、3階に位置していた。店に入るとすぐに、大きく取られた窓が目に入る。 「天気の良い日は、富士山が見えるんですよ」と、店長の松尾つぐさんと代表の小林えみさんが、笑顔で口をそろえた。 大きな窓に面したカウンターでは、コーヒーも飲め

    マルジナリア書店(東京) 本屋の空白を10年ぶり埋めた、ドーナツと人文書大賞と|好書好日
  • 「番記者」から編集者に 政治経済の本を量産、大震災10年に『原子力と政治』を手がける|じんぶん堂

    記事:じんぶん堂企画室 や資料が山積みされた机に向かう竹園公一朗さん 書籍情報はこちら 番記者として生の政治を見る 「の街」東京・神田の一角に、フランス語など語学と海外文学で知られる白水社がある。1915年に創業、100年以上の歴史ある出版社だ。 その白水社の中で「異色の編集者」と言われているのが、竹園公一朗さんだ。前職は時事通信の政治部記者。異業種からの転職はおそらく社内で初めてだという。 編集者の机は雑然としているのが相場だが、壁際にひときわ資料であふれた机があった。砦のようにや資料が山積みされている。「少し片付けておくんでしたね」と笑った。 「今回ののゲラです」と竹園さん 竹園さんは早稲田大学の出身。政治学者の丸山眞男に憧れ、東京都立大大学院に進み、丸山直系の宮村治雄教授(当時)について政治思想史を学んだ。 だが、当時は石原慎太郎都知事のもと、都立大など都立の4大学短大を統合

    「番記者」から編集者に 政治経済の本を量産、大震災10年に『原子力と政治』を手がける|じんぶん堂
  • 「暴君」書評 無法で無能な統治者は自滅する|好書好日

    暴君 シェイクスピアの政治学 (岩波新書 新赤版) 著者:河合祥一郎 出版社:岩波書店 ジャンル:新書・選書・ブックレット 暴君 シェイクスピアの政治学 [著]スティーブン・グリーンブラット 「混乱の時代に頭角を現し、最も卑しい能に訴え、同時代人の深い不安を利用する人物」、それが暴君だ。「統治者としてふさわしくない指導者、危険なまでに衝動的で、邪悪なまでに狡猾(こうかつ)で、真実を踏みにじるような人物」であるにもかかわらず、国全体がそのような暴君の手に落ちてしまう。暴君はあからさまな嘘(うそ)をつくが、いくら反論されても押し通し、最後は人々もそれを受け入れてしまう。ナルシシストである暴君は法を憎み、法を破ることに喜びを感じる。 これは現代の話ではない。『マクベス』や『リア王』、『ジュリアス・シーザー』などの作品に登場する暴君たちの描写を分析する、シェイクスピア研究の世界的権威の著作の一節

    「暴君」書評 無法で無能な統治者は自滅する|好書好日
  • 女性史学賞に北村紗衣さん『シェイクスピア劇を楽しんだ女性たち』|じんぶん堂

    記事:じんぶん堂企画室 女性史学賞を受賞した武蔵大学人文学部准教授の北村紗衣さん 書籍情報はこちら 受賞作は『シェイクスピア劇を楽しんだ女性たち―近世の観劇と読書―』(白水社)。北村さんは16世紀から18世紀に刊行されたシェイクスピア刊800冊以上を調査。所有者のサインや蔵書票、への書き込みなどの痕跡から、女性ファンたちがどのようにシェイクスピア作品を受容したり楽しんだりしたかを分析しました。 17世紀イングランドでは、貴族や貧しい果物売りまで幅広い階層の女性たちが、文字が読めなくても楽しめる娯楽として観劇していました。伯爵家の娘が船を出して観劇に行った記録などの例を北村さんは挙げています。17世紀後半になると、女性作家たちがシェイクスピア演劇の批評や戯曲を書き、シェイクスピアの才能を称賛していたと北村さんは読み解きました。当時の女性たちが「シェイクスピアの機知と雄弁は何にでも及びます

    女性史学賞に北村紗衣さん『シェイクスピア劇を楽しんだ女性たち』|じんぶん堂
    saebou
    saebou 2020/01/21
    授賞式の様子が朝日のウェブにのりました。
  • ジャニーズや2.5次元の若手俳優に夢中になるかのよう! 北村紗衣『シェイクスピア劇を楽しんだ女性たち』|じんぶん堂

    記事:白水社 書籍情報はこちら 今も昔も、舞台芸術の大きな売りはスターを生で見られることだ。劇作家や演目よりも役者のほうがお客を呼び込むポイントになる。近世イングランドの舞台と女性を考える上でまず押さえておくべきなのは、当時ロンドンの商業演劇にはプロの女優がいなかったことだ。よく勘違いされるが、近世のイングランドには女性のパフォーマーが舞台に上がることじたいを直接禁じる法律はなく、ダンスや演芸、アマチュア演劇などには女性も出演しており、フランスやイタリアの一座に所属するプロの女優がロンドンに巡業してくることもあった。 ロンドンの商業演劇にプロの女優がいなかったのは、さまざまな風紀関連法規や商業上の慣習のためだったと言われている。役者は貴族を名目上のパトロンとして庇護下に入るなど、法律面での対策をとらなければ浮浪行為で取り締まりを受けるおそれもあった。ロンドンの商業劇場では少年が女役を演じて

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  • 北村紗衣さん「お砂糖とスパイスと爆発的な何か」インタビュー 目からうろこのフェミニスト批評集|好書好日

    文:篠原諄也 写真:斉藤順子 北村紗衣(きたむら・さえ)武蔵大学人文学部英語英米文化学科准教授 1983年、北海道士別市生まれ。専門はシェイクスピア、フェミニスト批評、舞台芸術史。東京大学の表象文化論にて学士号・修士号を取得後、2013年にキングズ・カレッジ・ロンドンにて博士号取得。著書に『シェイクスピア劇を楽しんだ女性たち──近世の観劇と読書』 (白水社、2018)、訳書にキャトリン・モラン『女になる方法──ロックンロールな13歳のフェミニスト成長記』(青土社、2018)など。 傑作とされる古典がつまらなかった ――フェミニスト批評とは何でしょう? フェミニスト批評はこれまでの批評が実は男子文化だったことに立脚しています。つまり、批評の歴史を振り返ると、男性中心的な社会の中で、男性向けに作られたものを男性の視点で読む。それが普遍的な解釈だとされてきました。 日の近代文学もそうで、たとえ

    北村紗衣さん「お砂糖とスパイスと爆発的な何か」インタビュー 目からうろこのフェミニスト批評集|好書好日
    saebou
    saebou 2019/07/30
    新刊の書籍紹介が出ました。
  • 村田沙耶香「地球星人」書評 女性の生きづらさ、鋭く問う|好書好日

    地球星人なんて、ポハピピンポボピア星人が作り上げた幻想なんじゃないかな−。なにがあってもいきのびること。恋人と誓った魔法少女は、世界=人間工場と対峙する! 『新潮』掲載を… 地球星人 [著]村田沙耶香 生き延びるとは、こんなに困難なことなのか。小学生の奈月には味方がいない。いつもいら立っている母親は彼女を出来損ないとののしり、学校でうまくやれない姉も奈月にあたる。なぜか。家族のなかでいちばん弱い彼女をストレスのはけ口にするためだ。奈月は思う。「私はたぶん、この家のゴミ箱なのだ」 自分を保つために、奈月はぬいぐるみのピュートとの世界を空想する。その物語を共有してくれるのは、長野の田舎にある祖母の家で夏休みに会ういとこの由宇だけだ。彼もまた、離婚の末に自殺未遂を起こした母親との困難な関係を抱えていた。2人は自分たちが他の惑星から来た、というお話を作って支え合う。 だがこの均衡を破る出来事が起こ

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  • 日本のロック熱は女子の〝好き〟エネルギーが作ってきた 映画「ボヘミアン・ラプソディ」公開を機に振り返る|好書好日

    映画「ボヘミアン・ラプソディ」から©2018 Twentieth Century Fox 映画「ボヘミアン・ラプソディ」が公開されて話題だ。イギリスのロックバンド、クイーン、そのヴォーカルのフレディ・マーキュリーに焦点を当てた伝記映画。なるほどクイーンは映画が作られるにふさわしいスーパースターだが、1973年のデビュー当時は国では全く人気がなく、評論家たちにも大不評で「グラムロックの残りカス」とまで書かれたとか。残りカスって……どうよ? よもや半世紀後に伝記映画が作られるとは、書いた評論家も思わなんだろう。 クイーンのフィーバーは日から世界へ そんなクイーンを最初に注目し、人気を獲得したのは、実はここ日。しかも音楽雑誌の女性記者の先見の明からだった。その記者とは東郷かおる子。後に、音楽雑誌「ミュージック・ライフ」の編集長となるが、1973年当時はそこの1記者だった。 「ミュージック・

    日本のロック熱は女子の〝好き〟エネルギーが作ってきた 映画「ボヘミアン・ラプソディ」公開を機に振り返る|好書好日
  • 書評・最新書評 : そのとき、本が生まれた [著]アレッサンドロ・マルツォ・マーニョ - 内澤旬子(文筆家・イラストレーター) | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト

    ■出版史から見たヴェネツィア 1987年ヴェネツィアの小さな教会図書館で、コーランが発見された。刊行は1538年以前。世界で最初に印刷されたコーランだった。グーテンベルクが活版印刷を開発し、42行聖書を刊行したのが1455年。それから百年も経たずに、ヴェネツィアではアラビア語活字が作られ使われていたことになる。 アラビア文字は、ラテンアルファベットに比べて1文字ずつ繋(つな)げて鉛活字を組むのが非常に難しい。ルネサンス期のヴェネツィアには、それに挑戦できる資金、技術、人材、販路に加えて言論の自由があったことを示す。一時はドイツをしのぐほどの隆盛ぶりだったという。 アラビア語だけでない。アルメニア語、ギリシャ語、ヘブライ語、キリル文字など多言語に対応。さらに地図や新聞、楽譜、美容、料理にポルノまで。需要の多彩さが、当時のヴェネツィアそのものということなのか。出版史からたどる、ヴェネツィアの知

    書評・最新書評 : そのとき、本が生まれた [著]アレッサンドロ・マルツォ・マーニョ - 内澤旬子(文筆家・イラストレーター) | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト
  • http://book.asahi.com/booknews/update/2013080700013.html

  • 「トクヴィルが見たアメリカ」書評 旅と思索の軌跡、リアルに追体験|好書好日

    トクヴィルが見たアメリカ 現代デモクラシーの誕生 著者:レオ・ダムロッシュ 出版社:白水社 ジャンル:社会・時事・政治・行政 トクヴィルが見たアメリカ―現代デモクラシーの誕生 [著]レオ・ダムロッシュ 1831年春、仏貴族出身の判事修習生トクヴィルは友人ボモンと共に9カ月間の米国旅行に出発した。弱冠25歳。刑務所視察というのはあくまで口実。市民が大国を統治するという、人類初の試みから40年余りを経た米国の実情を探るのが真の目的だった。 そのときの観察記『アメリカのデモクラシー』は高評価を受け、1841年には仏知識人の殿堂アカデミー・フランセーズの会員に選ばれた。 米国でも自国の質を捉えた不朽の名著とされ、今でも保守・リベラル双方が主張の箔付(はくづ)けに好んで引用している。 書は当時の関係者の草稿や覚書、書簡をもとに『デモクラシー』の舞台裏を再構成した、いわばメイキング版である。 馬車

    「トクヴィルが見たアメリカ」書評 旅と思索の軌跡、リアルに追体験|好書好日
  • 「キレイならいいのか ビューティ・バイアス」書評 なぜ女性だけ外見を問われるの|好書好日

    キレイならいいのか ビューティ・バイアス 著者:デボラ L.ロード 出版社:亜紀書房 ジャンル:社会・時事・政治・行政 キレイならいいのか ビューティ・バイアス [著]デボラ・L・ロード 著者はスタンフォード大学で法律を講じる女性の教授。いつもセーターにコール天パンツという地味な服装だったが、大学の研究所長に就任した途端にファッションチェックが入り始めた、という個人的な体験からこのは書き始められている。男性ならスーツさえ着ておけば文句は言われないのに、女性はなぜ化粧や髪形など、男性以上に外見に気をつかわなければいけないのか? 著者は法律家の目で、アメリカに蔓延(まんえん)する容姿差別を批判し始める。太ることや老いることへの不安をあおるような、過度な美容・ダイエットブームの弊害を指摘し、外見や服装に関して、雇用者が従業員に一方的なジェンダーイメージを押しつけることに警鐘を鳴らす。個人的にお

    「キレイならいいのか ビューティ・バイアス」書評 なぜ女性だけ外見を問われるの|好書好日
  • asahi.com(朝日新聞社):ヨーロッパ史入門 市民結社と民主主義 1750―1914 [著]シュテファン=ルートヴィヒ・ホフマン - 書評 - BOOK

    ヨーロッパ史入門 市民結社と民主主義 1750―1914 [著]シュテファン=ルートヴィヒ・ホフマン[掲載]2009年5月3日[評者]柄谷行人(評論家)■拡大繁栄の結果 来の意義失う アソシエーションは、日語では結社と訳されているが、協会、クラブ、ソサエティー、連合、その他さまざまな自発的な社交的組織を意味する。また、アソシエーションには政治的なものもあるが、禁酒協会、体操協会、各種同好会などのように非政治的なものもある。このような結社がアメリカに多いことに注目し、それがアメリカの民主主義を支えていると主張したのが、フランスの貴族出身の思想家、トクヴィルであった。これは、現在の市民社会論が今でも参照する見方である。つまり、それは、市民社会を、ブルジョア社会としてではなく、「市民結社」によって織り成される社会として見るものである。 書は、このような市民社会の見方を受け継ぐと同時に、それ

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