「昭和拾年 帝国浪曲技芸士銘鑑第三月改訂」発行元:立志社(国際日本文化研究センター所蔵)。この時期、複数の発行元が浪曲の番付を制作していた。立志社は代表的なもののひとつ。一番下の段に女流が列挙されている。撮影:筆者 <芸術的とはみなされにくい大衆文化だからこそ、資料が希少であり、保存は急務となっている。『アステイオン』96号より「アーカイブの夢、地方からの照射──浪曲史の編み直しにむけて」を転載> 市井のコレクターによって、集められ、救われることがある。芸術的とはみなされにくい大衆文化にまつわるモノが、前代の貴重な存在と認識されはじめたときに、その資料の収集・保存が急がれることがしばしばある。 その時に気づくのは、公的な機関が眼をむけなかったモノたちにとっては、コレクターの収集が潜在的なセーフティーネットとなってきたということだろう。 国際日本文化研究センターでは、「浪曲SPレコードデジタ